私のお気に入りのアナログレコードプレーヤーです。
オークションでもよく見かける人気機種なのですがネット上でも情報はほとんどありません。
私は故長岡鉄男氏のファンですが先生がどのように評価していたのかはもちろんわかりませんが
カートリッジテストの時に使われたようです。
当時のビクター機の型番はマニュアル機はJL-B
セミオート機はJL-A
フルオート機がJL-F
だったようです。
本機はフルオート機になるのですが、その後の電子制御が進んだ光学式レコードサイズ検出機能などの無い
全て機械式のオート機ですのでサイズ選択などは手動で切り替えになります。
それでもサイズさえ間違えなければあとはとても簡単、スイッチひとつで演奏、終わればアームは自動でレストまで戻り電源も切れます。
寝落ちの心配が要らないのはとても便利ですね。
もちろんマニュアル的な使い方もできますが、その時でも演奏が終わればアームは元に戻って電源もOFFになります。
型番の55はJL-Bの44/55/77あたりとは違い、31/41/51などのシリーズ機のオート版といえるかと思います。
中級グレードとは思いますが、明らかにJL-B41あたりよりは上級グレードです。
この当時のビクター機の型番はグレードがとてもわかりやすく、5は4や3より上級機です。操作パネルやツマミ類の質感がとても良いですね。
薄型の下級機のJL-F45と操作や内容的にほとんど同じですがフルサイズ版でしっかりと豪華に作られています。
アームは銘機UA-7045/5045の系統をオート用にリファインしたものと思われます。
モーターはJL-B41や44に使われた松下製DCサーボダイレクトドライブと基本的に同じ仕様かと思いますが
オート機ではオート用メカを駆動するためのギヤが付いているため
モーターハウジングが違い、制御回路もハウジング内蔵から外付けに変わっています。
本機などでよく問題になるのはこのメカ駆動用のプラ製ギアで経年劣化で外れてしまう事があります。
本機では特に劣化が見られず問題なくオート動作します。
本機もとても丁寧な造りと良い音で気に入って複数台入手した物ですが程度の良い機体をメンテナンス、クリーニングしました。
今回の出品では特に程度の良いキズ、汚れ、錆などの少ない入手時からとても綺麗な機体でした。
さらにクリーニングして本当に綺麗な極美品です。
本体は古くなると劣化しやすいパーティクルボード製ですが特に劣化はありません。さらにこの後も劣化しないよう木部、木口にはクリア塗装しました。
全体にキズは僅かですが脚部インシュレーターのプラ部に割れがあり熱補修しました。僅かなのでほとんどわからないと思います。
割れといってもプラ部本体ではなく下部の周辺です。この機種ではここはよく割れています。
ダストカバーはコンパウンドで磨き特殊なクリーニングワックスで仕上げてかなりクリアーですが僅かに細かい傷はあります。
新しいプレーヤーではダストカバーの材質が変わってしまったのか軽く光線で焼けて黄ばんだりします。
叩いても安っぽい音がして再生音にも悪そうな。本機では今では希少な重く鳴きの無いアクリル製。
重いダストカバーに対応したフリーヒンジ型の強力なヒンジを採用しています。
モーターはローターを外して古いオイルをふき取り新たに超潤滑性の特別なオイルを注油しました。
本機はアースはRCAケーブルのR-chのシールド側に落としてあるタイプなのでアース線を繋ぐ必要はありません。
なお、本機の出力は本体内部にRCAプラグがあるタイプなので直出しですが簡単により高品質なケーブルに交換も可能です。
全体は特殊なクリーニングワックスで仕上げてとても綺麗です。
アームやプラッターなどの金属部分もコンパウンドや金属磨きクロスで磨きました。
面倒ですがプラッターのストロボ部も磨いてワックスをかけてあるので特にくっきりと鮮明に表示します。
化粧シートの剥がれはほとんど無く、キズも僅かで全体的にとても綺麗な極美品です。
裏板を外して中を見ても埃もごく僅かでしたので使用時間も短い機体を丁寧に保管していたのではないでしょうか。
添付画像をよくご覧になってご検討ください。写真は下手で申し訳ありませんが多めにupしておきました。
回転調整ボリュームは信頼できる接点復活剤を複数使い分けて使用、接触不良はなくとてもスムーズに調整できます。
スイッチ類などの接点も同様にクリーニングしました。
ビクター機で問題になりやすい電源部のケミコンは容量やESR値もチェックして異常ありませんでした。
ケミコンは必ず劣化すると思われる方が非常に多いのですが、これはケミコンを止めている接着剤を液漏れと勘違いしたものです。
このはみ出た接着剤が端子や金属部を腐食させ短絡させるのです。実際そのはみ出た接着剤で近くのパーツを壊してしまう事がよくあります。
実際に古い機種のケミコンをチェックして問題があった事はほとんどありません。
