河原朝生 不吉な予感
1982年 油彩
画面下部に(右:昭和57年5月 左:不吉な予感 朝生)
画面サイズ 9 x 7cm
額外サイズ 32.5 x 30.5cm
付属品 額装
河原朝生(かわはら あさお、1949年-)
静謐でミステリアスな雰囲気を持つ独自の油彩画で知られる日本の洋画家です。
略歴と活動
1949年、東京都目白生まれ。
坪内正絵画教室で素描や油彩を学んだ後、文化学院美術科に入学。1972年に渡伊し、ローマ国立美術学校で油彩画を学びました。このイタリアでの生活が、彼の画風に大きな影響を与えています。
1979年にピッツォ・カラブロ絵画展でヴァレンティア賞を受賞するなど、イタリアで高い評価を受けました。
1981年に帰国後も、東京を中心に国内外の多くの画廊で個展を多数開催し、活動を続けています。
画風と特徴
河原朝生の絵画は、しばしばイタリアの形而上絵画(デ・キリコ、カルロ・カルラなど)からの影響が指摘され、以下のような特徴を持ちます。
1. 静謐で謎めいた空間
画面は極端に静かで静謐な雰囲気に包まれていますが、その裏にミステリアスな気配や、何かが起こりそうな緊張感を孕んでいます。
生活感や時間といった要素が排除され、完結した一つの宇宙のような、からりと乾いた不思議な空間を描き出します。
2. 独自のモチーフと構成
初期の頃は人物、特に少女の肖像なども描いていましたが、次第にモチーフを絞り込み、静物や日常の風景を扱いながらも、独特の配置とライティングによって非現実的な世界観を表現しています。
緊密に描き込まれた空間に、脈絡なく配置されたモチーフが、観る人を神秘的な世界へ引き込みます。
3. 色彩と表現
色味を抑えたトーンで描かれることが多く、その繊細で緊密な描写が、画面に深い奥行きと存在感を与えています。
現代美術の範疇からは一歩離れ、独自の詩的で夢想的な世界観を追求し続ける画家として評価されています。