大型図録本 世界陶磁全集 14 明 中国古陶磁 中国古美術
写真集 解説 原色カラー図版234点 単色図版・文様300余点 やきもの 陶芸 茶道具 茶陶 古陶磁 古美術 陶磁器 陶瓷
白磁・青磁・豆彩・青花・釉裏紅・五彩・金襴手・古赤絵・法花・古染付・祥瑞・呉須赤絵・南京赤絵・法花
永楽・宣徳・成化・弘治・正徳・嘉靖・隆慶・万暦 官窯 民窯 地方窯 景德鎮 裏銘 窯印
重要文化財 唐物 作品集 写真集 写真解説 論文 論考
座右宝刊行会 長谷川楽爾 責任編集
小学館
1976年初版第1刷
約31x22.5x4cm
350ページ
カラー図版234点 モノクロ図版・文様300余点
函入 カバー付き上製本
※絶版
※月報付き 「明洪武宮址出土の陶片/繭山康彦 土器(かわらけ)三題その二 奥田直栄 」本巻執筆者紹介掲載
文化庁協賛 新資料を総集 明代陶磁研究の決定版、大型写真集・大型図録本。
明代陶磁の精華を名品と新資料で紹介。
白磁・青磁・豆彩・青花・釉裏紅・五彩・金襴手・古赤絵・法花・古染付・祥瑞・呉須赤絵・南京赤絵・法花
永楽・宣徳・成化・弘治・正徳・嘉靖・隆慶・万暦、官窯、民窯、地方窯、景德鎮ほか
日本陶芸に大きな影響を与えた明王朝三百年にわたる濃麗な陶磁の系譜を世界の資料を駆使して探る 日本国内・世界各国の著名な美術館・博物館コレクションより最高峰の作品を厳選して紹介。
●原色カラー234図
●文様を含む単色図版300余点
●主要明墓一覧表、嘉靖・隆慶・万歴期の窯印/裏銘・景徳鎮民窯編年試表・雲堂手の展開はじめ重要資料を多数収録
●明代陶磁史の流れを捉えた一流執筆陣の最新の論文
当代の最高権威による論文・解説および関係資料を満載、その幅広い魅力を総合的・体系的に展開した陶磁研究と鑑賞の基本書。
水注、盤、天球瓶、香炉、瓶、壺、鉢、碗、輪花鉢、杯、水差、扁壺ほか多数収録。
【全集全体の紹介文】
陶磁の歴史は芸術の面からも、生活のレベルでも人類史と不可分のものです。本全集は世界の陶磁を網羅し、地域別かつ時代別に編集しました。
各巻、カラーおよびモノクロ図版に、専門家による解説、文献目録などをそえた構成。
美術館・博物館所蔵のものに、近年発掘された新中国の古陶磁などを加え、また諸窯の遺品も収録するなど、世界陶磁の決定版全集です。
一つ一つの陶磁に「人類の文化史」を語らせた
今後四半世紀は、実現不可能というべき決定版
世界的に最新資料を集大成した最大規模の決定全集
一万余点の写真資料を駆使、原色図版を豊富に収録
最新発掘の陶片なども、美しいカラーで数多く収録
日本陶磁では特に茶陶を重視、名品を各巻に収めた
各巻冒頭に陶磁文化史を載せ、体系的理解を深めた
【目次】
明代の陶磁と歴史的背景
明初の磁器
成化・弘治・正徳の官窯磁器
嘉靖・隆慶・万暦の陶磁
明末の景徳鎮
景徳鎮民窯の展開
明代の地方窯
茶陶における明の陶磁
明磁の西方輸出
明磁の文様 主として吉祥文について
年代の明らかな主要明墓
原色図版・解説
本文挿入原色図版・単色図版
明初~正徳
嘉靖~明末
景德鎮民窯編年試表
雲堂手の展開
民窯
茶陶
西方輸出陶磁
明磁の文様
図版解説
藤岡了一 三上次男 矢部良明 満岡忠成 西田宏子 佐藤雅彦 長谷部楽爾 林屋晴三 端山康彦
主要文献目録
年表
英文本文目次
英文図版目録
《撮影・資料提供》
朝倉氏遺跡調査研究所 安宅コレクション 出光美術館 梅沢記念館 永青文庫 穎川美術館 大倉文化財団 掬枠巧芸館 京都国立博物館 五島美術館 静嘉堂文庫 東京国立博物館 東洋文庫 滴翠美術館 多摩美術大学 南蛮文化館 根津美術館 白鶴美術館 国立公文書館内閣文庫 箱根美術館 畠山記念館 藤田美術館 本能寺 松岡美術館 松永記念館 大和文華館 鹿苑寺 講談社 平凡社 大塚巧藝社 便利堂 アート光村 坂本万七写真研究所 小西晴美 小山冨士夫 並河萬里 蘭山康彦 三上四郎 宮原正行 アシュモレアン博物館(オックスフォード) サンフランシスコ・アジア美術館 エイブリー・ブランデージ・コレクション(サンフランシスコ) フリーア美術館(ワシントン) グスタフ6世アドルフ国王コレクション(ストックホルム) ギメ東洋美術館(パリ) スウェーデン極東古美術博物館(ストックホルム) ネルソン・アトキンス美術館(カンザスシティ) パーシヴァル・デヴィッド中国美術基金(ロンドン) アムステルダム国立美術館(ライクスミュージアム) ロイヤル・オンタリオ博物館(トロント) 大英博物館(ロンドン) メトロポリタン美術館(ニューヨーク) トプカプ宮殿博物館(イスタンブール) ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 Ashmolean Museum, Oxford Asian Art Museum of San Francisco The Avery Brundage Collection, San Francisco Freer Gallery of Art, Washington H.M. King Gustaf VI Adolf of Sweden, Stockholm Musee Guimet, Paris Museum of Far Eastern Antiquities, Stockholm Nelson Gallery-Atkins Museum, Kansas City Percival David Foundation of Chinese Art, London Rijksmuseum, Amsterdam Royal Ontario Museum, Tront The British Museum, London The Metropolitan Museum of Art, New York Topkapi Saray Museum, Istanbul Victoria and Albert Museum
【執筆者紹介】(月報に掲載)
佐久間重男氏 明代経済史を専攻。その研究は景徳鎮窯業の歴史に新しい光を投げかけている。 青山学院大学助教授。
藤岡了一氏 元明代を中心として東洋陶磁に深い造詣を有する学界の長老。本巻責任編集者。 文化財保護審議会専門委員。
長谷部楽爾氏 中国のみならず朝鮮、東南アジアに及ぶ陶磁史研究の中心的存在。本巻責任編集者。東京国立博物館東洋課長。
佐藤雅彦氏 陶磁は勿論、東洋美術全般に幅広い知見をもつ。京都市立芸術大学教授。
矢部良明氏 中国および日本陶磁史の研究に意欲的。東京国立博物館館員。
満岡忠成氏 内外陶磁に関する高い見識は学界の信頼を集めている。滴翠美術館館長。
西田宏子氏 中国・日本の輸出磁器を中心に東西の近世陶磁を研究する新進学徒。
中野徹氏 金工・陶磁等、中国工芸美術の比較研究に従事。大阪市立美術館館員。
三上次男氏 東アジアの歴史・考古学の権威。 東京大学名誉教授。青山学院大学教授。
林屋晴三氏 日本・中国・朝鮮の近世陶、就中、 茶碗研究の権威。東京国立博物館工芸課長。
繭山康彦氏 繭山龍泉堂主人として美術商にたずさわるかたわら陶磁史研究に励む。
【各作品解説一部紹介】
釉裏紅龍文双耳瓶 洪武(十四世紀後半)
Asian Art Museum of San Francisco, The Avery Brundage Collection, San Francisco Pear-shaped bottle with two handles, decorated with a three-clawed dragon in underglaze copper-red. Hung-wu style. Ching-te Chen ware. Late 14th century.
高45.7cm 口径10.9cm 底径14.8cm
元末明初の釉裏紅磁には、鉢と玉壺春が多く、たまに広口壷、稲瓶やケンディ(乳瓶)などをみるが、この龍耳に不遊録の付いた瓶の形は、おそらく他に類のないものであろう。双耳瓶に銀の付く形は、同時期の龍泉窯青磁でよく用いられており、それを倣って景徳鎮でも作ったらしい。有名な至正銘の青花大瓶一対 (デヴィッド・ コレクション)も、銀を欠くが、同形に属する例といえ、この瓶の霊芝雲の中を飛翔する龍など、文様上もデヴィッド版との類似が目につく。発色はかなり黒ずんでいるが、明初釉裏紅の完好な大作といえる。(佐藤雅彦)
青花花卉樹石図盤 永楽(十五世紀前半) 出光美術館
Dish, decorated in underglaze blue with a design of rocks and flowering plants in the centre and eight groups of flowering plants on the inside and outside. The base is unglazed. Yung-lo style. Ching-te Chen ware. The first half of the 15th century. Idemitsu Art Gallery, Tokyo.
