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拍卖号：k1199211195

开始时间：11/14/2025 00:36:29

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商品成色：新品

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c1950 Royal Doulton “Gillian”H4860

ロイヤル・ドルトン
「ジリアン」H4860

1950年製丸ハンドル。最終盤のカーノック

一貫して精細な転写下絵に彩色

ドルトン最期まで作られたシェイプ

「グラミス城の薊」から続く代表シリーズ

★送料は全国無料。クロネコヤマト便でお送りします。
★常時50点ほどを出品中。まだ少数ですがフィギュリンも出品中（アンティーク、コレクション > 工芸品 > 陶芸 > 西洋陶磁 > ロイヤル・ドルトン）
★込み入ったご質問やお問い合わせは次のアドレスへメールしてください。（freeway@deluxe.ocn.ne.jp）

　ロイヤル・ドルトンが1950年に製作・販売した「ジリアン」（Gillian）のトリオ。未使用の美しい骨董品。パターンNo.は「H4860」。ドルトンのカップはこのパターン・ナンバーで制作時期の範囲が判るようになっています。その一覧から1950年作と特定。
　GILLIANは辞書には「女性の名」としか出てきません。アメリカTVでGillian Andersonという割合よく見る女優がいます。この人の名なんかは、ジュリアンと呼んでおりますが。
　作者のココロに残る女性の名をこの作、というよりこのピンクの花に名付けたのか。英陶の場合、花の名はよく勝手に作者が名付けるもんです。アーチストの権利みたいなもんでしょうか。

　この作者は1935年に有名な「グラミス城の薊」でこのシェイプのカップのシリーズを始めたカーノックであろうと出品者は推測しています。パーシー・カーノック（Percy Curnock）はおそらくドルトンで最も長く活躍したアーチストです。1885年に工場に入り、1954年に引退しています。各分野に専門のアーチストをドルトンは配していますが、カーノックは花の絵、特に薔薇を得意としていたとされます。
　カップやディナーウェアが全盛となると、花の作家が最も忙しくなります。同時出品中の「エレナ」は彼のハンドペイント作。彼はもともとリトグラフ作家であったようで、ハンドペイント時代でもやはり繊細な花のラインが特徴になります。リソグラフ的な繊細な下絵を施し軽やかに彩色（塗り絵）するこのカップ（三角と丸ハンドルがありました）は当にカーノックらしい繊細な転写+彩色が映えるシリーズとなりました。
　
　1935年にシリーズトップを飾った「グラミス城の薊」にはカップ正面の薊の絵の下に彼のサインがありました。ふつうドルトンでは内部作家のサインを記すことはないのですが、カーノックはこの頃既に大御所であり、ファンが多かった。「このシリーズ、カーノックがやってます」と知らしめる必要があってのことです。
　この時期、例えばウェッジウッドやシェリーをドルトンに並ぶビッグ・メーカーと考えれば、ドルトンの大将はカーノック、ウェッジウッドはヴィクター・スキレーン、シェリーはあの水墨画アレンジの「陰付け作家」ということになります。

　ウェッジウッドの若き天才アート・ディレクター、ヴィクター・スキレーンはピーター・ウォールと女流ミリセント・タプリンを率いて大量のパターンを生み出した。特に転写の技術が高かったとは思えない。同じパターンの色を変え、一つのデザインを同じ手間で3倍から5倍に増やし顧客の選択に幅を持たせる。3人の力を花のカップに集中し、単価を下げる。当時の若者でも買いやすい価格にしたことが、ウェッジウッドの勝利につながるポイントであったともされます。
　ドルトンには同時期に多くの作家がいたものの、風景・風物・人物・馬や動物と担当が分かれ、間口がとても広かった。あのシェリーの女大将は手描きが多く、そうそう大量生産は出来ない。お金持ちが増えたアメリカ市場をターゲットにしたとしても、この3社では最も高価なカップであったのではないか。
　この時代の勝負でウェッジウッドが勝った。しかしどうであろうか。
　今日3社の高品質なカップやウェアを並べ見て、我々は揃ってウェッジウッドが勝っているとは感じないかも知れない。

　1950年製となると、カーノック最期のトリオとはならないか。この後このシリーズでカーノック作はあったのか。
　他のカップや壺類の高額商品の面倒も見なければならない。如何にもアール・デコという単純すぎる幾何学模様だけのカップもいくつかあります。クラリス・クリフやスージー・クーパーも活躍している同時代に「これはないだろう」というひどいパターンもあります。（個人的見解ですが…）ボンクラ共がカーノックの足を引っ張ってます。

　素人なりに解説いたしましょう。花はピンクですが、中心に主役級に扱われるのはグリーンの葉っぱの方です。
　この転写は、カップ内側の向かって右の陰のような薄茶の葉っぱ。この色の下絵のラインを全体に使ったようです。薄茶を利用して下絵のラインを作った。大きな葉っぱはそのラインに薄いグリーンを塗り重ね、グリーンの下にある薄茶のラインを葉の輪郭と「筋」として活かしています。薄いグリーンを通してラインが見えるのが素晴らしい。繊細さと柔らかい感性をも伝えます。
　こういうところに、本職リソグラフ画家の本領が発揮されている。

　このトリオのサイズは次の通り。
　カップの高さ6.5cm、口径8.5cm。ソーサーとサイドプレートの直径はそれぞれ、14cm、15cm。これは英国ではなく、USAの未使用品専門店から取り寄せています。だからパーフェクト。
　付け加えると。三角と丸ハンドル併用でこのシリーズは続いていますが、このジリアンでは既に三角ハンドルはなくなっていたんじゃないかと。アール・デコ期はもう終わっていた。

ロイヤル・ドルトン（前史）
　ロイヤル・ドルトン（Royal Doulton）は、1815年の創業です。創業時にはストーン・ウェア（stone ware:磁器と陶器の間のような焼物）を専門に扱い、我々が普通に「陶磁器」と聞いて思い浮かべるような製品のほか、ボトルやsalt grazeという陶磁器の一種でできた下水管を製造していました。
　創業者はジョン・ドルトン（John Doulton）のほか、マーサ・ジョーンズ（Martha Jones）とジョン・ワッツ（John Watts)の３人でしたが、最も功績が大きかったからなのでしょうか、1853年に社名は「Doulton」となります。
　その後、２代目のHenry Doultonが業績を大きく伸ばします。そして、1871年にロンドンのランべスに工房を創設し、そこから芸術性も飛躍的に高まっていきました。
　なお、このランベスでは、環境の面から大都市ロンドンで窯業を続けることはできなくなる1956年まで製造が続いていました。
　一方、今の生産拠点であるスタッフォードシャーのバースレムでの製造が始まったのは1882年です。このバースレムは「The Potteries」として知られています。そこにRoyal Doultonのほか、Spode、Wedgewood、Mintonという有名な会社が集まっているからで、同地域はClarice Cliff、 Susie Cooper、Charlotte Rhead、 Frederick Hurten RheadやJabez Vodreyといった著名なアーチストを輩出した場所でもありました。
　同社での製品の芸術性が上がるにつれ、同社の製品は英国王室にも知られるようになりました。そして、1901年にエドワード７世からRoyal Warrant（英国王室御用達）が与えられました。
　Burslem工場は、1949年11月2日にエリザベス王女（H.M. Elizabeth II）が1時間半かけて工場を訪問しています。この工場は以後も多くの王室関係者の訪問を受け入れています。

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No.108.001.008

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