図録本 川喜田半泥子展 作品集 写真集 フルカラー図版171点 箱書写真図版多数収録(モノクロ)作品詳細解説 無茶法師
主催 朝日新聞社、MOA美術館、大阪市立東洋陶磁美術館、尾道市立美術館
協力 三重県立美術館
1991年
監修 伊藤郁太郎(大阪市立東洋陶磁美術館館長)、森本孝(三重県立美術館普及課長)
監修協力 坪島土平(陶芸作家)
編集 大阪市立東洋陶磁美術館、森本孝、朝日新聞社文化企画局企画第1部
発行 朝日新聞社
作品写真図版フルカラー171点 解説箱書写真90点モノクロ
29x22x1.7cm
212ページ
※絶版
生前「東の魯山人、西の半泥子」と称されながらも、没後は、本展まで必ずしも展観の機会に恵まれなかった川喜田半泥子の巨大な足跡を、茶碗を中心とする陶芸を核に、書、絵画、資料など170余点で辿った大規模展覧会の会場限定公式図録本。
作品の種類ごとに整理分類したカラー写真図版と、箱書き写真を多数掲載(モノクロ)、詳細な作品解説を付した作品集・図録本。
フルカラー写真図版は茶碗、茶入、薄茶器、香合、ふり出し、火入、涼炉、水指、向付、鉢・蓋物等、硯蓋、片口、徳利・盃、茶杓、竹花入、書画の順に整理分類。
茶碗95点は井戸、伊羅保、刷毛目、粉引・白掛、志野、瀬戸黒、黒楽、唐津、焼締、灰釉等、赤楽、赤絵・色絵、雲堂手の順に掲載。
巻頭論考テキスト「
川喜田半泥子の陶芸」古写真、家族写真10点、カラー写真図版、略年譜、肖像写真、全作品の作風見どころ詳細解説、箱書写真図版95点、製作年、制作窯、寸法、展覧会歴、賛、落款、印、花押などの釈文、掲載参考文献名と掲載ページなどまで、情報満載。
見応え・読み応えのある内容充実の図録で、コレクター、骨董品、茶道具、民藝、茶陶、陶磁器愛好家必携の大変貴重な資料本。
【ごあいさつ】より
明治維新によって徳川幕藩体制が崩壌し、将軍家や諸侯の庇護を失った日本の陶芸は、その後、明治から昭和の前期にかけて永い苦難の時期を歩むことを余儀なくされました。
大正から昭和の初期、茶陶をその制作の核におく一群の陶工の中から、荒川豊蔵、三輪休和、中里無庵、金重陶陽、加藤唐九郎、藤原啓らが出て作陶を始めます。彼らは日本陶芸史上にもっとも創造的な作例を残した桃山期の茶陶の復興を白身の創作の根拠に据え、古陶の研究や古窯の発掘を行い、試行錯誤を繰り返すなかから、やがて独自の桃山茶陶世界を現代に再現していきます。
半泥子、本名川喜田久太夫政令の活動した時代は、これら陶芸家たちが苦闘を重ねた時代に重なり、その陶業もまた、無名の陶工と偉大な素人が創り出した桃山陶芸の近代的復興に他なりませんでした。
半泥子は彼らより一世代早く、明治11年(1878)、三重県津市の素封家で、寛永12年から続く東京日本橋大伝馬町の木綿問屋、川喜田家の第16代として生を受けました。以来、地元津市に本拠を構える百五銀行の頭取、会長などを歴任、経済界で活動する一方、数寄風流の人として、陶芸、書、絵画、建築、写真などさまざまな領域で膨大な作品を遺しました。
特にその生涯の精魂を傾けた陶芸は、光悦以来の数寄茶陶の系譜をひくもので、プロの陶工では表現できない、自由で伸びやかな、しかも雅趣ある造形世界を創造しました。遺された作品を概観すると、井戸、刷毛目、粉引、唐津、志野、瀬戸黒、織部、伊賀、信楽、備前、萩、楽、赤絵など、他に類例のない多彩なもので、作陶遊行の広さと深さを示しています。