高8.7cm 口径67.6cm
永楽青花の中で、著しく目立つものにこの種の巨大な皿がある。本図の皿はとくに大きく、縦幅の技が力強い。 その広い器面には四季の野に乱れ咲く可憐な草花を集めて、群れ競う百花園の情景を細かく描き出している。中央主題の画面は手前に奇妙な姿の寿石を置き、その裾を回る清水の流れ、空には薄雲も走って、広く奥行きのある写景である。これに対して、周縁は内外両面に八節ずつの草叢を規則正しく並べ、その一数ごとに数種の草花が咲き乱れ、しかもその一つ一つが種類を異にするというこまやかさである。永楽の青花には植物を題材にした意匠が非常に多いが、この大皿ほど明快でこまやかな例は他にみない。
青花雲龍文瓶 大明宣德年製銘(1426-35)
Globular flask, decorated with a three-clawed dragon among clouds in underglaze blue. The base is unglaz-ed. A six-character mark of Hsuan-te is on the neck in underglaze blue. Ching-te Chen ware. Hsuan-te period.
高44.2cm 口径8.7cm 底径15.7cm
永楽の天球瓶とよばれるものに比べると、これは胴が大きく、どっしりとした気分がある。頸から肩へかけての曲線がなだらかで、このため胴の容積が大きくなっているのである。青花の龍文は永楽のそれにほぼ似かよっており、頭部の形式など酷似しているといってよいが、 全体についてみると、細部の表現が整理されてすっきりとしたものになっている。雲のあらわし方も、元青花にみられる如意頭雲 (霊芝雲)よりはるかに安定のよい、 多くは四方に雲脚を伸ばした十字形の雲で、龍文の間隙を充填するように配置されている。そのような配慮によって、青花と地の白とのバランスがよく保たれ、落ち着いた、格調のある意匠を作り上げているのである。口部に描かれた唐草文帯の下方に、横書きで「大明宣德年製」 の銘が記されている。いわゆる宣徳官窯の重要な資料の一つであり、数ある明初青花のなかでもとくに印象に残る大作である。
青花唐草文壷 大明宣德年製銘(1426-35)
Jar, decorated with peony scrolls in underglaze blue. The base is partly glazed. A six-character mark of Hsuan-te on the upper part of the body. Ching-te Chen ware. Hsuan-te period.
高34.7cm 口径25.0cm 底径24.7cm
堂堂とした大型の広口の壷である。肩がまるく、裾が素直に細くなっており、底は縁を残して浅く刳り込んである。胴の上下に蓮弁文を濃い青花でしっかりとあらわし、両者の間の器面全体に宝相華唐草文を丁寧に描き込んである。俗にいう宣徳唐草である。まっすぐ立ち上がった頸部には、唐草文帯が描かれているが、その表現が漆器のいわゆる屈輪の緑文様に似ているのも興味ぶかい。 肩の蓮弁文の下方に、「大明宣德年製」の銘が正しく記されていて、宣徳官窯の製品であることを示している。非常に丁寧な作調からみて、何か特別の用途のために作られたものであろうと想像されるが、宝相華唐草の形式、 表現の仕方などからみると、宣德年間でもやや後の時期の製品と考えてよいのであろう。宣徳在銘の遺品のなかでも大作の部類に属し、しかも典型的な意匠を示している点で、とくに重要な遺例と考えられる。もとおそらく笠形の蓋を伴っていたものと推測される。(長谷部楽雨)
豆彩鶏図杯 大明成化年製銘(1465-87)
Cup, decorated in tou-ts'ai style with a design of cocks, hens and chicks in flower garden. On the base is a six-character mark of Ch'eng-hua in a double square in underglaze blue. Ching-te Chen ware. Cheng-hua period.
