レーベル:Folkways Records
品番:FA2365
フォーマット:LP, Album
国:US
リリース年:1962年
タグ:Folk, Field Recording, Bluegrass, American South, Autoharp
『Mountain Music Played On The Autoharp』は、アメリカ南部の山岳文化に根ざした人々が生活空間で自然に奏でた音の記録であり、土地の記憶です。Folkways Recordsが掲げる「世界中のあらゆる音楽・文化を記録し、後世に伝える」という理念を、まさに体現する名録音盤。
録音を手がけたMike Seegerは、録音者である以前に共鳴者でもありました。演奏者の生活圏で録音を敢行し、音を「採る」のではなく「生まれるのを待つ」姿勢が貫かれ、屋内に差し込む光や窓の外の気配までもが音像に溶け込んでいます。音楽はメディアではなく、空間の痕跡としてここに現れています。編集は最小限に留められ、むしろノイズや歪み、あるいは間こそが、音楽の文法として機能するかのようです。
オートハープというシンプルな楽器は本作において、地形や季節の気配を和音の微かな揺れに映し出し、弦を擦過する指のリズムによって世代を超えた土地の呼吸や訛りを可聴化するようです。言語を持たないまま交感する手つきの記録であり、全体を通じて、記譜できないフォークがいかに記録されうるかの問いを、鋭く提示しています。
このアルバムは、商業的な音楽史の外部で続いてきた「演奏=儀礼」の場に、聴き手をそっと導いてくれます。オートハープという楽器の穏やかな革命と、それを包み込む文化の呼吸が、この古びた木箱のようなスリーブに、静かに封じ込められています。
加えて、このアルバムは教育・研究の現場でも重視される音源であり、オールドタイム音楽、カントリー・フォーク、アメリカの楽器史研究において不可欠な一次資料でもあります。無名の演奏家たちのテクニック、発音、リズム処理が生々しく記録されたことで、「誰が、どこで、どのように音を紡いだか」をアーカイヴしている。Folkwaysカタログに連なる他の膨大な記録とともに、音楽を通じた民族誌というジャンルを成立させる決定的な証左でもあります。
メディア:VG+(軽度の擦れ、チリノイズ箇所あり)
ジャケット:VG+(褪色あり)
付属品:ブックレット
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