図説 神秘の世界「密教」 曼荼羅に秘められた密教の宇宙観を知る カラー・モノクロ 写真・図版解説
世界文化社
1997年
約26x13.6x1.2cm
162ページ
本文モノクロ 一部カラーページあり
ソフトカバー
※絶版
仏教美術・仏像・密教図像・密教美術に興味を持つ一般の方に好適なビジュアルムック本の入門書。
密教の神秘的な世界が、豊富な図版や写真とともに平易な文章でわかりやすく解説されており、入門書として高く評価されている本。
密教の歴史や意義を丁寧に説明し、空海や最澄といった僧侶の偉業を深く掘り下げて、空海水銀鉱脈との関連についての興味深いコラム、また、最澄、文観、覚鑁、天海といった主要な密教僧の略伝も収録されており、彼らが仏教美術や文化に与えた影響について知ることができる。
さらに、本書では阿字観や拾八印契の意味や実用技法を含め一部実践的に紹介。
実際の参拝や仏像鑑賞の際に役立つ情報も満載。
主要な密教寺院参拝ガイドや修行体験、修験道の霊山ガイド、密教関連書籍ガイドや高野山の年中行事まで、
盛りだくさんの内容。
密教美術や密教図像、仏像の背後にある深い教えと、その造形美の根源となる知識に迫る、
一般向けに興味深くわかりやすい大変貴重な資料本。
【目次】より
●図説 密教世界の神秘に触れる
曼荼羅の世界 両界曼荼羅に秘められた無限の宇宙観 頼富本宏
(挿図)金剛界九会曼荼羅 成身会 三昧耶会 微細会 供養会 四印会 一印会 理趣会 降三世会 降三世三昧耶会
胎蔵界曼荼羅全図 中台八葉院 遍知院 持明院 金剛手院 蓮華部院 釈迦院 虚空蔵院 文殊院 除蓋障院 地蔵院 蘇悉地院 外金剛部院
修法と儀式 火と呪文がおりなす荘厳な異次元空間 藤田光寛
(挿図)図像抄 孔雀明王像 虚空蔵菩薩像 一字金輪像 金剛界次第図
比叡山と高野山 最澄と空海が開いた山岳地の全貌 久保田展弘
謎 密教とめぐる不思議を解き明かす 加藤精一
密教の成り立ちを探る
(挿図)恵果図 金剛智図
根本経典の内容を知る
(挿図)金胎仏画帖 不空像 理趣経曼荼羅 大日経
修験道と密教との関わり
梵字と真言の意味するもの
(挿図)種字愛染明王図 十巻抄忿怒尊部 両界種字曼荼羅 三部四処輪図
真言密教と天台密教の違い
(挿図)智証大師諡号勅書 ほか
●ストーリー 時代のうねりとともに生きた密教の歴史
平安時代1 空海の密教は鎮護国家の新しい祈りとなる 唐からもたらした密教は嵯峨天皇の支持を得た 寺林峻
(挿図)真言宗略系図
平安時代2 密教を積極的に取り入れた最澄の天台宗 円仁と円形の二大勢力を生んだ宗派の系譜 武光誠
平安時代3 浄土教を教義に組み込んだ覚鑁の新義真言宗 彗星の知く現れた真言密教の変革者 神坂次郎
南北朝時代 鎌倉幕府を調伏した妖僧文観 南北朝時代立川流の大成者、天皇の命をうける 火坂雅志
織豊時代 高野山と説く対峙した二人の天下人 高野聖を処刑した信長と根来寺を焼き討ちした秀吉 百瀬明治
江戸時代 幕府の意を汲んだ天海の深慮遠謀 徳川家康を山王一実神道のもとに権現として祀る 堀和久
●写真紀行 遍路の道から浮かび上がるもう一人の空海 小林久三
錬金術師空海が探した鉱脈を追え
●イコン 至高の密教美術を愛でる 真鍋俊照
密教の心を今に伝える仏たち
●詳解 密教の秘法を解くキーワード 山崎泰廣
密教占星術と星供 (挿図)九曜星図像 火羅図 北斗曼荼羅 北斗種字曼荼羅 融通念仏縁起
護摩と祈祷 (挿図)金銅五大明王五鈷鈴 羯磨 金銅密教法具 金銅火舎 白銅五種鈴
阿字観 (挿図)初心者用阿字観実修作法図 山越阿弥陀 清浄体操
十八契印 (挿図・解説)浄三業 仏部三昧耶形 蓮華部三昧耶 金剛部三昧耶 被甲護身 如来拳 大虚空蔵 当部明王 ほか
●人物伝 密教の法灯を受け継いだ人々 斎藤昭俊
◇真言密教の法統
空海 益信 聖宝 覚鑁 西行 文観 応其 隆光 慈雲
