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美空ひばり: 時代を歌う　大下英治


終戦の翌年、下町の国民学校。即席ステージの垂れ幕には「美空楽団」と記されていた。「天才少女歌手」美空ひばりの誕生である。ひばりの歌声は戦後日本の歩みとともにあり、庶民の心を励まし勇気づけてくれた。しかし、「国民歌手」ひばりの栄光の陰には、家族の絆を断ち切れない加藤和枝の苦悩があった。〈戦後日本の原像〉を求め、様々な秘話でひばりの実像に迫った評伝決定版。

目次
母の故郷
父の故郷
初舞台
古賀政男との出会い
「美空ひばり」誕生
福島通人との出会い
田岡一雄と赤い靴
蘇る川田晴久
チエミとの火花
鶴田浩二襲わる
小野満との恋
チエミ、いづみの結婚
ひばり、旭に恋する
不死鳥〔ほか〕


レビューより
478名の関係者に取材し、参考資料も膨大。美空ひばりの評伝としてはこの本が決定版ということでよさそう。ステージママと言う概念を遙かに超えた母、大きすぎる母娘の存在に呑み込まれる父、弟二人。田岡一雄（山口組三代目）との深い関わり、俗に言う女の幸せは掴めなかったこと等、昭和12年に生まれ、平成元年に没した、昭和を体現した人美空ひばりの生涯は本当にドラマチックでした。その死が描かれていないのは昭和への愛惜か。見事な一冊だと思います。東映プログラムピクチュアの巨匠鈴木則文氏による解説も必読。