F2044 八面玲瓏の鎖 造幣局検定刻印 天然上質D4.00ct 8面喜平 最高級18金無垢セレブNC 54.5cm 101g 7.3mm

F2044 八面玲瓏の鎖 造幣局検定刻印 天然上質D4.00ct 8面喜平 最高級18金無垢セレブNC 54.5cm 101g 7.3mm 收藏

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以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです〜〜

八面玲瓏の鎖が繋ぐ夢 **序章:玲瓏の輝きと、眠れない夜
大阪、南船場。御堂筋から一本入った、石畳がモダンな雰囲気を醸し出す一角に、その店はあった。祖父の代から続く高級宝飾店「ブランドクラブ」。三代目の秋山海斗(あきやま かいと)は、ガラス張りの瀟洒な店の奥、マホガニーのデスクで重いため息をついていた。時刻は午後9時を過ぎ、街の喧騒は心地よいざわめきへと変わっている。しかし、海斗の心は静寂とは程遠い、不協和音に満ちていた。 「また、今夜も眠れないのか…」 慢性的な不眠症。かれこれ五年になる。ベッドに入っても意識は冴えわたり、思考の渦が彼を浅い覚醒状態に縛り付ける。有名な睡眠外来にも通い、処方された薬も試したが、効果は一時的だった。日中の倦怠感、集中力の欠如は、彼の仕事にも影を落としていた。 海斗が継いだ「ブランドクラブ」は、もはや単なる宝飾店ではなかった。資産価値、投資対象としてのジュエリー。顧客はステータスを求め、海斗は的確なデータと市場分析でそれに応える。祖父・源治郎(げんじろう)が大切にした「人と宝石の物語」は、効率と利益を追求する現代の経営の中では、色褪せた御伽話に過ぎなかった。海斗自身、そう信じようとしていた。感情を排し、数字と向き合うことこそが、この店を存続させる唯一の道なのだと。 その日、店の金庫に、特別な一本が収められた。 商品コード「F2044」。海斗が自ら名付けた名は、「八面玲瓏の鎖」。 それは、K18イエローゴールドで編まれた、8面カットの喜平ネックレスだった。全長54.5cm、総重量101g。ずっしりとした重みは、持つ者の手に確かな存在感を伝える。そして、その全面に寸分の隙間なく、合計4.00カラットもの天然ダイヤモンドがパヴェセッティングされている。一つ一つのダイヤモンドは小粒ながら、最高品質の輝きを放ち、連鎖することで光の川となっていた。まさに、八面どこから見ても玲瓏たる輝きを放つ、芸術品だった。 造幣局の検定刻印が、その品位を静かに証明している。 「素晴らしい…ですが、少し、 intimidating(威圧的)ですね」 隣で検品作業をしていた若きジェモロジスト(宝石鑑定士)、水城莉奈(みずき りな)が呟いた。彼女は海斗の右腕であり、彼の数少ない理解者だった。 「これほどの物、どんな方が着けこなされるんでしょうか」 「さあな。だが、これに見合うだけの価値を生み出せる人間だろう」 海斗は感情を殺して答えた。だが、彼の指先は、その冷たく滑らかな感触に囚われていた。101グラムの黄金と、4カラットの炭素結晶。それは、物理的な重さ以上の何かを宿しているように感じられた。 その夜も、海斗は寝付けずにいた。羊を数える代わりに、彼は今日の売上と明日のアポイントメントを頭の中で反芻する。午前2時。諦めてリビングに出ると、昼間見たネックレスの残像が脳裏をよぎった。抗いがたい衝動に駆られ、彼は仕事場に戻り、金庫から「八面玲瓏の鎖」を取り出した。 ひやりとした金属の感触が、火照った首筋を撫でる。重い。だが、不思議と不快ではない。むしろ、その重みが、浮つきがちな意識を身体に引き戻してくれるような、奇妙な安心感があった。ソファに深く身を沈め、ネックレスを首にかけたまま、海斗は目を閉じた。金のリンクが鎖骨の上で微かに音を立てる。ダイヤモンドのファセットが、間接照明の光を捉えて、瞼の裏に柔らかな光のプリズムを描いた。 彼は、数年前に読んだ、ある学術論文を思い出していた。ケンブリッジ大学の研究者が発表した『精神触覚共鳴:貴金属及び結晶格子がヒトのレム睡眠サイクルに及ぼす潜在的影響』と題された論文だ。