松下 8PW1 最初期型 ペア
年式を考えれば極上レベルです。
初期型は4タイプありイコライザー球の位置とサブコーン、マグネット、
フレーム塗装、センターキャップそしてガスケットに違いがあります。
このペアはその中でも最も古いタイプ「origin」です。
再初期型の特徴
①紫色のフェルトは劣化でなくなっております(天然素材なのでほぼ100%虫に食われる)。
②イコライザー球(コーンに近い)の位置。
③穴なしのサブコーン。
④マグネットはNKS-3(後期はNKS-5でマグネット性能的には当然後期の方が上)
⑤フレーム塗装は僅かに緑がかったシルバーのハンマートーン(後期はあかるい
シルバーのハンマートーンで最終はただのシルバー塗装で20PW09と同じ)。
⑥センターキャップは布のメッシュ(中期以降は黒の紙製)
2本とも状態は非常に良好で傷も無く、もちろんボイスタッチもありません。
脱線しました。。。
出品のペアの状態ですが、
片方のコーンに僅かに押されたムラがありますが、エッジも含めて
極めてしっかりしています。
サブコーンはやはり全くの無染色の為、新品時の色からすると
ベージュに偏っていて、部分的に色ムラやシミがあります。
それ以外はコーン紙の張りもパンとあり、エッジ、ダンパーも良好。
ボイスタッチなども全く無く程良いダンピングでゆったり雄大な音質です。
やはりこの最初期タイプはそこそこの強さのマグネットのゆったりした
ダンピングで、球のアンプとの相性は抜群です。
DC/Rは2本とも6.4Ωで良く揃っております。
当然、今風のドスドスした大迫力の低音は出ませんが、大きな箱に入れて
おおらかに使ってあげると、何とも魅力的な自然な音を奏でてくれます。
ただ、個人的な感想ではありますが、あのドスンドスンと腹に響く重低音は
映画館やクラブ(人に連れられて1回行ったきりですが。。。)でしか
聴いたことはなく、人工音以外ではあまり縁のない低音ではないでしょうか?
この8PW1でも指定箱やそれ以上の工夫した大きな箱では生中継のステージで
ハッとするような暗雑音(空気が揺れるような低レベルではあるが重低音)や、
グランカッサの揺らぎの様な低音、コントラバスの胴鳴りなどなど。。。
これらは実体感を伴って素晴らしい表現力で聴かせてくれます。
実体感というのは、あくまでも現実的な音量レベル(例えるならコンサートで
SSやS席ではなくA席の中央辺りの音量で指揮者の位置ではない)でのレベル
での感想です。
PAの入るライブコンサートなどはニアフィールド的に聴けばそれなりに
迫力も出て良いですが、ジャンル的には苦手な部類だと思います。
まぁ、確かにベースアンプの直近で重低音に包まれる感覚も捨て難くは
ありますが、ずっとやっていると難聴真っしぐら。。。(笑)
でも笑い事でなく、最近の中高大生はヘッドホンやインナータイプの
イヤホンで重低音の大音圧再生に起因する難聴が増えていると云う
笑えない話もある様です。
脱線ついでにもう1回余談ですが、
げんこつシリーズで最高の音質はEAS-20PW55で巨大なアルニコマグネット
と素晴らしいエッジ(ULウルトラリニアエッジ)そして繊細かつ柔軟な
ダンパーの組合せはとても20cmとは思えない、下から上まで(しかも充実の
中域を伴った)繊細さと迫力の両方を兼ね備えた素晴らしい音質です。
それを裏付ける様に、たまに出品されると、程度が良い個体はペアで
10万円前後になるのは納得でではあります。。。
シリーズ最後の20PW56は唯一のTechnicsブランドでマグネットカバーも同じ
真っ赤でさらに巨大ですが、コレはフェライトマグネット(意外なほど軽い)。
音質的には「良く言えば現代的ですが、少々粗く上下は出るものの中域が
引っ込んだ感があり、悪く言うとドンシャリ」に感じます。
20PW49はげんこつイメージを売りにSB-65と云う入門的システムに使った
コストダウンユニットでげんこつまで手抜きをした(裏は平ら)物です。
また、カーステレオ用に楕円にした「悪ふざけ」の様なモデルもありました。
まぁ、それだけ音質的に特徴のあった名機だった裏付けかと思います。
※上記はあくまでも個人の感想で、けなすものではなくゲンコツは全て好きで、
楕円モデルを含め全て手元に複数集めて楽しんでおります。
コーラルのBETA、パイオニアのPAX、フォステクスのUP、オンキョーのFR
シリーズ等々、、、この時代は特徴的なモデルが沢山あった良い時代でした。
DC/Rは2本とも6.4Ωで良く揃っております。
名機「ゲンコツ」originは貴重な文化遺産でもあると思います。
大切に引き継いでいただける方がいらっしゃればお譲りしたいと思います。
私は71Aや45のシングルアンプで聴いています。
予備も含めて数ペアあるので有効活用いただければ幸いです。