自宅保管の品です。大変美品ですが古いものですので、表紙など若干の経年変化はございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
田中角栄秘録 大下英治
「借りた金は忘れるな。貸した金は忘れろ」、「人は実感したものを信用する」、「権力の中枢は空洞だ」等数々の名言を残した田中角栄。角栄とは何者だったのか。戦後日本の象徴。鉄の結束を誇った「田中軍団」を作り上げた宰相。さらにはロッキード事件後も「闇将軍」として威力をふるった権力の源泉はどこにあったのか。盟友大平正芳、ライバル福田赳夫、竹下登、金丸信、小沢一郎、羽田孜、石破茂といったその後、一世を風靡する数多くの側近たちの証言をもとに昭和の巨魁・田中角栄の実像に迫る。
序章 田中角栄 情は武器なり
第一章 越山 田中角栄の戦後
第二章 上昇気流
第三章 権力の階段
第四章 栄光と挫折――その死
レビューより
田中角栄が頂点に上り詰める過程、日中友好条約の裏、そしてなぜ竹下登や、小沢一郎などが田中角栄を裏切った理由など角栄を1から知るには、良い本ではと思います。角栄語録満載です。
本書は、昭和の巨人・田中角栄の没後20年を機に出版された。角栄は、毀誉褒貶入り乱れ、現在においてなお、功罪の判定すら峻拒する趣がある。
その全体像を描くことは、誰にもなし得ない難事だと思うが、新書という限られた紙幅の中で、より人間・角栄の本質に迫ろうとするには、本書の著者・大下氏が最適任の人であろう。
何と言っても、大下氏が取材に当たった人物が、「はじめに」で列挙されているが、そうそうたる人々のオンパレードである。田中軍団だけでも、金丸信、竹下登、小沢一郎、橋本龍太郎をはじめ15人、他派閥では、中曽根康弘、石破茂など4人、その他、秘書、夫人、友人、官僚、マスコミ人などの証言を直接、幅広く集めているのである。
400冊以上の著作を著した大下氏の圧倒的な人脈に、改めて驚かされる。
魑魅魍魎で、権謀術数に満ちた政界のなかでも、海千山千が集う国政の場において、角栄の「情」が、純粋に人を惹き付けてやまないことが、小沢一郎、金丸信、石破茂、橋本龍太郎などとの具体的なエピソードを通して生き生きと伝わってきた。また、日中国交正常化の大仕事の場において、周恩来総理と丁々発止の大喧嘩をしたエピソードなど、一つ一つの話から、角栄の人間臭さや並々ならぬ胆力が伺え、非常に興味深い。
本書の特色の第一は、エピソードが、膨大な大下氏の取材からの選りすぐりで、最後まで飽きさせず、ぐいぐいと読者を惹き付けることであろう。
また、角栄の顔写真とともに、随所に挿入された「角栄語録」も、刺激的で本質を突いた言葉が多く、勉強になった。スケールの大きい政治家がいなくなったと言われて久しい昨今、“情の巨人”角栄の本質に迫る本書は、「秘録」の名に値する名著である。