霧者巧★新本格もどき1・2★ 光文社文庫

霧者巧★新本格もどき1・2★ 光文社文庫 收藏

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★商品説明★ 霧者巧著 「新本格もどき1・2」 光文社文庫

 「新本格もどき」       2010年 2月 文庫初版
 「新・新本格もどき」     2013年 4月 文庫初版
      定価    705円、、800円+税  443頁、416頁

★著者略歴★  1963年、神奈川県生まれ。駒澤大学推理研究会出身。1999年「ドッペルベンガー宮」で第12回メフィスト賞を受賞してデビュー。受賞作を第1作とする開かずの扉研究会シリーズは、本格推理スプリットあふれる意欲作シリーズ。

★作品内容★  <1> 著者が最初に読んだという推理小説家・都築道夫氏には、”名探偵もどき”、”時代小説もどき”、”捕物帳もどき”のシリーズがある。そのオマージュとして書かれたのがこのシリーズ。”本格”と”新本格”との議論は別に置いとくとして、”新本格”の作品の本歌どりのパステーシュ。とは言っても原作の種を明かさず、その雰囲気を生かした7編は最高。物語は記憶を亡くした”吉田さん”とカレーショップのマスターの推理小説に関する論戦から始まる。入院患者の吉田さんを見守る小児科のナースのエリが中心となるのだが、現実の事件を聞くと吉田さんは推理小説の名探偵になり切って推理を展開する。実際に最後の真相を言い当てるのはエリになるのだが、ともかく、このなりきりの名探偵とは。言い訳になるが、ほとんどの本歌作品を読んでいるが何十年も前、あの名探偵のキャラはこうだったのか思い出せないものも多い。でも読んでいるうちにああそういうキャラだった懐かしく思い出す物もある。各篇のタイトルから本歌の著者をすべて言い当てられたら、それは相当な推理小説好き。ちなみに巻末に本歌の作者の自筆コメントも載せられているのでそれを見ながら読むのも面白い。本歌の作者は、綾辻行人・法月倫太郎・我孫子武丸・歌野晶午・倉知淳・山口雅也・有栖川有栖。「三、四、五の殺人」「二、三の悲劇」「人形は密室で推理する」「長い、白い家の殺人」「雨降り山荘の殺人」「13人目の看護師」「双頭の小悪魔」。本歌は初期の作品が取り上げられているので、最近読み始めた人には、キャラが変わってきているので違和感を覚えるかも知れない。
 <2> ”新本格もどき”の第二期、1990年代に発表された作品のパロディ。前作では、記憶を無くした吉田さんが突然小説の中の名探偵になる設定だったが、今回は、吉田さんは記憶を取り戻したが、記憶を無くしていた時の記憶がない。エリは、その間の記憶を取り戻して欲しくて、自らがコスプレして、吉田さんにも登場人物の役割を振る。今回取り上げる本歌の探偵役には女性も多いので、その設定も面白いが、必死にコスプレするエリと仲間たちの様子が面白くかわいい。前作よりも連作短編の色を濃くして、謎の怪人役に”ドクター・オーガ”と、信仰宗教鵜を前面に持ち出し、吉田さんとエリの関係も深める。そういう意味でも連作となっているので作品全体で登場人物が繰り返し出てきて、結構、化かされる。最後は自作を”もどい”てこのシリーズの完結としている。二階堂黎人、森博嗣、北村薫、西澤保彦、芦辺拓、摩耶ゆたか、霧者巧。「人狼病の恐怖」「すべてがXになる」「覆面作家は二人もいらない」「万力密室!」「殺人史劇13人」「夏と冬の迷走曲」「<おかずの扉>研究会」。本歌作者には事前に了解を取っているそうだが、ともかく面白いシリーズ。ただし、あくまでもパロディであることを忘れてはいけない。このシリーズを読んで、”だから新本格なんてくだらない”と思ってはいけない。実際本歌を読んでみてその面白さにはまることもあるだろう。出来れば本歌を読んだ後このパロディを楽しんでほしい。

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