歳末セール④です。こちらは同時出品中の布とは違いアンティークではありませんが、全くの新しい布でもありません。天然染料を用いてまだ良い仕事がなされていた頃の布で、上手な絣文様が織り込まれた美しい布です。今月初めに出てきた布ですが、この時代のスンバのイカットとしては、レベルの高い一枚ですので、長年コレクションに入れていました。
これは、インドネシア スンバ島東部 レンデ地方で織られたイカットです。藍一色のイカットは平民階級の布であったのに対し、このような多色の布は、ヒンギコンブと呼ばれ、王侯貴族階級の衣装でした。
約300㎝×115㎝と大きい、約40年前(1980年代)の布で、中央で縦に縫合されています。4枚目画像をご覧いただくと、染料に濃淡が見られ、均一な科学染料ではなく、草木から採取した天然染料で染められていることが分かります。
この布は、次の点で特別です。それは、大部分のスンバのイカットは、カバキルと呼ばれる上下両端部分(5枚目黄緑色囲み部分、6枚目左端に全体画像)が通常、細い帯部分のみを後から縫い付けられますが、この布は中央部分の続きで絣文様が織り込まれています。高い技術を要し、大変手間のかかるものです。
絣文様が上から下までびっしりと織り込まれており、このようなスンバのイカットは、一般にはとても評価が高い布です。こちらの布は、例えば、孔雀の羽部分(7枚目画像)など、色を変えながら繊細な絣文様が織り込まれていることから、卓越した技量の織り手であることが分かります。
8〜10枚目の分割画像をご覧ください。織り込まれている絣文様には、それぞれ意味があります。最上部にはパトラの影響を受けた幾何学文様、左右両端には祖先像、中央の上部にはレンデの王・王妃と王冠、その周囲には空想上の動物、その下には戦いで討ち取った敵の首を架けた首架台、中央から下には宗主国であったオランダ紋章からの獅子や現地にはいない孔雀、蛇や龍などが権威と富の象徴として織り込まれています。これらの絣文様は、機械でプリントされたり、後から描かれたものではなく、図面も無しに糸を括って染められた後、全て手織りされたものですので、これほど多様で緻密な文様を織り込むには、非常に手間がかかったことでしょう。
目に付く傷みは無く、大変良い状態です。
整理のための出品で、大変リーズナブルかと思いますので、お好きな方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。
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