その中で、著者であるアリステア・フィンチ博士は、「金やダイヤモンドのような、極めて秩序正しい原子構造を持つ物質は、人体の生体電場と微弱な共鳴を起こし、特に精神的ストレス下にある被験者の脳波を、覚醒状態のβ波から、リラックス状態のα波、さらには浅い睡眠状態のθ波へと誘導する可能性がある」と仮説を立てていた。 「馬鹿げてる…ただのオカルトだ」 そう自嘲しながらも、彼の意識はゆっくりと沈んでいった。101グラムの重みが、まるで母の腕のように彼を支え、4カラットの輝きが、彼の心を夜の闇から守っているかのように。 それは、彼がここ数年で経験したことのない、深く、穏やかな眠りへの序章だった。 **第一章:昭和の匂いと、祖父の背中** 目を覚ました時、海斗の鼻腔をくすぐったのは、いつも使っている高級アロマディフューザーの香りではなかった。それは、もっと無骨で、生命力に満ちた匂い。金属を磨く油の匂い、煙草の煙、そして、微かに香るドリップコーヒーの香り。 瞼をこじ開けると、視界に飛び込んできたのは、見慣れた自分の店の、しかし全く違う風景だった。 天井は低く、壁には手書きのデッサンや工具が雑然と掛けられている。マホガニーのデスクはなく、そこにあるのは傷だらけの木製の作業台。最新のLED照明ではなく、温かみのある白熱灯が、舞い散る埃をキラキラと照らし出していた。 「…どこだ、ここは」 混乱する頭で身体を起こすと、首にかけたはずの「八面玲瓏の鎖」がないことに気づいた。代わりに、彼はくたびれたソファの上に横たわっていた。着ている服も、いつものイタリア製のスーツではなく、洗いざらしの白いシャツと、太めのコットンのパンツに変わっている。 「おう、起きたか。随分とうなされてたぞ」 声のした方へ顔を向けると、そこに一人の男が立っていた。歳は五十代半ばだろうか。日に焼け、節くれだった指でルーペを覗き込みながら、ピンセットで小さな宝石を摘まんでいる。分厚い肩、集中するときの険しい眉間の皺。そして、その横顔に、海斗は息を呑んだ。 古いアルバムで何度も見た、若き日の祖父、秋山源治郎その人だった。 「…じい…ちゃん?」 掠れた声で呟くと、男は怪訝そうに顔を上げた。その眼光は鋭く、しかし奥に温かい光を宿していた。 「じいちゃん? 人違いじゃないのか、坊主。俺は秋山だ。それより、お前さん、名前はなんて言うんだ。昨日、うちの店の前で倒れてたんだぞ」 昨日? 倒れてた? 海斗の頭は完全にキャパシティを超えていた。状況を理解しようと窓の外に目をやると、そこには信じがたい光景が広がっていた。行き交う車は角張ったデザインの国産車ばかり。人々の服装も、どこか懐かしい、それでいて古風なスタイルだ。通りの向かいにある喫茶店の看板には、「昭和五十一年創業」とある。 昭和…五十一年? 西暦で言えば、1976年。 「タイムスリップ…?」 非現実的な言葉が口をついて出た。源治郎は「何を寝ぼけたことを言ってるんだ」と呆れたように笑った。 「まあいい。腹も減っただろう。何か食うか?」 差し出されたのは、近所の喫茶店から取ったであろう、分厚い玉子サンドだった。空腹だったことに気づいた海斗は、夢中でそれを頬張った。その素朴で優しい味は、彼が忘れていた何かを思い出させるようだった。 「俺は秋山源治郎。ここで宝飾店をやってる。お前さん、記憶がないのか?」 海斗は咄嗟に嘘をついた。 「…はい。頭を打ったみたいで…自分の名前も、どこから来たのかも…」 「そうか、そりゃあ難儀だな。まあ、思い出せるまでここにいればいい。人手はいくらあっても足りんからな。何か手伝えることはあるだろう」 源治郎のあっけらかんとした優しさに、海斗は戸惑いながらも救われた思いがした。彼は自分の名前を「カイト」とだけ名乗った。 その日から、海斗の奇妙な二重生活が始まった。彼は源治郎のもとで、見習いとして働き始めた。現代の「ブランドクラブ」では、彼が触れるのは完成された商品と、パソコンの画面に映る数字だけだった。しかし、昭和の「秋山宝飾店」では、全てが手作業だった。 地金の溶解、圧延、ロウ付け、石留め、そして研磨。