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口きかん: わが心の菊池寛　矢崎泰久

天真爛漫にして傍若無人、奇行ゆえに謎に包まれた人・菊池寛の実像に肉薄するフィクション。菊池寛に子どもの頃溺愛されていた著者が、菊池の孤独を明快な文章で描き出す。


著者は子供の頃、菊池寛に溺愛されていた。ようやく矢崎が、菊池の孤独を、明快な文章で描き出した。天真爛漫にして傍若無人、奇行ゆえに謎に包まれた人・菊池寛の実像に肉迫する渾身の力作。

目次
第１章　生々流転（遊び人の受難；思いがけない逡巡　ほか）
第２章　奇々怪々（『群書索引』と漱石の死；文壇事情通　ほか）
第３章　百花繚乱（ぼんやりした不安；出馬　ほか）
第４章　天衣無縫（初めての恋；こつまなんきん　ほか）
第５章　有為転変（戦争と平和；日本文学報国会　ほか）


レビューより
一気に読んでしまった。見栄え、階級、年齢など関係のない超合理主義者である菊池寛には面白い逸話が多く、本書には、自宅で矢崎少年との将棋を指している最中に木村義雄名人がやってきた。少年に助言を与える名人。菊池は車を呼ぶと少年を連れて旅館に行き座敷で名人が来る前の局面に駒を並べて勝負を再開した。投了すると勝負事のルール違反を諭す、など菊池らしいエピソードが書かれている。


菊池寛の身近な人からみた人物像を記した本。 関東大震災や大東亜戦争のさなかにも、人々は生活の中の楽しみとして文学を欲していたこと。日本人の勤勉さ、賢さを知った。 直木賞や芥川賞の創設には友情が有った！と知ることが出来た。