ーストがあなたに届ける極上のバラード・アルバム!ムーディーと言える彼のピアノは、いつも感傷に溢れ
、甘い追想に彩られている。
ヨス・ヴァン・ビーストはスタジオに置かれたスタインウエイの前に座り、大喜びしたという。「ほら、
全然響きが違うだろ?」。ビーストの音楽性を如実に語るエピソードではないだろうか?一方、彼ほど
「サワノ的」なものを表現するアーティストもいないような気がする。シャフラノフもレーベルの顔で
はあるが、彼の演奏はサワノ以前にも評価されていた。このビーストはサワノならでは世に出た、と
言っても過言ではないだろう。
親しみやすくはあるけれど、その個性があまりに強烈だからだ。グルーヴィーと言うよりはムーディーと
言いたい彼のピアノは、音符を絵の具に、鍵盤を絵筆として描かれた心の風景画のようなものだ。それ
はいつも感傷に溢れているし、甘い追想に彩られている。ジャズ・ピアノにスリルやテンションだけを
求めるなら、彼の作品を無視することはたやすい。しかし、恋人との時間や夜のしじまの友として求め
られてきたのもまたジャズ・ピアノではなかったか。
ビーストの指先は綱渡りの危うさと細心さで、自ら信じた「ジャズ」を表現しつくしている、と思う。
それはアルバムタイトルが示すようにゆるやかなスウィング。魔術にも似た・のイントロだけでそれは
感じ取ることができるはずだ。その「ゆらぎ」に身をまかせれば、そこには貴腐ワインがもたらすよう
なやわらかな酩酊が待っているだろう。ジス・イズ・サワノ。言い訳はいらない。酔うために聴く。
これはそういう音楽なのだ。
- 1. Stella By Starlight
- 2. Telkens Weer
- 3. You Are The Sunshine Of My Life
- 4. Autumn Leaves
- 5. Have You Met Miss Jones
- 6. Manha De Carnaval
- 7. Satin Doll
- 8. Here's That Rainy Day
- 9. Flamingo
- 10. Dreamland