源治郎のゴツゴツとした指先から、魔法のように美しいジュエリーが生まれていく過程を、海斗は食い入るように見つめた。そこには、効率や利益率といった概念は存在しない。ただひたすらに、目の前の一つの宝石、一人の顧客と向き合う、誠実で、熱い時間が流れていた。 「いいか、カイト。俺たちが作ってるのは、ただの飾りじゃない。人の想いを形にする、一生もんの宝物なんだ。だから、一瞬たりとも気は抜けねえ。この小さな爪一つで、ダイヤの輝きは死にもし、生きもするんだ」 源治郎は、ダイヤモンドを留める爪をヤスリで削りながら言った。その真剣な横顔は、海斗が知る、晩年の穏やかな祖父とは全く違う、職人としての凄みに満ちていた。 海斗は、自分が今までいかに「宝石」の表面しか見ていなかったかを痛感させられた。カラット、カラー、クラリティ、カット。4Cという記号でしか宝石を評価してこなかった。しかし、源治郎は一つ一つの石が持つ「個性」を語った。 「このサファイアは、少しインクルージョンが多い。だが、それがいい。まるで夜空に浮かぶ星雲のようだ。この石を欲しがってるお客さんはな、星を見るのが好きなんだそうだ。これ以上の石はねえよ」 海斗は衝撃を受けた。それは、現代のビジネスでは「欠点」として扱われるものだ。しかし、源治郎はそれを「物語」として昇華させていた。 夜になると、海斗は店の二階にある小さな部屋で眠った。驚くべきことに、あれほど彼を苦しめていた不眠症が、ここに来てから嘘のように消えていた。昼間の肉体労働の疲れもあっただろう。だが、それだけではない。規則正しい生活、源治郎との実直な対話、そして何より、仕事に対する純粋な充実感。それらが、彼の乱れた体内時計を優しくリセットしていくようだった。 ここでも、彼はあの論文を思い出すことがあった。フィンチ博士は論文の別の章で、「人間の睡眠覚醒リズム、すなわちサーカディアンリズムは、光だけでなく、日中の活動における『意味のある触覚的・精神的エンゲージメント』によっても強く調整される」と述べていた。金属の硬さ、宝石の冷たさ、工具の重み。それらを感じながら、一つのものを創り上げるという没入体験。それはまさに、フィンチ博士が言う「意味のあるエンゲージメント」そのものではないか。 眠りに落ちるたび、彼は現代で首にかけた「八面玲瓏の鎖」の、あのずっしりとした重みを思い出した。あの重みが、時空を超えて彼をこの場所に繋ぎ止めているのだろうか。 **第二章:小夜の指先と、心の共鳴** 海斗が昭和の時代に来て、三ヶ月が経った頃、一人の女性が店を訪れた。 古風なワンピースに身を包んだ、凛とした佇まいの女性だった。彼女は、小夜(さよ)と名乗った。 「秋山さん、お願いしていたものが、できましたでしょうか」 その声は、夏の夜風のように涼やかで、どこか儚げだった。彼女が差し出したのは、小さな布の包み。中から現れたのは、一つのカボションカットの翡翠(ひすい)だった。深く、吸い込まれるような緑色。しかし、その表面には微かな傷があり、輝きを損ねていた。 「母の形見なんです。この傷を、なんとか…」 源治郎はルーペを手に取り、黙って翡翠を検分した。そして、静かに首を横に振った。 「お嬢さん、こいつは無理だ。この傷を消すまで磨いちまったら、石の形が変わっちまう。お母様が愛したこの翡翠じゃなくなっちまうよ」 小夜の肩が、小さく震えた。海斗は、彼女の瞳に浮かんだ絶望の色を見て、思わず口を挟んだ。 「待ってください。やり方があるかもしれません」 源治郎が、咎めるような視線を海斗に向けた。しかし、海斗は続けた。 「傷を消すのではなく、傷を活かすんです。この傷に沿って、金の細い線を彫り入れるのはどうでしょう。まるで、ひび割れた器を漆で修復する、金継ぎのように」 それは、現代で海斗が見た、ある前衛的なジュエリーデザイナーの手法だった。欠点を隠すのではなく、デザインの一部として受け入れ、新たな価値を与える。 源治郎は目を丸くし、やがてニヤリと笑った。 「金継ぎ、か…面白いことを考えるじゃねえか、カイト。よし、やってみよう」 小夜は、驚きと希望が入り混じった顔で、海斗を見つめた。