1995年名古屋CBC画廊を始め、各地の画廊で個展、賞賛を浴びる、1997年国際美術交流展（日本、韓国、中国）グランプリ受賞、1997年国際文化交流　功労特別大賞受賞　アーチスト大賞受賞、1998年ニューヨーク展グランプリ受賞、1998年アートジャーナルフランス大賞受賞、1998年「モナコ政府主催」の民間文化大使として出席、皇太子に絵を贈呈、1999年国際芸術文化勲章受賞

人見友紀「妻籠宿」油彩 30号 大作 共シール
本作「妻籠宿」は、長野県の中山道に残る宿場町の静かな佇まいを、細密な写実表現でとらえた大作です。画面には、古い木造家屋が軒を寄せ合う伝統的な町並みが横長の構図で広がり、石畳の路地がまっすぐ奥へと続いています。雨上がりを思わせる濡れた石畳には淡い光が柔らかく反射し、霧をまとった山並みと深い針葉樹の森が背景に溶け込むことで、冷涼で澄んだ空気感が作品全体を包み込んでいます。家々の軒先には季節の花々が彩りを添え、格子窓や木戸、宿の看板などの細部まで丁寧に描写され、宿場町が今も息づいているような生活の温もりが感じられます。中央に小さく歩む人物は、この静かな風景の時間軸にアクセントを加え、旅人が行き交った往時の情景を静かに呼び戻します。

60.6×91cmという30号の大きさは、宿場町の奥行きと空気の透明感を存分に伝え、見る者をまるで現地に立っているかのような没入感へと誘います。写実的でありながら清澄な色彩と柔らかな光の扱いは、伝統的な日本の町並みが持つ郷愁と静寂を美しく際立たせています。本作は、妻籠宿という歴史ある風景の魅力を端正かつ雄大に描き上げた、見応えある一枚です。