◇天台密教の法統
最澄 円仁 円珍 良源 慈円 天海
●探す もっと知りたい密教の世界
史跡GUIDE
真言宗十八本山ガイド
弘法大師空海の足跡
修験道霊場MAP
修行GUIDE
「三日坊主」になる
BOOK GUIDE
密教をもっと知りたい人のための20冊
空海の教えを知りたい人のためのブックガイド
行事GUIDE
高野山年中行事カレンダー
SOUND&VISUAL GUIDE
密教を音と映像で体感する
密教関連年表
基本用語30
人物&用語INDEX
【執筆者一覧(五十音順)】
加藤精一
昭和8(1936)年東京都生まれ。大正大学教授・文博。著書に『密教の仏身視』『弘法大師空海伝』など。
久保田展弘
昭和15(1941)年東京都生まれ。宗教学者。著書に『インド聖地礼』
『神の名は神』など。
神坂次郎
昭和2(1927)年和歌山県生まれ。作家。著書に『熊野御幸』『縛られた巨人―南方熊楠の生涯』など。
小林久三
昭和10(1935)年茨城県生まれ。作家。著書に『暗黒告知』『異説の日本史黄金伝説』など。
小松田直
昭和33(1956)年宮城県生まれ。歴史ライター。共著に『日本史人物その後のはなし』「図説運如』など。
斎藤昭俊
昭和5(1930)年栃木県生まれ。大正大学教授。著書に『弘法大師信仰と伝説』『インドの神々』など。
武光誠
昭和25(1950)年山口県生まれ。明治学院大学助教授。著書に『日本古代国家と律令制』など。
寺林峻
昭和14(1939)年兵庫県生まれ。作家。著書に『空海か最澄か』『空海感動を生きる」『腹心』など。
原遙平
昭和38(1963)年長野県生まれ。著述業。著書に『バッキャロー裸の教師蛭さんの奮闘記』など。
火坂雅志
昭和33(1956)年新潟県生まれ。
作家。著書に『花月秘拳行』『楠木正成異形の逆襲』など。
藤田光寛
昭和23(1948)年和歌山県生まれ。
高野山大学教授。論文に「『菩薩地成品』和訳(Ⅰ~Ⅲ)」など。
堀和久
昭和6(1931)年福島県生まれ。作家。著書に『死にとうない』『秀吉とおね』『天海』など。
真鍋俊照
昭和(1939)年東京都生まれ。神奈川県立金沢文庫文庫長。著書に「密教宗羅の研究』など。
百瀬明治
昭和16(1941)年長野県生まれ。作家。著書に『軍師の研究』『暗殺の歴史』『日蓮の謎』など。
山崎泰廣
昭和4(1929)年兵庫県生まれ。種智院大学教授。著書に『密教瞑想法』『密教の神秘想』など。
頼富本宏
昭和20(1945)年香川県生まれ。種智院大学教授。著書に『庶民のほとけ』『マンダラの仏たち』など
【協力先】
飛鳥園 石川県東京事務所 西大寺 C.P.C. 愛媛県東京観光物産斡旋所 清浄光寺 MOA美術館 円成寺 応其寺 神護寺 随心院 須磨寺 香川県東京観光物産事務所 清凉寺 清澄寺 善通寺 東京国立博物館 東寺 鳥取県物産協会 中山寺 長野県東京事務所 奈良県東京観光物産センター 成田山新勝寺 南蔵院 仁和寺 善通寺市教育委員会 根来寺 神奈川県立金沢文庫 河内長野市商工課 勧修寺 観心寺 泉涌寺 玉蔵院 太融寺 高知県東京事務所 大覚寺 五島美術館 醍醐寺 金剛峯寺 金剛頂寺 金倉寺 高尾山薬王院 智積院 橋本市教育委員会 長谷寺 便利堂 宝山寺 室戸市教育委員会 山崎泰廣 朝護孫子寺 笠原寺
図説 密教世界の 神秘に触れる
密教世界を視覚化した金胎両部の曼荼羅や、炎が燃え上がり呪文が渦巻く荘厳な修法は、不可思議で魅力的な異次元空間を創り出す。 密教という聖域への門がいま開かれる。
【各章見出しより一部紹介】
謎
密教は非公開かつ難解という印象を与える。
密教はいつどこで成立したのだろうか。
不可解な梵字、呪文や山伏たちの修行が
意味するところは一体なんなのか。
素朴な疑問に答える密教入門講座。
密教をめぐる不思議を解き明かす!