その眼差しに、海斗の心臓が小さく音を立てた。 作業は困難を極めた。翡翠は硬く、脆い。僅かな手元の狂いが、取り返しのつかない事態を招く。海斗は現代で得た知識を総動員し、源治郎は長年の経験と勘で、ミクロン単位の彫金作業を進めていった。二人は何日も夜遅くまで作業台に向かい、言葉少なに、しかし確かな信頼感で繋がっていた。 その間、小夜は毎日店に顔を出し、二人に温かいお茶を淹れてくれた。彼女は、京都で西陣織の職人をしているらしかった。彼女の指先は細く、しなやかで、布を扱うための繊細な動きが染み付いていた。 「私の仕事も同じです」 ある日、彼女は静かに言った。 「一本の糸の綻びが、全体の柄を台無しにしてしまう。でも、その綻びを活かして、新しい模様を生み出すこともできる。全ては、作り手の心次第なんです」 海斗は、彼女の言葉に、源治郎と同じ哲学を感じた。そして、それは彼が現代で失ってしまったものでもあった。彼は、小夜という女性に、急速に惹かれていった。彼女の持つ静かな強さ、物事の本質を見抜く眼差し。彼女と話していると、不眠に悩まされていた頃の、ささくれだった心が穏やかになっていくのを感じた。 ついに、翡翠の金継ぎリングは完成した。傷跡をなぞるように走る金のラインは、まるで翡翠に宿る生命の葉脈のようだった。傷は消えていない。しかし、それはもはや欠点ではなく、その石だけの、唯一無二の物語となっていた。 小夜は、完成したリングを指にはめ、涙を浮かべた。 「…母が、喜んでくれているようです。ありがとうございます、秋山さん。そして、カイトさんも」 彼女の微笑みは、どんな宝石よりも美しく、海斗の胸を締め付けた。 その夜、海斗は珍しく寝付けなかった。しかし、それは不安や焦燥からくる不眠ではなかった。小夜への想いが、彼の心を甘く満たし、心地よい興奮状態にさせていた。 彼は、自分がこの時代に留まりたいと、本気で願い始めていることに気づいた。源治郎のもとで職人としての道を極め、小夜と共に生きていく。それは、なんと魅力的な未来だろうか。 しかし、同時に罪悪感が彼を苛んだ。現代には、彼を心配しているであろう莉奈がいる。彼が守るべき「ブランドクラブ」がある。自分は、この時代の人間ではない。いつかは帰らなければならない、ただの侵入者なのだ。 この頃から、海斗は再び、あのタイムスリップの引き金となった「八面玲瓏の鎖」について、より深く考察するようになっていた。彼は、今度は別の学術論文を思い出していた。それは、量子物理学の分野のもので、タイトルは『結晶構造におけるマクロスコピック・クォンタム・メモリーの可能性』。 その論文は、ダイヤモンドのような極めて安定した結晶格子の中には、その物質が形成されてから経験した外部環境のエネルギー情報が、「量子的な記憶」としてエンタングルメント(量子もつれ)の形で記録されうる、という大胆な仮説を提唱していた。そして、特定の条件下で、人間の意識(脳の生体電場)がその「記憶」と共鳴した時、時空を超えた情報の転送、すなわち一種の精神的タイムトラベルが起こりうるのではないか、と。 「八面玲瓏の鎖に使われていた、あの4カラットのダイヤモンド…。あれは、もしかしたら、この昭和の時代に、源治郎の手によって採掘され、カットされたものだったのではないか? そして、この時代の記憶が、量子レベルで刻み込まれていた…? 俺の不眠による不安定な精神状態が、その量子メモリと同調するためのトリガーになった…?」 荒唐無稽な仮説。だが、そうでも考えなければ、この現状は説明がつかない。もしそうだとしたら、あのネックレスは、単なる宝飾品ではなく、時を繋ぐための「鍵」そのものだ。 そして、その鍵は、いつか彼を現代に引き戻すだろう。小夜との幸せな時間は、永遠ではない。その予感が、彼の胸を冷たく締め付けた。 **第三章:鎖の宿命と、別れの決意** 季節は夏から秋へと移ろいでいた。海斗は、職人として目覚ましい成長を遂げていた。現代で培った知識と、昭和の地道な手仕事の経験が融合し、彼の作るジュエリーには、源治郎も舌を巻くほどの斬新さと、確かな技術が宿るようになっていた。 小夜との関係も、ゆっくりと、しかし確実に深まっていた。