この Wheeler Wire を、一言で表現するなら、「最高の感度」と申し上げます。特に 弦楽器の小編成の楽曲やジャズコンボ、または繊細なギター音楽などでは、仰天するほど多くの情報量を引き出してくれました。さっそくですので、具体的にソースを用いて解説いたしますと・・・

まずは、Joni Mitchell / Jerico
うひゃ～、なんだこのマーチン - 00028 の切れの良さと乾ききった心地良いサウンドは。一聴した瞬間にリファレンスとの音抜けの違いがわかります。とても上品な輝きを放つしかも芳醇なサウンド。！！ジョニといえば CF MARTIN-00028、CF MARTIN-00028といえばジョニ・ミッチェルというくらいすばらしい弾き手だと認識しておりますが、このワイヤーで聴く彼女のプレイは、格別です。続いて登場する達人 John Guerinのドラムスには痺れます！！超高域にサスペンドされたブラシによるシンバル音と乾ききったタムの音色。音抜け最高頂です。Power感というよりもドラムに於いてさえ むしろ繊細なタッチを表現してきます。さて真打ち的存在のジャコ・パストリアスですが、非常にタイトで締まった音質、かといって音像が細くなったりエネルギーが少なくなったわけではありません。実にワイドです。驚いたのは、楽曲の一番最後の最後のF.OUTのケツに一音プ～ンって音が入ってるのが、克明に描かれる驚異的な感度と情報量なのです！！普通の所謂 WEクラスのワイヤーでは 聞き逃してしまう音かもしれませんね。次にウエイン・ショーターのソプラノ・サックスに関して、割と深めにかけられたEMT-140 Plate Reverb は、通常かなり音の輪郭がボケるほどの聞こえ方なんですが、いやいや、これは見事に実体を現します。本体とEcho成分の間の距離と立体感を見事に表現しますね。全体的には、スピード感が向上すると申しましょうか、バックコーラスなんかの絡みが主人公に対して素早く反応しているように聞こえます。幸せです、このワイヤー。当時の A&M Studio って本当に良かったんですね。乾ききった極上の世界が楽しめました。

まあ、ギター音楽のひとつの頂点であるJoan Gilberto を聴かない訳にはいかない。曲は、Corcovado・・・おっと、これはわかりやすい。ボーカルが ものすごく前に迫ってきます。マイクまでの距離感がはっきりくっきりで、明らかに近くに存在を感じられます。息づかいの情報量がこちらのリファレンス・ケーブルと全く異なる次元で展開されますので、リラックスの中にもドギマギするような緊張感すら感じます。そしてまたもや言いますが芳醇で豊かで濃い倍音。もちろんギターにもそれは当てはまります。低域もとても上品です。そして超ウルトラハイが出ています。品格と繊細さは、ここでもって作られていると認識できます。Vintage感 ここに満開です！！

ついでに、アメリカン・ポップスのある意味で覇者といいますか、生き字引みたいな存在の Van Dyke Parks を手に取ってみますと・・・ああ、これは明るい！！すべての楽器が転がるように展開して行く！！アコーディオンが見事に歌い始めれば、マンドリンのキラキラ感が何と美しいのでしょうか。ストリングスもクッキリと滑るように奏でられますね。とにかく大量に投入された楽器群 まるでオモチャ箱をひっくり返したようなアレンジを いとも容易く音楽的にまとめあげている。バラケない。沸き立つ爽やかなムードは特筆物です。曲は、Songs Cycled から。ということは、日本の代表的ポップスの覇者 大瀧さんなんかを聴いてもとても良いですよ。

最高のオーディオ・ワイヤーです。31AWGということもあり、SPケーブルのメイン線というわけにはいきませんが、-10dbや+4dbのラインケーブル（RCA Pin や スタジオ系のケーブル）または、アンプやスタジオ機材の内部配線材などとしても広範囲にその威力を存分に発揮できると思います。１度聴けば、虜になる音質です。このスプールのみで終了いたします。今後、市場に出てくる事はほぼ無いと思います。
できるだけ お早めにどうぞ。