
Automatic Radio Mfg. C-15
この小さな竪型ラジオは1920年~1951年迄存在した、東部ボストンの小メーカーの作品です。
1930年代中期から後期までの限られた期間にしかなかった6.3V ST管による米国版標準型トランス式5球スーパー。
非常に程度良く保存されたよい見本がここにあります。
シャシー内部には、1930年代を示す”Dog bone register” 犬の骨型抵抗多数。
一見して少なくとも一度はレストアの手が入っています。
その際に用いられた部材が素晴らしいです。 スプラーグ社の”ブラックビューティ”
並びに”オレンジドロップス”といった有名コンデンサが贅沢に奢られているのです。
写真の様にオレンジドロップスを実測してみますと、0.68μFと表示ドンピシャで、Vlossは何と0.2%!
オーディオの世界に名だたるコンデンサは一味違います。
レストアラーはオーディオマニアでしょうか?
そういえば、出力管に本来のUZ-42ではなく、より小型の41が挿してある。
42を只のラジオ球だと言って馬鹿にするオーディオマニアに、何故か41の音が良いとのたまう方がいるそうです。
このラジオは面白いです。
電気的には私の出る幕は無かったので、せめてマジックアイに手を入れてみます。
RCA製の珍しいダルマ型の6E5を入れました。
ご存じのように、6E5は筒型の物が殆どです。ゆえにGT管と間違えられ易いのですが違います。
そのソケットが示すようにST管です。しかも初期は本当にST管の形をしていた訳です。
マジックアイを収めるスリーブに、ST管用シールドケースが流用されていたので、サイズはこのほうが好都合です。
貴重なRCA Radiotron ダルマ6E5の良く光る物をジャストフィットで取り付けました。
6A7(周波数変換)、6D6(中間周波増幅)、75(検波、電圧増幅)、41(電力増幅)、80(両波整流)、6E5(同調指示)
真空管はRCA、KEN-RAD、Silvertone、NECの混在です。
感度、選択度ともに優秀です。これが90年前の設計と思うと感慨に耽ってしまいます。
ダイアル盤には短波の表示もありますが、短波はありません。空いたノブが一つありますから、
短波を追加できる仕様であったものと思われます。
ノブは左から音質、選局、SW&VOL、不明、となります。
サイズはH39cm×W31cm×D20cm 縦型としては小型です。
竪型はそのデザイン上、見た目の圧が強く、全てのパネルを同じ塗りで上げると重くてグロテスクになりがちです。
そういったことを避けるため、5種類の塗材を塗り分けて仕上げています。
ダイアル盤周りはオイルフィニッシュ。サイド、天板はオイルステイン+艶消しバーニッシュ。
スピーカーグリル周りはウレタン艶消し。グリル輪郭はインクブラック。台座と上部の鉢巻きはリキテックス調色です。
画像2で陰影のある細かなニュアンスをお確かめください。
本機は、当方での受信確認を経てはいますが、受信はご住居の地域、環境、構造に大きく左右される部分です。
鉄筋コンクリートは電波を遮蔽する為、不利にはたらきます。
また、整備品とはいえ本機の構成部品は70年の経年につき、コンディションの変化もあり得ます。
このため、いつジャンクに帰する可能性もあって、それゆえジャンク価格でのスタートとしています。
すなわちノークレーム、ノーリターンでのお取引となります。
以上、よろしくお願い申し上げます。