3.8cm 口径8.2cm 径3.8cm
鶏杯・鶏証杯・子母鶏缸杯などとよばれ、またチキン・カップの俗称で非常に名高いもの。高台がなく紅(かめ)の形をしているので、缸杯というのであろう。青花の細い線で文様をあらわし、澄んだ味わいの上絵具で彩色を加えてあるが、その筆致は繊細をきわめ、またいたって上品な趣があるのが、この種の杯の特色である。底裏中央に、二重方劃のうちに独特の六字銘を記す。畳付だけ釉がなく、純白のねっとりした美しい素地がみえている。成化豆彩を代表するもの、真作はごく稀であるという。
豆彩人物図杯 大明成化年製銘(1465-87) 北京故宮博物院
A pair of cups in tou-ts'ai style with figures in landscape. On the base is a six-character mark of Chong-hua in a double square in underglaze blue. Ching-te Chen ware. Ch'ing-hua period. The Palace Museum, Peking.
高3.8cm 口径6.1cm 底径2.7cm
前後の面にそれぞれ童子を伴った高士の図が描かれている。長く袖を垂れて歩む人物は陶淵明とも伯牙ともいわれており、岸辺に坐って水鳥の遊ぶさまを眺めやっている人物は王義之か黄山谷か、ともかく高雅の士である。 青花の描線は細くやわらかく、?彩も変化に富み、美しい。『博物要覧』に、成化のものとして、人物蓮子酒激の名が記されているが、あるいはこうしたものではなかろうか。
豆彩花卉文壷 大明成化年製銘(1465-87) Percival David Foundation of Chinese Art, London
Jar, decorated in tou-ts'ai style with a design of rocks and flowers. On the base is a six-character mark of Cheng-hua in a double ring in underglaze blue. Ching-te Chen ware. Ch'eng-hua period.
高9.2cm 口径7.5cm 胴径13.2cm
現存する成化豆彩の代表作としてもっとも名高いもの、類品は清朝故宮伝世品中に一点が知られているだけである。総体薄手の精巧な作詞で、器体はやわらかみのある曲線に包まれている。文様は岩を中心として描かれた牡丹に似た草花二株が一単位で、三方にこれが描かれ、小さい草花や飛蝶があしらってある。土坡は青花のままで彩色はない。花も岩も虫も、いろいろと色調を工夫してあり、変化に富んだ図柄に仕上げてある。底裏の銘も基準となるものである。
五彩花卉文方壷 大明嘉靖年製銘(1522-66)
Square jar, decorated with a design of rocks and flowers in wu-ts'ai style. On the base is a six-character mark of Chia-ching in a double square in underglaze blue. Ching-te Chen ware. Chia-ching period.
高20.1cm 口径8.0cm 底径16.6cm
嘉晴代には従前になかった変わった形がいろいろと考案されているが、なかでもとくに好まれたらしいのは、 この丸壷を四方に面取りしたような方面である。型作りで仕立てたもので、古銅の勤の形から生れたのかもしれない。この方壷には青花よりも五彩による装飾が圧倒的に多い。本例では、大抵の場合併用される青花がなく、 純然たる五彩で仕立てられ、上釉も純白に近い白濁釉を用いているため、赤、緑、黄の五彩が華やかに映えるが、 赤が沈んだ色合なので意外に騒がしさを感じさせない。嘉靖の五彩としては出色の作品であろう。
五彩鳳凰列仙図鉢 古赤絵(十六世紀)
Bowl, decorated with a design of sages in landscape in overglaze enamels and underglaze blue. is a six-character mark of Hsuan-te in a double ring in underglaze blue. Ching-te Chen ware. On the base 16th century.
高9.7cm 21.5cm 底径9.2cm
永楽・宜徳官窯の名声は、万暦年間にはすでに不動の位置を得ていたようである。黄一正が万暦十九年(1591) に著した『事物紺珠』が文献では初見のようであるが、その評価はすでに嘉靖期には定まっていたらしい。器底に二重円間をめぐらし、「大明宣德年製」と楷書で年款をいずれも青花であらわしたこの鉢は、そうした推測をうながす。腰の張ったやや大振りの器形は古赤絵の鉢の一つの定型であるし、見込みには風風丸文を中心に周囲に八つの鋸歯文をめぐらして、交互に雲文と禅・七宝繋を施す図案、そして周囲の人物図などいかにも嘉靖風であり、万暦までは降らない。とすれば、「宜徳」の迫銘は嘉靖の民窯においてすでに行なわれていた証左になると思う。側面の人物図は、図示された福禄寿のほか八仙人がそろい、さらに鶴や鹿が加わって、内側の鳳凰とともに吉祥の意図を濃厚に表現している。口縁には四方澤・唐草が青花であらわされる。いわゆる古赤絵とよびならわされている民窯の五彩磁のなかでも、わが国にある代表作の一つ。
緑地唐草文碗 金襴手(十六世紀) 重文
Five bowls in Kinrande style. Decorated with peony scrolls in gold on green ground and floral sprays in underglaze blue in the centre. One bowl bears Fu-kui-chang-ming mark and the rest bears Fu-kui-chia-ch'i mark in underglaze blue. Ching-te Chen ware. 16th century.
