青山義雄（あおやま よしお、1894年1月10日生～1996年10月9日没）は、神奈川県横須賀市出身の洋画家で、享年102。幼少期から独学で絵を学び、1911年に上京して大下藤次郎に師事。1913年に根室へ戻り、様々な職業を経て制作を続け、1921年にフランスへ渡航。アカデミー・ランソンやグラン・ショーミエールで学び、1922年にはサロン・ドートンヌに入選。1925年には南仏での作品がアンリ・マティスに認められ、以後マティスから作品批評を受けるなど交流を深めた。1935年に帰国後は国画会会員となり、1937年には第1回佐分真賞、1993年には中村彝賞を受賞。明るい南仏の陽光を受けた鮮やかな色彩表現を特徴とし、晩年まで精力的に創作を続けた。

青山義雄「カンヌ風景」油彩 20号 大作
《カンヌ風景》は、青山義雄が愛した南仏の地・カンヌを描いた、大きさ20号（60.6 × 72.8 cm）の力作です。燃えるような赤やオレンジの夕空と、紺碧に輝く地中海、その間に立つヤシの木々が、画面全体を力強く彩ります。前景には豊かな緑と白い建物が点在し、遠くには帆を広げたヨットの姿も見え、リゾート地ならではの開放感と賑わいが漂います。

青山は1920年代にフランスへ渡り、アカデミー・ランソンやグラン・ショーミエールで学び、南仏でマティスと交流を深めました。本作にもその経験が色濃く反映され、マティスから受け継いだ鮮やかな色彩感覚と、南仏の陽光を浴びた独自の筆致が融合しています。厚みのあるタッチと大胆な色面構成が、光や空気の揺らぎまで表現し、鑑賞者をカンヌの夕景の中へと誘う、青山芸術の精華ともいえる一枚です。