間違いなく日本のフォーク、ロック史上最強のアーティストの一人。ディランに触発されてギターを握りジャックスの早川義夫から決定的な影響を受けながらそれを完全に血肉化してうまれてきた初期の自作曲は他に類を見ない深度をみせる。直接的な表現はないにも関わらず、どの曲からもセックスの匂いがする。合間の息遣いだけでもその世界を表現しきれるてしまう生々しさがあるが、そこに暑苦しさは皆無だ。ミュージックマガジン誌の創設者、あの中村とうよう氏がデビュー前にもかかわらず初めて見たときから忘れられないアーティストとしてジャックスの早川義夫と吉田拓郎、そしてこの遠藤賢司の名を挙げていた。細野晴臣氏も衝撃を受けたことを公言していた人で、ことあるごとに遠藤賢司の名をあげ、すでに超売れっ子だったにもかかわらず、遠藤賢司との共演は最優先事項としていたほどだ。まだデビュー前にも関わらずあのはっぴいえんどをバックに従えることが出来た人であり、あの早川義夫は遠藤賢司のその才能に嫉妬していることを自身の著書で公言し、ファーストシングルの製作に大きくかかわっている。そのシングルは国内最強のアシッドフォークだ。躍動的な「夜汽車のブルース」「満足できるかな」から生々しさの極致「外は雨だよ」、頭脳警察のトシと2人で普通のロックバンドの何倍もの爆発力で表現した元祖グランジのような「プンプンプン」、曾我部恵一氏が日本のサイケの決定版とよんだ「けんちゃんの宇宙旅行」、エンケンのアコースティックギターと土屋昌己のEギターが炸裂する「ラブコール」等を経て、出てきたばかりのセックスピストルズに触発されて製作した日本のロックが誇るべき決定的名盤「東京ワッショイ」が誕生する。その勢いは止まることなくエンケン流プログレともいうべき傑作「宇宙防衛軍」を生みだす。細野晴臣氏が製作に全面的に協力した「オムライス」は早すぎた最強のチルアウトだ。こうして記しているだけでザワザワしてくる。現在日本のロックに携わる人でこの人を悪く言う人はほとんどいないはずだ。とにかく少しでも日本のロックやフォークに興味がある人は絶対に避けて通ってはいけないような人なのだ。全作品は必聴！聴けばどこかで必ずぶっ飛ばされる。