加藤東一（1916年1月6日～1996年12月31日）は岐阜県生まれの日本画家で、日展理事長や文化功労者を務めた。兄は日本画家の加藤栄三。東京美術学校日本画科で結城素明、川崎小虎、小林古徑、安田靫彦らに学び、山口蓬春にも師事。1947年日展初入選、1952年第8回日展で「草原」が特選、1955年「砂丘」で特選・白寿賞、1969年第2回改組日展で「残照の浜」により内閣総理大臣賞、1976年「女人」で日本芸術院賞受賞。1989年に日展理事長、1995年に金閣寺大書院障壁画を完成させ、1996年には同作の展覧会が伊勢丹美術館で開催された。風景や人物を題材にした具象画を一貫して描き、1950年代には抽象表現も試みるが、以後は色面と形体の構成に重きを置く作風を確立した。

加藤東一「暁雲富嶽」日本画 10号大 金落款 共シール
本作「暁雲富嶽」は、加藤東一が描いた富士の姿を象徴的に表した秀作です。夜明けの空に漂う暁雲を背景に、深く澄んだ青で描かれた富士が堂々と姿を現します。山頂を取り巻く黄や緑、紫の雲は、刻々と変化する朝の光を映し出し、天空に広がる生命感を感じさせます。前景には静謐な湖面と連なる山並みが配され、画面全体に凛とした清々しさが漂います。

加藤東一（1916-1996）は岐阜県生まれの日本画家で、日展理事長や文化功労者を務め、内閣総理大臣賞や日本芸術院賞を受けた近代日本画の重鎮です。東京美術学校で結城素明や小林古徑らに学び、具象を基盤にしながらも色面と形体の構成を重視した独自の画境を確立しました。本作においても、写実を超えて自然を心象風景としてとらえ、雄大な富士と暁雲を鮮烈な色彩で調和させることで、観る者に荘厳さと新しい一日の始まりを想起させています。