商品説明 「ジャパニメーション」という呼称も近年すっかり定着した感のある日本のアニメーション(以下、アニメ)が、学術研究の対象として充分な複雑さと厚みを持つと認められはじめたのは、大友克洋の『AKIRA』アニメ版が公開された1988年前後からだろう。日本文学を研究してきた著者がアニメに関心を持ったのも、まさにこの作品からだったという。 その『AKIRA』に始まり、『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『もののけ姫』など、アニメを語る際必ず取り沙汰される作品群から、『らんま1/2』、『ああっ女神さまっ』といった、ヒット作ではあるがその手の文脈では滅多に語られないタイプのもの、さらにはポルノ色の強い作品まで網羅して、著者はアニメの作品世界を、その後ろに見え隠れする心理を、さらにはそれを生んだ戦後日本の姿を論じていく。「終末(アポカリプス)モード」「祝祭(フェスティバル)モード」「挽歌(エレジー)モード」の3種類の表現モードという観点を使ったこの考察はユニークで、まずは当を得ている。