二人で神社の縁日を歩いたり、休日に京都まで足を延ばし、彼女の仕事場を見せてもらったりした。機織り機の前に座る彼女の真剣な横顔は、神々しいほどに美しかった。 「カイトさんは、不思議な人ですね」 ある日、鴨川のほとりを歩きながら、小夜が言った。 「時々、ずっと未来のことを見ているような目をされる。まるで、この時代の人間ではないみたい」 海斗は心臓が凍る思いがした。しかし、彼は平静を装って微笑んだ。 「未来のことばかり考えてるからかな。もっと、今を大切にしないとね」 「いいえ」と小夜は首を振った。「そういう意味ではなくて…。あなたは、私たちが見ていない景色を知っている。それが、あなたの作るものに、特別な輝きを与えているんだと思います」 彼女には、お見通しなのかもしれない。海斗は、いつか真実を話さなければならない時が来ることを覚悟した。 運命の日は、突然訪れた。 ある顧客が、特注品のネックレスの製作を源治郎に依頼してきた。それは、総重量100グラムを超える、K18ゴールドの喜平ネックレス。そして、全面にダイヤモンドを敷き詰めてほしい、という途方もない注文だった。 依頼主は、新進気鋭の不動産会社の社長で、高度経済成長の波に乗って財を成した人物だった。 「誰も見たことがないような、最高のものを頼む。金に糸目はつけん」 その男の言葉を聞いた時、海斗は全身に鳥肌が立った。間違いない。これは、自分が現代で見た「八面玲瓏の鎖」の、原型だ。今、まさに、歴史が生まれようとしている。 源治郎は最初、そのあまりに豪奢で、品がないとさえ思える注文に難色を示した。 「こんなギラギラしたもの、うちの仕事じゃねえ」 しかし、海斗は必死に源治郎を説得した。 「じいちゃん、やろう。これは、ただの成金の道楽じゃない。これは、この時代のエネルギーそのものだ。この国が持つ、熱狂と、自信の象徴なんだ。それを形にするのが、俺たちの仕事じゃないのか」 海斗の目には、いつになく強い光が宿っていた。彼は、このネックレスが完成した時、自分の役目が終わることを、本能的に悟っていた。これは、彼がこの時代にやってきた意味そのものだった。この鎖の誕生に立ち会い、その「物語」と「魂」を、未来に持ち帰ること。 源治郎は、海斗の気迫に押され、ついに首を縦に振った。 製作は、想像を絶する困難の連続だった。100グラムを超える金の塊を、均一な8面カットの喜平チェーンに仕上げる技術。そして、寸分の狂いもなく、数百個のダイヤモンドを石留めしていく根気。 海斗と源治郎は、文字通り寝食を忘れ、製作に没頭した。海斗は、現代で見たあのネックレスの完璧なフォルムを脳裏に焼き付け、それを再現しようと全力を尽くした。源治郎は、海斗の示す未来的なデザインと、自身の伝統的な技術を融合させ、一つの芸術品を創り上げていった。 その間、海斗は小夜と会う時間もなくなっていた。たまに店に顔を出す彼女に、彼は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 「無理なさらないでくださいね」 そう言って微笑む彼女の顔が、痛々しいほど健気に見えた。 そして、数ヶ月後。ついに「八面玲瓏の鎖」は完成した。 作業台の上に置かれたそれは、昭和の白熱灯の下で、まるで自ら光を放っているかのように輝いていた。源治郎が作ったものでありながら、海斗が未来で知っているものと寸分違わぬ姿。それは、時空を超えた奇跡の結晶だった。 源治郎は、完成した鎖を手に取り、満足そうに頷いた。 「…すげえもんができちまったな。カイト、お前がいなけりゃ、こいつは生まれなかった。お前は、一体何者なんだ?」 源治郎の問いに、海斗は答えることができなかった。ただ、深く頭を下げた。 その夜、海斗は小夜を呼び出した。これが、最後の夜になるだろうという予感があった。 いつもの鴨川のほとり。月明かりが、静かな川面を照らしていた。 「小夜さん、言わなければならないことがあるんだ」 海斗は、全てを話した。自分が未来から来たこと。不眠症に悩んでいたこと。あのネックレスに導かれて、この時代に来たこと。そして、もうすぐ帰らなければならないこと。 