■商品説明
19世紀後半、1880年頃にボヘミア地方(現在のチェコ)で製作された、Moser(モーゼル)工房による極上のアートグラス、クランベリー色のカップ&ソーサーを出品いたします。
本品は、当時の熟練したガラス職人による「手吹き(Hand Blown)」で成形された、非常に高度で希少な作品です。
熱く溶けたガラスを吹き竿に巻き取り、息を吹き込んで1点ずつ丁寧に作り上げる技法は、わずかな厚み・形のバランスまでも職人の感覚と経験に委ねられる繊細な作業であり、今日では再現が難しい伝統技術です。
さらに本作品では、波打つような花びら型のクアトレフォイル形状という非常に複雑なフォルムを実現しており、まさに職人技の結晶といえます。
Moser社は1857年に創業された、ヨーロッパを代表する高級ガラス工房のひとつです。
1870年代以降、ヨーロッパ貴族や王室に向けて、クランベリーグラスと盛り上げ金彩を組み合わせた豪華なガラス器を多く制作するようになります。
本作品のようにクアトレフォイル形状の手吹きガラスに、葡萄と蔦の金彩装飾を施したスタイルは1880年代に典型的であり、これらの特徴から本品も1880年頃の製作と考えられます。
■クランベリーグラスの美しさ
上部は深みのあるクランベリーピンクから透明へと自然に移ろうグラデーションガラスが採用されており、光を透かすと色の濃淡が美しく浮かび上がります。
クランベリーグラスとは、ガラスに金を微量加えて発色させた高級素材で、19世紀の高級装飾ガラス器に多く使われたものです。
■豪華な金彩装飾とデザイン
カップ・ソーサーともに、一周ぐるりと途切れることなく施された葡萄と蔦模様の盛り上げ金彩・銀彩装飾が特徴です。
金彩部分に触れると盛り上がりが感じられ、立体感と、職人の手仕事による温もりが感じられます。
細密な装飾は非常に丁寧で、モーゼル工房ならではの格式ある仕上がりです。
■サイズ
・カップ口径 約6.9cm 高さ 約6.2cm
・ソーサー直径 約11.6〜12.6cm
■コンディション
経年による金彩の剥がれ、リム部分に小さな凹みが一点見られますが、ヒビ・欠けはなく、ガラスの透明感、艶も保たれており、アンティークとして良好な状態だと思います。
熟練職人の技と、19世紀の美意識が見事に融合した本作品は、まさに一点ものの芸術品。
アンティークガラスの魅力をじっくり味わえる逸品です。
ぜひこの機会にお迎えください。