また、津市郊外の千歳山の屋敷や、戦後は長谷山広永の窯場は、桃山茶陶の復興に苦闘した同時代の陶芸家が集まり、あるいは窯を焚き、一種の研修道場の様相を呈し、半泥子は彼らの精神的支柱にもなっていました。
本展は、生前「東の魯山人、西の半泥子」と称されながらも、没後は、必ずしも展観の機会に恵まれなかった半泥子の巨大な足跡を、茶碗を中心とする陶芸を核に、書、絵画、資料など170余点で辿り、半泥子が昭和の陶芸界に与えた深い影響の源泉を探ろうというものです。
【目次】より
ごあいさつ
半泥子芸術の原像 伊藤郁太郎
川喜田半泥子の陶芸 森本孝 古写真、家族写真10点
図版
寂の人川喜田半泥子 坪島土平
半泥子と土 肥塚良三
列品解説 箱書写真図版95点、全作品の詳細解説、製作年、制作窯、寸法、展覧会歴、賛、落款、印、花押などの釈文、掲載参考文献名と掲載ページ
川喜田半泥子略年譜
参考文献
【凡例より一部紹介】
1.作陶した窯、及び制作年を推定できる作品もかなりあるが、その記載はほぼ正確に判断できる範囲内とした。
2.カタログの記載は、茶碗、茶入、薄茶器、香合、ふり出し、火入、涼炉、水指、向付、鉢・蓋物等、硯蓋、片口、徳利・盃、茶杓、竹花入、書画の順とし、符に茶碗については本格的な作陶に至る以前の2点の茶碗を始めとしたが、以後は制作年ではなく、井戸、伊羅保、刷毛目、粉引・白掛、志野、瀬戸黒、黒楽、唐津、焼締、灰釉等、赤楽、赤絵・色絵、雲堂手の順とした。
3.寸法の単位は省略したが、すべてcmである。
【列品解説】より一部紹介 箱書写真図版95点、全作品の詳細解説、製作年、制作窯、寸法、展覧会歴、賛、落款、印、花押などの釈文、掲載参考文献名と掲載ページ
茶碗 銘 初音
千歳山窯 大正14年(1925)
口径11.5 高7.5 高台径4.8
箱さ 表=茶碗 自作
裏=初書 卜云 初めてろくろを試みて 半泥
子 花押
展覧会歴 三重展no.1
千歳山の土によって、大正元年頃から楽焼を試みていた半泥子は、同14年7月、瀬戸から窯築人夫を呼び、蒲郡常盤舘、長江寿泉の指導で両囗倒炎式の石炭窯を千歳山北部に築き、12月25日に初窯を焚いている。「初音」は初窯での作。正面に梅花。ヘラで幹を作る。裏面には「南枝暖北枝寒」「半泥子」と刻字。高台は梅の根を切らない意味で糸切り。半泥子によると唐津手の茶碗。
茶碗 千歳山窯 昭和7年
口径11.2 高9.1 高台径 6.0
箱書 表=茶碗
ほか
大井戸茶碗 銘天平
千歳山窯
口径17.3 高9.2 高台径6.5
箱書 表=茶碗
裏=天平 l・云 半泥子 花押
展覧会歴 兵庫展 no.49、名古屋展no.24.三重展no.45、石水展
文献 現代日本の陶芸pl. 15、定本pl.5
大井戸茶碗 銘 大々名
千歳山窯
口径16.8 高9.4 高台径6.7
箱書 表=井戸手 半泥子 花押
側面=大々名 花押
展覧会歴 大阪展 no. 112
文献 定本pl.1
がっちりとした竹の節高台や釉のカイラギは、大井戸の条件を満たし。この銘が象徴するように大名らしい豪壮で豊かな気分が溢れている。朝鮮咸平の土。
(以下詳細略)
大井戸茶碗
井戸茶碗 銘 渚
井戸茶碗 銘 歓無極
青井戸茶碗
焼締手茶碗 銘 寒菊