突拍子もない話に、小夜は驚くか、笑い飛ばすだろうと思っていた。しかし、彼女は静かに、海斗の話を聞いていた。そして、全てを聞き終えると、そっと呟いた。 「…やっぱり、そうだったんですね」 彼女は、全てを理解していたかのように、穏やかな顔で微笑んだ。 「初めてお会いした時から、そんな気がしていました。あなたは、ここにいるべき人ではない、と。でも、あなたと過ごした時間は、私にとって、かけがえのない宝物です」 涙が、彼女の頬を伝った。海斗は、彼女を強く抱きしめたかった。しかし、彼にはその資格がない。彼女の未来を奪う権利など、どこにもないのだ。 「俺は…君を、愛してた」 やっとの思いで絞り出した言葉は、夜の空気に溶けて消えた。 「私もです」と小夜は答えた。「だから、帰ってください、カイトさん。あなたのいるべき場所へ。そして、そこで、あなたの物語を生きてください。私は、この時代で、あなたのことをずっと、憶えていますから」 それが、二人の別れだった。 店に戻ると、海斗は源治郎に別れを告げた。 「じいちゃん、世話になった。俺は、もう行かなきゃならない」 源治郎は、何も聞かなかった。ただ、黙って海斗の肩を叩いた。 「そうか。…達者でな」 その無言の優しさが、海斗の胸を締め付けた。彼は、この不器用で、誰よりも温かい祖父のことが、大好きだった。 海斗は、店の片隅にあるソファに横になった。眠れば、きっと現代に戻れるだろう。しかし、眠ることが、これほど辛いと思ったことはなかった。瞼を閉じれば、源治郎の背中と、小夜の泣き顔が浮かんでくる。 それでも、彼は目を閉じた。心の中で、二人に別れを告げながら。ありがとう、と。さようなら、と。 意識が遠のいていく。最後に感じたのは、なぜか首筋に感じる、あの101グラムの重みだった。 **第四章:令和の光と、甦る魂** ハッと目を覚ますと、海斗は自分の店のソファにいた。窓の外は、すでに白み始めている。令和の朝だ。 首には、あの「八面玲瓏の鎖」が、ずっしりとした存在感でかかっていた。 「…夢…?」 一瞬、そう思った。だが、手のひらを見ると、そこには無数の小さな傷と、硬くなったタコができていた。それは、何ヶ月も工具を握り続けた者だけが持つ、職人の手だった。頬を、一筋の涙が伝った。夢ではなかった。 彼は、時を超え、祖父と、そして小夜と共に生きていたのだ。 その日を境に、秋山海斗は変わった。 あれほど彼を苦しめていた不眠症は、完全に消え去っていた。夜になれば自然と眠くなり、朝はすっきりと目覚める。まるで、昭和の時代で、彼の心と身体が根本からリセットされたかのようだった。 そして何より、彼の仕事への姿勢が、180度変わった。 「莉奈さん、このリング、少し石の座りを調整しよう。こっちの方が、光がもっと入る」 「このピアスの顧客は、どんな方なんだ? その人のライフスタイルに合った提案をしたい」 彼は、商品のデータや市場価値だけでなく、そのジュエリーが持つ「物語」を、誰かの「想い」を、何よりも大切にするようになった。彼の目は、以前の虚ろな光を失い、源治郎と同じ、情熱と自信に満ちた輝きを宿していた。 その変化に、誰よりも早く気づいたのは、莉奈だった。 「社長、最近、何かいいことでもあったんですか? まるで、別人のようです」 ある日、莉奈は思い切って尋ねた。海斗は、窓の外の南船場の街並みを見ながら、静かに微笑んだ。 「…長い、良い夢を見ていたんだ。祖父に、大切なことをたくさん教わる夢をね」 彼は、タイムスリップのことは話さなかった。信じてもらえないだろうし、それは彼と、昭和の時代に生きる人々だけの、神聖な秘密だった。 海斗は、「ブランドクラブ」の経営方針を大きく転換した。単に高価な商品を並べるだけでなく、顧客一人ひとりと深く向き合い、その人の人生に寄り添うジュエリーを提案する、サロンのような形態に変えていった。オーダーメイドや、古いジュエリーを現代的なデザインに蘇らせるリフォームにも力を入れた。 最初は戸惑っていたスタッフも、生き生きと仕事をする海斗の姿に惹きつけられ、次第に店全体の雰囲気が、温かく、創造的なものに変わっていった。