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【LP１枚】シングル（盤）　国内盤　SG539　 若いころ、院生を関西でやっていました。大フィル＆朝比奈に関しては、「下手なオーケストラに鈍重な指揮者。なんでおっさんたちはあんなものに魅せられるんだろ？宇野功芳のせいか？？」と冷笑的に見ていました。私の中で朝比奈の評価ががらりと変わったのは、ブルックナーではなく、例のマーラー三番のライヴを（マーラー嫌いなのに）マーラー:交響曲第3番聴きに行ってからでした。そしてそのあとは、「朝比奈なら何でもいい」ではなくて、選びながら聴きに行きました。朝比奈のモーツァルト？？冗談じゃありません。私の中でモーツァルトはリヒャルト・シュトラウスとシューリヒトとセルとムラヴィンスキーとヴァントでとどめですから。マーラー三番・二番と並んで、朝比奈にぴったりな曲が第九（本質的に私が最も苦手な曲の一つです）と蛍の光でしょう。朝比奈という指揮者は私が苦手とする作曲家のいい面を抉り出してくれた指揮者でした。そして、朝比奈がやりたかったことは、西洋文明の日本的受容なのでしょう。小林一三が進めた京阪神モダニズムを徹底化して、年中行事・風物詩にしたかったのでしょうね（ちなみに朝比奈と小林阪急は一生特別な関係にありました）。この第九は私も聴きに行ったのですが、これが最後になるとは思いもよらないものでしたよ。私は、好みの問題ですが、ライナーノートの執筆者様とは反対で、12月30日のものが好きです。この演奏を聴いて、そのままヤバスで実家に帰ったからかもしれませんけどねｗ　このページの他のレビュアー様もおっしゃる通り、朝比奈はうまい演奏は求めていません。なぜなら、満州時代におそらく世界最強だったハルビン交響楽団を4年も振ったのですから。それでうまい演奏に飽きちゃったのかもしれませんね。そして、戦後は下手な大フィルを引っ張って、音楽を京阪神モダニズムの文脈で、風物詩化することにひたすら身をささげたのでした。幼かった私が「うまいオーケストラ、好みの音楽」しか聞けなかったのを、朝比奈はちょっとだけ、幅を広げてくれたのでした。合掌。中古です。小さな汚れあります。まとめて買えばお安くなります。