時代のうねりとともに生きた密教の歴史
鎮護国家の教えの地位を得た密教は、あるときは天皇権力と強力に結び、あるときは武士勢力と対決した。
時代の流れを左右した権力者と密教僧との深い関係を検証。
錬金術師空海が探した鉱脈を追え
空海が修行して歩いたという四国八十八か所は、水銀などの鉱脈を探す旅路でもあった。山や海の修行者たちと王権との関わりから、
空海伝説に秘められた陰の歴史を探り出す。
至高の密教美術を愛でる
密教の心を今に伝える仏像たち 真鍋俊照 文
曼荼羅世界を演出する役割を担ったそれまでにない尊像を登場させた。
密教彫刻は大日如来や明王など、平安仏たちの魅惑の世界を紹介。
密教の秘法を解くキーワード
加持祈、占星法、契印など密教の秘法は、われわれにどんな力をもたらすのだろう。そして阿字観など密教瞑想法の実践は、一般人にどのような効果があるのか。
秘法の持つ意味を知る密教実践編。
密教の法灯を受け継いだ人々
空海と最澄という平安仏教の巨人は、独自の解釈で密教を捉え、後世に伝えた。ここでは各法統に名を残す密教僧たちの個性溢れる人生とその思想を紹介する。
日本の密教は東密(真言宗)と台密(天台宗)とに分かれる。東密は空海に始まり、台密は最澄に始まる。東密に属する人々では、益信、聖宝、覚鑁、西行、文観、応其、隆光、慈雲を、台密では、円仁、珍、良源、慈円、天海をそれぞれとりあげてみた。真言密教、天台密教の教学的展開や時代的背景等については他章にゆずることとして、本章では各人の出自、略年譜的なもの、その歩みによって、その人物を浮き彫りにしようと試みた。
真言密教は大日如来の説法に始まり、金剛薩土垂、そして真言八祖といわれる龍猛・龍智・金剛智・不空・善無畏・一行・恵果・空海にうけつがれ、空海の十弟子、真済・真雅・実慧・道雄・円明・真如・杲隣・泰範・智泉・忠延にひきつがれた。聖宝は真雅そして源仁からうけつぎ、また益信は実慧から真紹そして宗叡、その宗叡からうけついでいる。実践を重んじる真言密教は多くの実践方法としての流派、小野流(三宝院流・理性院流・金剛王院流・勧修寺流・安祥寺流・随心院流など。立川流は三宝院流からでている)、広沢流(仁和御流・西ノ院流・保寿院流・華蔵院流・忍辱山流・伝法院流。覚畿は伝法院流)を生んでいる。台密では最澄から広智、円仁と、広智から徳円、円珍、後には石泉流、谷流、大原流、三昧流(慈円は三昧流)、梨木流、院尊流、双厳房流など多くの事相の流派が出来ているが、東密、台密ともに現在では限られた流派が、各宗派・本山に伝承されているのみ。
ここに取りあげた人々は、それぞれ独自の歩みをした人々であり、宗祖の空海、最澄はいうに及ばず、密教が今日あるのも、多くの密教僧達の真摯な伝承・伝法があってのことであり、また俗諦とのかかわりも大きいが、その点からすれば、ごく限られた人達のみを取りあげたことになることを御寛恕いただきたい。