売上は一時的に落ち込んだが、半年もすると、海斗の新しいスタイルを支持する顧客が着実に増え始め、店の評判は以前にも増して高まっていった。 そんなある日、「八面玲瓏の鎖」を買い取りたいという顧客が現れた。 現れたのは、若いIT企業の経営者だった。派手な身なりを想像していた海斗の予想に反し、彼は質素なTシャツ姿の、物静かな青年だった。 「このネックレスを、ずっと探していました」 青年は言った。 「僕は、一代で会社を築き上げました。がむしゃらに働いて、お金も地位も手に入れた。でも、どこか満たされなかった。そんな時、祖母から、祖父の話を聞いたんです」 青年の祖父は、かつて不動産業で成功を収めた人物だったという。そして、成功の証として、ある宝飾職人に、最高の喜平ネックレスを作らせたのだと。 「祖父は、そのネックレスを身に着けることで、自分を鼓舞し、会社の未来を信じ続けたそうです。でも、晩年は、その派手さを恥じて、誰にも見せずにしまい込んでいた。そして、僕が生まれる前に亡くなりました。ネックレスも、どこかへ行ってしまったと…」 海斗は、息を呑んだ。まさか、こんな形で、物語が繋がるとは。 「僕は、祖父が抱いていたであろう、あの時代の熱狂と、そして孤独を、このネックレスから感じるんです。これを身に着けて、祖父が成し遂げられなかった、もっと先の未来へ進みたい。これは僕にとって、単なるアクセサリーじゃない。お守りであり、道標なんです」 青年の目は、真剣だった。 海斗は、静かに「八面玲瓏の鎖」をケースから取り出し、青年の前に置いた。ずっしりとした重みと、眩いばかりの輝き。それは、昭和の熱気と、源治郎と海斗自身の魂が込められた、唯一無二の作品だった。 「…素晴らしい物語を、ありがとうございます。この鎖は、あなたのような方にこそ、持っていてほしい」 海斗は、心の底からそう思った。宝石は、その価値を理解し、物語を受け継いでくれる人のもとへ行くべきなのだ。源治郎なら、きっとそう言うだろう。 取引が終わり、青年が満足そうに帰っていくのを見送った後、莉奈が海斗の隣に立った。 「なんだか、感動しちゃいました。あのネックレスが、嫁いでいくみたいで」 「ああ、本当に」 海斗は頷いた。心の中には、一抹の寂しさと、それ以上の大きな満足感が広がっていた。あの鎖は、時を超えて、その役目を果たしたのだ。 「社長」と莉奈が言った。「もしよかったら、今夜、食事でもどうですか。社長の…その、夢の話、もっと聞いてみたいです」 少し頬を染めながら言う彼女の顔は、とても魅力的だった。海斗は、彼女のまっすぐな瞳を見つめ返した。昭和の時代で、彼は小夜というかけがえのない人と出会った。しかし、彼は令和の人間だ。この時代で、彼が築いていくべき未来がある。莉奈と共に。 「喜んで。僕の長い夢と…これからの、僕たちの話をしよう」 海斗は、微笑んで答えた。 **終章:八面玲瓏の未来へ** 南船場の夜景が、店の大きな窓の向こうにきらめいていた。海斗と莉奈は、新しい門出を迎えた「ブランドクラブ」で、シャンパンのグラスを傾けていた。 海斗の不眠症は、もう二度と再発することはなかった。彼の眠りは、深く、穏やかで、時々、懐かしい夢を見た。作業台に向かう祖父の背中の夢。鴨川のほとりで微笑む、小夜の夢。それは、切ないけれど、温かい夢だった。 彼は、今、自分が立っているこの場所が、過去からの贈りものであることを知っている。そして、未来へと物語を繋いでいく責任があることも。 「八面玲瓏」という言葉には、「どこから見ても透き通って、曇りがない」という意味の他に、「誰とでも円満に付き合える」という意味もある。 海斗は、まさにその言葉を体現するようになっていた。顧客と、スタッフと、そして、彼が扱う宝石たちと、誠実で、円満な関係を築いている。 彼の心は、もう曇ってはいない。 グラスを合わせる澄んだ音が、令和の夜に響き渡る。それは、新しい物語の始まりを告げる、祝福の音色だった。秋山海斗と「ブランドクラブ」の、そして彼が愛する人々との、八面玲瓏に輝く未来への
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