【基本情報|Release Information】
レーベル:Philips
品番:20PL-13/14
フォーマット:2LP(Gatefold, Stereo, Digitally Mastered)
国:Japan
リリース年:1982
タグ:City Pop, AOR, Vocal, Liminal, Studio Work, Memory Archive
【作品の解読|Decoding the Work】
空気が静かに湿る夜、大橋純子の声は、窓の向こうでまだ誰かが起きていることを教えてくれる。その声は、話しかけているようでいて、どこにも届かない。『ゴールデン・アンソロジー』は、歌ではなく、声の残響を編み直した記憶のアルバムである。
レコードを裏返すたびに、音の輪郭がゆっくりとずれていく。〈シンプル・ラブ〉や〈シルエット・ロマンス〉、〈たそがれマイ・ラブ〉。それぞれの曲は街の片隅や雨粒の中に埋もれていた記憶をひとつずつ拾い上げるように響く。それは旋律ではなく、音が生まれた「間」そのものに宿る情景の痕跡なのだ。
構成は4つの章に分かれ、それぞれが異なる聴取の地形を描いている。都市の夜景の中で生まれた声、舞台の照明の下で震える声、テレビの向こうで誰かが聴いていた声、そしてもう戻れない午後に置き去りにされた声。これは「曲集」ではなく、「声の気配の編集」なのだ。
音質も特筆すべきだろう。デジタルマスタリング初期の透明感が、アナログレコードの柔らかさと重なり合い、音の周囲に漂う湿度までも捉えているように思える。この音には、エフェクトやリバーブよりもむしろ、「忘れられなかった空気」が宿っている。
そして何より、この声には時間が宿る。大橋純子の歌は、時間を切り取るのではなく、時間を溶かしながら語り続ける。それゆえ、このベスト盤は過去の総括ではなく、今なお更新され続ける音の記録であり、耳の奥に残る誰かの息づかいをそっと撫でる、記憶の装置となっている。
【状態詳細|Condition Overview】
メディア:VG+(スレ、再生良好)
ジャケット:VG+(汚れ、RW)
付属品:帯
【支払と配送|Payment & Shipping】
発送:匿名配送(おてがる配送ゆうパック80サイズ)
支払:!かんたん決済(落札後5日以内)
注意事項:中古盤の特性上、微細なスレや経年変化にご理解ある方のみご入札ください。完璧な状態をお求めの方はご遠慮ください。重大な破損を除き、ノークレーム・ノーリターンにてお願いいたします。