中堀慎治（なかぼり しんじ）は1956年東京都生まれ、多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業後、N.Yアート・ステューデント・リーグに在籍。創画展、川端龍子展、東京セントラル美術館日本画大賞展、菅楯彦大賞展など数々の展覧会に出品し、日本橋三越本店をはじめ国内外のギャラリー・百貨店で多数の個展・グループ展を開催。安楽寺（徳島県美馬市）の天井画・襖絵を約10年にわたり手掛ける。金銀箔を効果的に用いて一瞬の光や時空間を描き出し、性別を超えた思慮深い表情の女性像には、弥勒菩薩を思わせる微笑と、観る人の心を浄化するような力が備わっている。現在無所属。

画伯の作風は、女性像や幻想的な風景を題材にした作品が多く、特に黄金色を用いた美しい色彩と精緻な描写が高く評価されています。古典的な技法を尊重しながらも独自の美を追求し、時代を超えて愛される作品を生み出しています。現在も無所属で活動を続けており、日本橋三越本店をはじめとする各地で個展を開催しています。

中堀慎治「浄夜」板に日本画 30号 大作 1989年作 金箔仕様 共シール
中堀慎治による本作「浄夜」は、黄金色の輝きと静謐な女性像が調和した、神秘的で力強い作品です。この絵画は、金箔を思わせる背景の円と絡み合う枝が、まるで神聖な光輪のように女性を包み込み、観る者に深い精神性と内省的な時間を提供します。

作品の主題となる女性像は、祈るように目を閉じ、両手を組んだ姿勢で描かれています。青みがかった肌の色合いと、繊細な筆致で表現されたドレスが、現実と幻想の狭間に立つような雰囲気を醸し出し、鑑賞者を静かな夜の空間へと誘います。女性の存在は、タイトル「浄夜」が示す通り、魂の浄化や祈り、あるいは精神的な再生の象徴として描かれています。

30号という大きなサイズは、圧倒的なスケール感を生み出し、観る者を作品の世界へと深く引き込む力を持っています。背景の金色の円は宗教的な荘厳さや永遠を思わせ、絡み合う枝が自然とのつながりを暗示する一方、女性像が持つ静謐な美しさは、観る者に心の平穏と感動をもたらします。中堀慎治の巧みな技術と独自の表現が光る本作品は、古典的な技法と現代的な感性が融合した傑作です。観る者に深い印象と余韻を与えるこの作品は、ただの絵画を超えて、精神的な体験を提供する特別な一枚と言えるでしょう。