トランジスタの劣化の方がずっと多かったりしますね。
アームはいちど取り外して丁寧に磨き、軸部もクリーニングして感度良好。
古くなると軸部にヤニなどが付着して感度が低下します。ここをクリーニングすると驚くほど感度が蘇ります。
使いやすいダイヤル式のインサイドフォースキャンセラーも問題ありません。
このタイプでよく問題になるウェイト下がりも全く問題ありません。アームリフターもゆっくりスムーズに降下します。
その他、回転も安定してストロボスコープも33回転、45回転も問題なく止まり、回転調整もスムーズに行えます。
本機はモーターや制御回路など電気系には特に問題なく、メカ部のプラスチックの僅かな劣化もなく快適に動作します。
底板なども特に劣化はなく脚のインシュレーターのゴムも問題ありません。
付属品はゴムシートです。取扱説明書はありませんが参考に内容と操作のほぼ同じJL-F45の取扱説明書のコピーをお付けします。
不鮮明な所はあるかもしれませんがご了承ください。画像にはレコードがありますが付属しません。
ゴムシートは重くしっかりした物でクリーニングして保護剤をかけましたがJP-501などに交換すればさらに音質は向上するでしょう。
即決で購入された方にはさらに上述のTRIO V-39mk2カートリッジとDENON AD-3ディスクスタビライザーをお付けします。
EPアダプターはありませんが即決特典のAD-3がEPアダプターとしても使用できます。
はじめてレコードプレーヤーをお使いになる方はアームのバランスのとり方や針圧の掛け方
カートリッジの取り付け方など一般的なプレーヤーの使い方をよくお調べになってからお使いください。
ビクターはもともと日本ビクター蓄音器といったくらいでレコードプレーヤーの専門会社だったんですね。
この機種の頃には上位機種JL-B77には自社開発の最高レベル(現在でもこれを超えるのはあるのか?)のモーターを開発したり
この後一時期ACモーター(JL-B61/TT-61など)を開発採用したり
またDCモーターを開発採用しその後のメインモーターとして自社機はもちろんヤマハやマイクロなどにOEM供給する事になりますが
この機種では松下系のモーターを使っています。
この機種はクォーツロックになる前の機種ですので回転が安定しないのではとお気になさる方も居られるかと思いますが
私が多数のプレーヤーを使ったところでは全く問題ないと確信します。
クォーツロックでないと音が変化するとかクォーツの方が音が良いとかはありません。
クォーツなら調整がいらないというだけです。
ストロボが安定して止まらないと気にされる方も居られるかと思いますが
ストロボは電源の50Hzまたは60Hzの明滅を利用しているので目安にすぎません。
実際には電源周波数はその地域の電力使用量によっては微妙に変化するのです。
発電所はその変化をできるだけ少なくする努力はしていますがクォーツ並みにする事はできません。
DCサーボモーターですからプラッターの回転数は電源周波数には影響されません。
周波数で変化するのはストロボの明滅周期です。
この変化を回転の変化ととらえて頻繁に回転調整をすればボリュームが痛んでしまいます。
レコードプレーヤーは本機のように丁寧に作られていれば、まず良い音がします。
その中ではアームがいちばん音に影響するかもしれません。
本機のアームは長岡氏が値付けが安すぎて逆に売れなかったといわれて販売終了後に人気機種になった
銘機UA-7045系をオート用にリファインしたものでしょう。機能的で美しいアームは良い音がするものです。
ビクター機は数多く整備しましたが外からではわからない、内部に音に拘った造りが多く見られます。
実際に本機を使ってみればとても本格的な音ですのでマニアの方にも十分ご納得いただけるものと思います。
レコードプレーヤーはオーディオ製品の中では特に繊細でその取り扱いには熟練が必要かと思います。
私は今でもレコードを聴くことがメインで多くのプレーヤーを使用してきました。
やはりオーディオマニアでしたらレコードを聴きましょう。
メカ部分がほとんどのアナログレコードプレーヤーはオーディオ機器の中では本当に特別な物と思います。
リサイクル業者の方などご自身で全くプレーヤーを扱う事のないオーディオとは無関係な方が梱包を行うとプラッター、ゴムシート
アームなどをロクに固定もせず送られてしまい本当に呆れる事が多いです。
いくら細かく説明してもわからないのですね。
この点私は趣味でプレーヤーを扱って来ましたので梱包、発送に関しては安心してお任せください。
プラッター、ゴムシート、カウンターウェイトなどは取り外して同梱します。
アームはテープなどで固定して緩衝材も使います。
ただし、段ボール箱や緩衝材はリサイクルを使いますのでご了承ください。