6.4cm 口径12.2cm 送径4.6cm
陶磁器に金彩を加える装飾法は、唐代から宋元の各時代に行なわれているが、金のもつ艶冶な彫をもっとも巧妙にあらわし得たのは明代嘉靖年間の景徳鎮窯の金彩、わが国でいう金欄手であろう。 金欄手は直接白磁胎に絵付することは少なく、経地,赤地,三彩等の釉上に描かれて、いっそうあでやかさを誇る。わが国では早くから金欄手に対する志向が強かったために豊富に優品があるが、 この碗は、わが国にある緑地金欄手の代表作であり、同じ重文の図239 金裸手碗五客と双璧をなす。 青花で口縁内側に四方得文,見込中央に菊の丸文をめぐらし、外側に白磁に萌黄色の緑釉をかけ、 さらに宝相華唐草を金泥で描いて針書で花弁や葉脈をつける。緑地に輝く宝相華の品格は贅美におちない陶然たるもので、五彩磁の絢爛さの一つの極致といえよう。高台内には「富貴佳器」「富貴長命」の青花銘が書されている。
青磁牡丹文水注 (十五世紀)
Ewer, decorated with carved design of a flower spray. Lung-ch'uan celadon ware. 15th century.
通高34.8cm 口径8.1cm 底径11.2cm
天龍寺青磁の名でよばれる元明の龍泉窯青磁は、一体に大作が多く、しかも景徳鎮窯の製品と器形、文様がかなり共通していることも注目してよい。これは、元代に始まる中国陶磁の大作主義の傾向と軌を一にするものである。俗に仙盞瓶とよばれるこの大形の水注は明初の青花磁器と酷似しており、なかでも胴の二方に如意頭風の窓を抜いて、牡丹文をあらわす文様の布置はそのまま元末明初の釉裏紅磁や明初の青花磁にみいだすことができる。いわゆる玉?春とよばれる瓶を基体にして、長く弧を描いて伸びる注口と大きく屈曲する把手を付けた量感あふれる堂堂とした水注で、宋磁の水注にみる鋭敏な趣はすでになく、造形の推移が如実に示されている。釉は、 天龍寺手独特の光沢のある緑色を呈するが、少し黄味を含んでおり、総体に施された彫文様もやや彫りが浅く、 軽妙になっており、元代よりやや降る明初期の製品と考えたい。共蓋を有することも貴重であり、いつごろにか、 わが国に請来され、伝世したという文化史的意義もみのがせない。高台畳付が赭紅色に焦げるのも龍泉窯の通例。
三彩花鳥文壷 法花(十五一十六世紀) 安宅コレクション
Jar, decorated with birds on a bloomed tree on either side in polychrome glazes on the biscuit. 15th-16th century. Ataka Collection, Osaka.
高44.8cm 口径23.5cm 胴径38.7cm
類例の少ない法花の大作である。濃紺の地に浮かんだ文様が、強い印象を与える。頸の雲文、肩の如意頭文、 裾の華やかな波濤文など、大作にもかかわらずなかなか鋭い作調である。主文様の花鳥文は、一面に山茶花と梅に二羽の帆帆鳥、一面には木星に似た花木と二羽の戦時らしい鳥、いずれも動きのある、巧みな図柄で、立体感をさえ感じさせる。内部と底には緑釉が施してある。製作地は確定できない。法花を焼く陶工の技術がピークに達した時期,最盛期の傑作といってよい。
ほか
★状態★
月報付き。(経年並ヤケあり)
1976年のとても古い本です。
函入、函は経年ヤケしみ、背の帯のあった部分の色が少し薄くなっています。
カバー付きの外観は経年並、天小口経年ヤケしみあり。
本文カラー図版数ページ余白部に全体的なしみあり。
他は経年並ヤケしみがそれなりにありますが、目立った書込み・線引無し、
カラー写真図版良好、問題なくお読みいただけると思います。(見落としはご容赦ください)