廃盤
カラス&バルビローリの『アイーダ』全曲
ヴェルディ:
歌劇『アイーダ』全曲
マリア・カラス
ジュリエッタ・シミオナート
ジュリオ・ネッリ
ジョーン・サザーランド
ジョン・バルビローリ(指揮)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
1953年6月10日、ロンドン
ゴールデン・メロドラム盤
最盛期のマリア・カラスとバルビローリの共演で有名な『アイーダ』。
イギリスを代表する名指揮者として活躍したバルビローリはイタリアの血を引き、実演やレコーディングでイタリア・オペラの序曲や前奏曲などをさかん取り上げていましたが、
正規の全曲録音はヴェルディの『オテロ』とプッチーニの『蝶々夫人』を残したきりでした。
祖父と父親がヴァイオリニストとして『オテロ』初演に参加していたという家系を持ち、
イタリア・オペラに尽きせぬ愛着を抱いていたという指揮者だけに、この『アイーダ』はたいへん貴重な音源と言えるでしょう。
当セットに収録された音源は、1953年にロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスでおこなわれた公演の実況録音で、
この役を得意としたカラスとしても、この時期は過度なダイエットを経る以前の豊麗な美声を保っていた頃。
しかもアムネリス役にはジュリエッタ・シミオナートという、これまた千両役者が名を連ねていることも大きなポイントです。
ラダメス役は、至難のハイCを楽々と歌いきってしまうことで有名だったチェコ出身のクルト・バウム。
カラスとはメキシコで『アイーダ』を共演したおり、得意の高音をあまりにもみせつけてカラスの対抗心をおおいに煽ったという仲。
この公演でも壮絶な歌合戦が繰り広げられています。
アモナスロ役は、アメリカ出身でヴェルディの諸役を得意としたジェス・ウォルタース、
ランフィス役には、1958年に49歳の若さで急逝した名バス、ジュリオ・ネッリ、
第1幕第2場で美声を聴かせる巫女役に、渡英まもないジョーン・サザーランドの名前が見えることにも注目です。