伊羅保茶碗 銘 虚栗
刷毛目茶碗
刷毛目茶碗 銘 一声
刷毛目茶碗 銘 潮音
刷毛目茶碗 銘 月の影
刷毛目茶碗
刷毛目茶碗 銘 福者内
刷毛目茶碗
刷毛目茶碗 銘天の川
粉引茶碗 銘雪の曙
千歳山窯
口径14.3 高10.0 高台径5.1
箱書き 裏=雪の曙 ト云 半泥子 花押
雪のような白と淡紅色が片身変りのようである。淡紅色は窯変によって生じたもの。腰の辺りには作者の指の跡がくっきりと残り地所を形成している。高台は小さく、すっと自然に伸びた姿が美しい。すさまじい速さで口クロを引き上げるその余韻がべべら状の目縁が出ている。半泥子の哲学が表出した茶碗。
粉引茶碗 銘 白椿
粉引茶碗 銘 日本左工門
白掛茶碗 銘 再会
白掛茶碗 銘 雪晴れ
白掛茶碗 銘 春日
粉引茶碗 銘 おとく庵
白掛茶碗 銘 白蔵主
白掛茶碗 銘 ささがに
白掛茶碗 銘 わすれな艸
白掛茶碗 銘 たつた川
白掛茶碗 銘 夏ふじ
白掛茶碗 銘 一卜めぐり
志野茶碗 銘 おらが秋
志野茶碗 銘 赤不動
志野茶碗 銘 大さび
志野茶碗 銘 あつ氷
志野茶碗 銘 寒空
志野茶碗 銘 面壁
志野茶碗 銘 松の内
志野茶碗 銘 不動
志野茶碗 銘 窯のさち
鼠志野茶碗
志野茶碗
志野茶碗
瀬戸黒茶碗 銘 いせ海老
瀬戸黒茶碗 銘 松ヶ根
織部黒茶碗 銘 暗香
織部黒茶碗 銘 ヘイナイ
瀬戸黒茶碗
瀬戸黒茶碗 銘 小槌
黒楽茶碗 銘 伊吹山
黒楽大茶碗 銘 うし
黒楽茶碗 銘 文柚
黒楽茶碗 銘 みそぎ
黒茶碗 銘 すず虫
黒織部茶碗 銘 富貴
唐津風茶碗 銘 巣ごもり
唐津茶碗 銘 老人星
唐津風茶碗 銘 薄氷
唐津風茶碗
唐津風茶碗 銘 大宇宙
焼締手茶碗 銘 かるめ柵
焼締手茶碗 銘 沖の石
焼締手茶碗 銘 猿のしり
備前茶碗
灰釉茶碗 銘 喜び
灰釉茶碗
灰釉茶碗 銘 いせの思出
瀬戸唐津茶碗
瀬戸唐津茶碗
大佗び茶碗 銘 残月
大佗び茶碗 銘 大吹雪
呼継茶碗 銘 ねこなんちゅう
片身変り茶碗 銘 寝物語
灰釉茶碗 銘 巣籠
灰釉茶碗 銘 荀の香
灰釉茶碗 銘 山里
灰釉茶碗 銘 秋草
灰釉茶碗 銘 寒山
灰釉茶碗 銘 朝顔
灰釉茶碗 銘 田舎道
割高台茶碗 銘 雅茶子
焼締手大茶碗 銘 大徳
飴釉茶碗 銘 ゆかりの松
赤楽大茶碗 銘 閑く恋慕
楽茶碗 銘 関白
赤楽茶碗 銘 むかし話
赤絵茶碗 銘 花畑
赤絵茶碗 銘 園の香
色絵茶碗 銘 おらんだ
雲堂手茶碗
井戸手茶入 銘 有明
黒和茶入 銘 やせ男
灰釉茶入 銘 からかさ
鉄絵薄茶器
赤絵香合
四方香合 銘 早春
志野香合
赤絵香合
狸香合
粉引手ふり出し
赤絵ふり出し
似絵火入
焼締手涼炉
伊賀水指
伊賀水指 銘 慾袋
南蛮水指
信楽水指
志野水指
黒和水指
鉄絵水指
赤絵水指
灰釉向付(六客)
自掛文匣
赤絵鉢
赤絵蓋物
染付硯蓋
赤絵硯蓋
黄瀬戸風片口
備前片口 銘 宝正
焼締手徳利
白掛徳利
志野盃
盃 銘 蚤の夫婦
志野盃
鼠志野盃
湯呑
湯呑銘 曙の香
赤絵大盃
茶杓 銘 アコウ
茶杓 銘 うねうね
茶杓 銘 角兵衛獅子
竹花入 銘 福禄寿
竹花入 銘 瀧つせ
政子遺訓
書 去来庵
書 無茶
狂句 お前百まで わしやいつまでも
句 秋風のふくまま
書 福
書 一行 慶世羅々々
書 一行 大夢出門
書 仙鶴
常識茶会の図
窯場図
ほか