稲垣考二（いながき こうじ）は1952年愛知県生まれの洋画家で、愛知県立芸術大学油画科および大学院研修科を修了しました。1985年に国画会会員に推挙され、名古屋市芸術奨励賞（1993年）、裸婦大賞展優秀賞（1986年）、昭和会展優秀賞（1987年）、伊藤廉記念賞（1984年）、三越賞（1978年）など数々の受賞歴を持ちます。作風は、写真投影やCGに頼らない卓越した描写力で艶麗な作品を生み出すことに特徴があり、時代の流行に左右されず独自の画風を貫いています。油彩画、アクリル画、パステル、デッサンなど幅広い表現手法を用い、特に具象表現において高い評価を得ています。

稲垣考二「横たわる女」油彩 50号大 大作 1999年作
本作《横たわる女》は、洋画家・稲垣考二が1999年に制作した油彩による大作で、湾曲した横長サイズ（50号大／33.5×120cm）に、女性裸像を艶やかかつ静謐に描いた作品です。画面全体に繊細な筆致と卓越した描写力がみなぎり、写真やCGに頼らず、手業のみで生み出された写実表現は、画家の高い技術と美意識を物語っています。

画面中央に横たわる女性は、あたたかみのある肌の陰影や柔らかな肉体の起伏が見事に表現されており、身体を包むように配された赤と金の布地が、絵全体に豊かな装飾性と官能的な緊張感をもたらしています。やや伏し目がちで夢見るようなまなざしの表情は、単なる写実を超え、観る者に内面的な詩情や物語を感じさせます。稲垣考二は、1952年愛知県生まれ。愛知県立芸術大学油画科および大学院研修科を修了後、数々の受賞歴を経て、国画会を中心に活躍。時代の流行に左右されることなく、油彩・アクリル・パステル・デッサンなど多様な技法を用いて具象表現を追求し続けてきました。本作もまた、彼の一貫した美意識と、高度な造形力に裏打ちされた独自の世界観を体現する一枚といえるでしょう。