福王寺法林（1920-2012）は山形県米沢市生まれの日本画家で文化勲章受章者。本名雄一。上杉藩の槍術師範の家系に生まれ、6歳で事故により左目を失明。8歳で狩野派の上村廣成に学び、1936年に上京。1941年に召集され中国戦線へ、終戦後に復員し、1949年に日本美術院展で初入選。田中青坪に師事し、1955年以降院展で受賞を重ね、1960年に同人となる。翌年、濤林会を結成し後進を育成。1974年からネパール・ヒマラヤを取材し、鳥瞰視点の壮大な風景を描く「ヒマラヤシリーズ」を発表。1977年芸術選奨文部大臣賞、1984年日本芸術院賞、1994年日本芸術院会員、1998年文化功労者、2004年文化勲章受章。作風は雄大な自然の迫力を繊細な筆致と鮮やかな色彩で表現し、特にヒマラヤ連峰の荘厳な景観を描いた作品群で知られる。

福王寺法林（1920-2012）は、日本を代表する日本画家の一人です。山形県米沢市生まれで、文化勲章を受章した経歴を持ちます。幼少期に事故で左目を失明しながらも、狩野派の上村廣成に学び、後に田中青坪に師事。戦後、日本美術院展で活躍し、1960年には院展の同人となりました。さらに、1974年からはネパール・ヒマラヤを取材し、「ヒマラヤシリーズ」として雄大な風景画を多数発表しました。

福王寺法林「朝富士」日本画 6号 金落款 共シール
本作品「朝富士」 は、雄大な富士山を朝の光のもとに描いた日本画です。澄み渡る青空のもと、山頂は朝日に照らされ、金色の輝きを放っています。下部に広がる木々と、幻想的にたなびく朝靄（あさもや）が、富士の神聖な存在感をより際立たせています。 福王寺法林は、壮大な自然の情景を独自の視点と繊細な筆致で表現することで知られています。彼はヒマラヤや日本の山々を数多く描きましたが、本作でも鳥瞰的な視点を活かし、富士山の持つ荘厳な雰囲気を見事にとらえています。朝の静寂と空気の清涼感が感じられる本作は、観る者に心の安らぎと神秘的な感動を与えます。

また、福王寺法林の特徴である鮮やかな色彩が、本作でも見事に活かされています。透明感のある青空と、温かみのある金色の光が絶妙に調和し、日本の美意識を象徴するかのような作品に仕上がっています。 「朝富士」は、単なる風景画ではなく、朝の一瞬の輝きを通じて自然の偉大さと畏敬の念を表現した、福王寺法林ならではの名作です。