1988年にケニー・ドリュー・トリオがコペンハーゲンで録音したアルバムです。ベースのニールス・ペデルセンはお馴染みですし、ドラムスのアルヴィン・クイーンも好演です。ケニー・ドリューは、ニーヨーク時代も素晴らしいアルバムを残していますが、不遇なころもあり、1961年
にヨーロッパに渡り、そこでの活躍振りを見ますと、渡欧が彼の人生の良い転機になりましたし、彼のジャズを確立したと思います。その地で
彼の魅力が理解され、才能が開花したわけですから。本作の全編に漂う抒情性にひかれます。テクニックはオスカー・ピーターソンと双璧で
あり、リリカルなピアノはビル・エヴァンスのイメージに近いです。勿論そんな演奏も随所に聴き取れますが、優れたジャズ・トリオだという
のは、3人の一体感が伝わってくる所でしょう。息があい、心から演奏を楽しんでいる雰囲気が伝わってきます。「ラスト・タンゴ・イン・
パリ」では、爆発したかのような感情の激しさと熱気に満ちています。ペデルセンの奏でるベースの軽やかさと素晴らしさは、この曲の演奏の
良さを証明するかのような早弾きを聴き取れます。クイーンのドラムも物凄く激しい演奏ですし、パッションがストレートに感じられ、圧倒さ
れてしまいました。お気に入りの1曲です。「枯葉」「追憶」というスタンダード・ナンバーは、定番とも言える美しく安定した演奏が感じられ
ます。また、「パリ北駅着,印象」「イブニング・イン・ザ・パーク」「カフェ・フローラ」「ルージュ・ブルース」の4曲は、ケニー・ドリュ
ーが作曲したもので、彼の心象風景のような音楽が綴られています。感性の趣くままの演奏でしょうし、実力のあるジャズ・ミュージシャンの
証明のような余裕と深い音楽性が感じられる演奏でした。
| 1 パリ北駅着、印象
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| 2 イブニング・イン・ザ・パーク
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| 3 カフェ・フローラ
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| 4 枯葉
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| 5 ノー・グレイター・ラブ
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| 6 マイ・シップ
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| 7 ルージュ・ブルース
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| 8 モーニング・ミスト
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| 9 ラスト・タンゴ・イン・パリ
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| 10 追憶 |