クレーメル/ヴィヴァルディ:『四季』(DVD)
ヴィヴァルディ:
協奏曲集『四季』 op.8-1
・協奏曲第1番『春』
・協奏曲第2番『夏』
・協奏曲第3番『秋』
・協奏曲第4番『冬』
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン、四季)
イギリス室内管弦楽団
1981年8月、ミュンヘン(ライヴ)
クレーメルの『四季』といえば、ドイツ・グラモフォンでの1980年セッション録音におけるアバドとの確執のエピソードが有名。
録音後、少し経ってから『冬』の第2楽章のテンポがあまりにも速すぎると考えたアバドは、クレーメルに録り直しを要求し、
2割ほど遅いテンポで演奏したオケ・パートのテープを送ってきたのですが、
クレーメルはそれには応じませんでした。
それどころか、イギリス室内管弦楽団とライヴ録音したばかりのさらに1割ほどテンポの速くなった演奏のテープを逆に送りつけるという強気な対応をおこなったため、
アバドも録り直しを断念したということですが、今回リリースされるのはその映像作品のDVDです。
収録場所は、ミュンヘン近郊のポリングにある修道院で、監督はデュプレなどの音楽ドキュメンタリーで有名なクリストファー・ヌーペン。
クレーメル自身の弾き振りで、細部まで彼の考えが徹底した演奏を味わえる映像作品となっています。
ここでクレーメルはアンサンブルを大編成から小編成に絞込み、快速なテンポと切れ味の鋭いリズムによって、
現在の彼のスタイルにも通じる小気味良い演奏を展開、
前年のアバドとのセッション録音とは大きく様相の異なるタイトな『四季』像を打ちたてています。
そこには、1978年に発売されて衝撃を与えたアーノンクールの『四季』の過激な解釈の影響もあったものと思われます。