
Antoine Visconti
『Quantum Field Theory』Volume 1
書き込み線引きマーカー引き押印等見当たりませんが、
経年並みのヤケシミや表紙ヤブレございます。
【本書の特徴】
A. Viscontiによる『Quantum Field Theory』は、学術的に高い評価を受ける硬派な理論物理学教科書です。数学的に詳細で厳密な量子場理論の解説書として評価されており、理論物理の研究者や大学院生に利用されています。1960年代にフランス語で出版され、厳密な数学的定式化と物理的解釈のバランスが良いことから、フランスの大学院レベルの講義で標準的な参考書として用いられてきました。古典的かつ信頼できるテキストとして根強い支持があります。
本書はその英訳版で、フランス語版にあった誤植や誤りを訂正し、いくつかの段落を完全に書き直されています。この翻訳は二巻本の第一巻です。二巻の区分は自由場と相互作用場の区別に対応しているわけではありません。むしろ、第一巻は量子場理論のラグランジアンおよびハミルトニアンによる定式化と、自由場に充てられています。
【本書のトピック】
○一般原理(General Principles)
→ローレンツ群(Lorentz group)、空間様面、自然単位系、線形空間記法、量子力学、フーリエ変換とディラック関数、関数解析の基礎など、量子場理論の数学的・物理的基礎
○量子力学の表示(The Quantum Pictures)
→状態ベクトルとその時間発展、場の変数とカノニカル系の定義、ハイゼンベルク−パウリ量子化法、場のハミルトン形式など複数の量子表示(シュレーディンガー/ハイゼンベルク等)
○変分定式化・場の基本的可観測量
→変分原理、ハミルトニアンの局所構造、パイエルス関係など場方程式の基礎に加え、量子場理論の不変性、エネルギー−運動量テンソル、角運動量、スピン、パリティ、電荷共役や生成消滅演算子など主要な可観測量の定義と物理的意味
○一次の線形波動方程式/ローレンツ群の表現
→実験事実、ローレンツ群による表現、場方程式の相対論的不変性、正準場方程式、行為と波動方程式のエルミート性など、場の基礎方程式を理論的体系化、ド・ブロイ融合法、整数スピン場/半整数スピン場のテンソル成分、確率密度
○定数係数線形場方程式の量子化
→スカラー場、擬スカラー場など型ごとの場の量子化手法、エルミート場の生成消滅演算子、反エルミート場の取り扱い、交換/反交換則とその統計的意味、真空期待値の具体計算
○場の汎用形式と特殊技法
→ハミルトン形式の弱点、場の交換・反交換則の一般論、任意スピン場の波動方程式と可観測量の体系化、電荷共役、空間対称性、時間反転など場の対称性の構造
○ディラック場・マクスウェル場・プロカ=ド・ブロイ場の取り扱い
→自由電子場(ディラック方程式)の量子化、マヨラナスピノル、反エルミート場の取り扱い、電磁場(マクスウェル場)のゲージ変換、摂動論・量子化・測定点における物理量の定義、ベクトル場のSU(2)(プロカ=ド・ブロイ)の場方程式、ステュッケルベルグ形式
このように本書は、量子場理論の基礎から応用範囲(場方程式・可観測量・表示・対称性・各種場の量子化)まで体系的かつ詳細に解説し、理論物理学者・研究者向けの本格的な内容となっています。場の物理的・数学的枠組みと具体的計算技術の両側面を丁寧に扱っている点が特徴です。