あれだけが地金相場を完全無視して左肩上がりの相場グラフを描きます。
毎年コインのデザインも大きく変わるのでコレクション性も高いです。
アメリカのシルバーイーグルやインディアン(バッファロー)も実は地金型とは違う動きをする個体があります。
物凄く良く、しかも長い期間観察しないと分かりにくいのですが、
アメリカの地金型コインのキモは「ラベル」です。
NGCもPCGSもなぜかアメリカのコインだけには「ラベル」へ特別な気合を入れてきます。
アメリカの歴史に残る出来事があった年にはその出来事に合わせたラベルを用意したり、、、
その年の大統領の顔やサインを入れてみたり、、、
造幣局サイドもそんな年だけ特別なプルーフ貨を作ってみたり、、、
アメリカという国のエンターテイメント性を感じるムーブをします。
結果、このようなコインは地金型であっても地金相場と乖離した動きをします。
単純にこのようなコインは左肩上がりのグラフであり続けるという結果を残しています。
そして件のイギリスのブリタニアです。
これも「Britannia」と付いたら全て「地金型コイン」と判断してしまうと勿体無いです。
例えばブリタニアには「特別デザイン」のブリタニアコインが存在しています。
ここで、そのブリタニアに特別なデザインが採用された年とその特徴の一部を列挙してみますね。・ 2001年: 波立つ海を背景に、盾を構えるブリタニアが描かれました。
・ 2003年: 坐像のブリタニアが描かれ、従来とは異なる穏やかなデザイン。
・ 2009年: 鳥とともに描かれたブリタニアが登場。
・ 2012年: ギリシャ神話の神アテナにインスパイアされたブリタニアが採用され、古代ギリシャの要素を取り入れたデザイン←★このコインはこれです。
・2017年: 発行20周年を記念した特別デザイン。
・2022年: エリザベス2世のプラチナジュビリー(即位70周年)を記念したデザイン。
ブリタニアの歴史上にはザックリとこんな感じで「特別デザイン」が存在しています。
「特別デザインBritannia」の大御所だけを並べましたが、
ご覧のようにブリタニアの歴史上で6種類だけです。ブリタニアの特別デザイン。
厳密には重さや額面でデザインが異なるのでもう少し細分化できるのですが、、、
この特別デザインのテーマは各年度それぞれ統一されています。
このコインの2012年にも額面違い=デザイン違いが存在していますが、
テーマは「ギリシャ神話の神・アテナ」で統一されています。
特殊デザインのブリタニアの中でも独創的なデザインで海外での人気が高いのが特徴です。
もうちょっとブリタニアについて掘り下げてみますね。
そもそもブリタニアとは何か???
一般的な説明では・・・・
「ブリタニアとは、イギリスの歴史、文化、そして海洋国家としての誇りを象徴する擬人化された女性像であり、ローマ帝国時代から続く長い伝統を持っています」
こんな感じの説明になっていると思います。
ヤフオクだと大体この辺の説明までです。
それは分かったと、、、ね、、、分かりますよね?
そして、あぁそう言うモノか!と思って全然問題ないですし、それ以上知っても別にコインの価値は変わりません。
でもですね、私のような凝り性の変人はさらに掘り下げてみたくなるわけですよ(笑)
それは分かったけど「ブリタニア」っていうネーミングはどこからきたの?とかご存知ですか???
「ブリタニア」という名前は、もともとローマ帝国がグレートブリテン島を征服した際に与えられたラテン語の名称「Provincia Britannia」に由来しているんです。
Provincia Britanniaです。つまりブリタニア県とかブリタニア州と言うことになります。
つまりヨーロッパの歴史をグングン遡ると、、、
イギリスは単なるローマ帝国の一部の地域だったと言うことが分かります。
と同時にこれがブリタニアの起源だと言うことも分かるはずです。
もう少し突っ込むとさらに面白くなるのでお付き合い下さい。
ブリタニアの姿に関してです。容姿といっても良いでしょう。
この起源は古代ローマ時代のコインや彫刻に、盾や槍を持った女性として描かれた人物像です。
これがブリタニア女性像の起源です。
ちなみに、この女性像は「征服されたブリテン島そのものを擬人化」したものでした。
美術的な世界(プラス少しの宗教的な世界)になるので飛躍的に聞こえるかも知れませんが、
アーティストと言うのはいつの時代でもそう言う人達だと思います。
近年では「バスキア」あたり面白いです。1960年代のニューヨークのアーティストです。
彼の描く「王冠」なんて常人には意味不明です。単なる落書きです(笑)
でも27歳と若くして亡くなった彼はその後のアメリカ系アーティストに大きな影響を与えています。
日本だと岡本太郎さんあたりを引っ張り出してみましょうか?昭和世代には伝わりやすい方だと思います。
そもそも「芸術は爆発だ!」ですよ?岡本太郎さん?発言からしてオカシイです。
あの大阪万博の名作「太陽の塔」でさえ「太陽の塔」と言われたから太陽に見えますが、
予備知識無しで見たら、なんやねんこれ?ウルトラマンに出てきた悪役怪獣か?みたいなデザインです。
お待たせしました。全世代&全世界向けにピカソを登場させましょう。
もう多くを語る必要がないと思います。説明不要ですね。
パブロ・ピカソの作品のほとんどはタイトルと内容がブッ飛んでいますね。
「いや、あの、これそれを描いたの?」
と言う作品が多々あります(主観です)。
そん感じです。
古代ローマ帝国のアーティストも「北大西洋に浮かぶ島」を見て、
「これは女性や!戦う女性の姿に見える!」となぜか思ったのでしょう。
そして女性戦士を描き「この娘の名はブリタニアや!」
「これからはこの女性をブリタニアと呼んでや!」
みたいなね。。。
想像の範囲でしか語れないのですが、一般的にはこんな感じで語り継がれています。
(実際には大阪弁ではありませんけどね笑)
さて、そろそろ気が付かれていますか?
「ブリタニア」です。「Britannia」です。「Britannia島」です。
日本ではイギリスと呼びますが、まぁ世界的には「United Kingdom=UK」と呼ばれることが多いと思います。英国。
しかしオリンピックを見るとイギリス代表選手のゼッケンには「GBR」と記載されています。
「Great Britain」の略で「GBR」ですね。
正式に完全に記載すると「United Kingdom of Great Britain(and Northern Ireland)」です。
これが我々日本人が単に「イギリス」といっている国の正式名称です。
見えてますよね?「britain」の文字。
イギリスの正式呼称に入ってますよね?「britain」の文字。
はい。それです!
「Britannia女性戦士像」が「英国の象徴」として採用されている根本的な理由まで遡りました。
歴史の書を読むと「Britain Island」の文字の初登場は紀元前55年頃です。
実に2080年ほど一気に遡ってみました。
この紀元前55年から「大英帝国」「Great Britain」の歴史は始まるのです!
そしてブリタニア像が生まれ、ブリタニアコインが生まれ、その派生系としてこのコインが生まれたりしています。
アテナです!世界的にも有名なギリシャ神話のアテナです!
パズドラやったことある人なら「アテナ」はもっと分かりますよね?
「覚醒無効全回復」のためにパーティーに一体は入れたかったあのアテナです。
「闇アテナさえ入手できたら闘技場なんで数分突破だぜ!カーリーワンパン撃破だぜ!」のあのアテナです。
あ、すみません。分からない人には全く分からないアテナ談義をしてしまいました。
とにかくすげぇっすよ。イギリス。
ほんと調べれば調べるほど深いです。イギリス。
心なしかブリタニアの裏側でエリザベス女王もその歴史に満足して微笑んでいるような気がしますね。