
ロシア帝国皇后マリヤの鶏卵古写真。
パリのスタジオによる発行で、ドレスの質感まで鮮明に写っている。
マリヤ皇后は、ドイツ帝国ヘッセン大公の娘プリンセス・マリー・フォン・ヘッセン(=ダルムシュタット)として生まれた。
バイエルン国王ルートヴィヒ二世も憧れていた当時有名な美人であり、いわゆる政治的な要素ではなく結婚した。
実父はヘッセン大公ではなく、母大公妃の愛人の貴族だったと言われる。
息子の皇太子ニコライを亡くしてから病気がちになり、公的な場面に出ることが少なくなった。
残っている本人の写真の中では比較的初期の頃のカルト・ド・ヴィジットである。
アンティーク・ヴィンテージの紙物は傷や汚れ、微細な破れ、角折れ・折れも当たり前に存在します。
画像をよくご覧頂き、見えにくい箇所や気になる点があればご質問下さい。
お取引に当たっては必ず自己紹介をご覧頂き、何かありましたらご質問下さい。
★カルト・ド・ヴィジットとは
フランス語由来でカルト・ド・ヴィジットと呼ばれる、1800年代当時の王侯貴族が訪問時等に名刺代わりに使用した古写真。
手札判写真(手札版)、鶏卵写真とも呼ばれる。
1860年頃から芸能関係の有名人などを写した写真も含めてスタジオから既製品として売り出され、英国女王ヴィクトリアも含めて王侯貴族にも熱心な蒐集者がおり、イギリスのナショナル・ポートレート・ギャラリーには多くの王侯貴族のCDVやキャビネットカードと呼ばれるキャビネ判写真が収蔵されている。
こういった古写真は、男女共にヘアスタイル、被服、ジュエリー等のアクセサリー類の服装史の上でも興味深い。
フランス皇后ウジェニーは、ただの美人として歴史の上では特筆すべきものはないとされていることが多くあるが、ファッション界ではカルティエやオートクチュールの父と呼ばれるフレデリック・ワースを王侯貴族に紹介した人物として名高い当時のトレンドセッターである(但し一人息子の死後は全身黒付くめの喪服しか着用しなかった)。
王侯貴族は自国や嫁ぎ先、統治者として迎えられた国の髪型や服装にアクセサリーを纏って写真に収まることも多く、風俗史の上でも意義深い。
当時物でもスタジオの台紙に貼り付けられた正規品からややピントのボケた複製品の海賊版まで存在し、今日でも、当時(欧米では明治期からスクラップブッキングが盛ん)正規品の台紙から写真を剥がして個人のアルバムに貼り付けてあったものを剥がしたものが個別に販売されることがある。
鶏卵写真とは現像のプロセスに使用する原料から付けられた名称で、独特の質感を持つ。
銀塩写真はその後の製造になり、こちらは金属的な光沢を持ち、ポストカードに仕立てられたものが多い。