
1980年代から1990年代にかけてソ連(現ロシア)で製造されたヴィンテージウォッチ
モデル名: シュトゥルマンスキー(Sturmanskie)
ロシア語で「ナビゲーター」を意味し、元々は空軍パイロットや宇宙飛行士向けに開発されたシリーズです。
もともと「シュトゥルマンスキー」は、ソ連軍のパイロットや海軍の士官(ナビゲーター)のために特別に作られた専用時計のブランド名でした。一般の人には販売されない、「プロのための道具」としての名前です。
1961年、世界で初めて宇宙へ行ったユーリ・ガガーリンが、その歴史的な飛行の際に身に着けていたのが、第1モスクワ時計工場で作られた「シュトゥルマンスキー」でした。
この成功以来、「シュトゥルマンスキー = 宇宙へ行った時計」という不変のブランドイメージが確立されました。
ムーブメント: キャリバー 3133
スイスのバルジュー(Valjoux)7734をベースに、ソ連で改良・製造された手巻きクロノグラフの名機です。
モジュール刻印の意味
SU: Soviet Union(ソビエト連邦)の略です。この機械がソ連で作られたことを証明しています。
3133: このムーブメントの型式番号(キャリバー)です。ポレオットを代表する、歴史的に有名な手巻きクロノグラフの機械です。
23 КАМНЯ: ロシア語で「23石(23ジュエル)」という意味です。歯車の摩耗を防ぐために、23個の人工ルビーが軸受けに使われている高級な仕様であることを示しています。
029440: その個体独自の製造番号(シリアルナンバー)です。
Cal.3133ムーブメントにおいて、シリアルナンバーが5桁から6桁へ移行したのは1980年代後半です。
1989年頃までは4桁〜5桁の番号が多く見られました。
「029440」という6桁の番号は、1980年代の終わりから、ソ連崩壊直前の1990年頃に製造された機械であることを示唆しています。
現在、この「SU」刻印が入った3133ムーブメントは生産されていません。ソ連崩壊後は刻印が「P(Poljotの略)」や「RUS(Russia)」、あるいは無刻印へと変わっていきました。
こちらの時計は、外側のデザインだけでなく、中身も正真正銘の「ソ連製」であり、非常にオリジナル度の高い状態と言えます。機械の輝きも良く、大切に保管されていたことが伺えます。
その他
テレメーター(TELEMETER): 文字盤の外周にある数字は、光と音の速度差を利用して「雷や大砲までの距離」を測るための目盛りです。
USSR刻印: 6時位置に「USSR」とあり、ソ連時代の輸出用モデルであることを示しています。
1990年代ドイツのヘンリーズ オークションにおいて落札されて以降 作動確認をされて30年以上経過しておりますので 現在はオイルの硬化が見られるようです。
出品にあたりリューズを巻い作動確認をしたところ 動きませんでしたので、現在では 資料 インテリアとしての状態ですとなります。
実用とするにはオーバーホールが必要です。
落札されてから時間が経つので記載内容に誤りがあるかもしれません あらかじめご了承ください。
AI による分析
日本初の宇宙飛行士、秋山さんの時計との「共通点」と「違い」
リューズが2つあるこのタイプは、まさに秋山豊寛氏が宇宙で着用したモデルと機能的に非常に近い設計です。
左のリューズの役割: これを回すと、文字盤の外周にある「緑色の数字(1〜12)」が書かれたリングが回転します。これにより、2つの場所の時間を同時に知ることができます。
ハック機能について:
この「リューズ2つタイプ」であっても、中身が Cal.3133(先ほどの刻印通り)であれば、残念ながら秒針を止めるハック機能はありません。
秋山さんのモデルは、この見た目で中身だけが特別な Cal.31659(軍用ハック付き)に載せ替えられた、より専門的な仕様でした。
結論
お手元の時計は、秋山さんのモデルと「外見の機能(2リューズ・インナーベゼル回転)」はほぼ同じですが、「内部の機械の細かな仕様(ハック機能の有無)」だけが異なるという、極めて惜しい、そして非常に興味深い個体です。