ドニゼッティ:
歌劇『ランメルモールのルチア』(イタリア語歌唱)全曲
ナタリー・デセイ(ソプラノ:ルチア)
ピョートル・ベチャワ(テノール:エドガルド)
ヴラジスラフ・スリムスキー(バリトン:エンリーコ)
イリヤ・バンニク(バス:ライモンド)
ディミトリー・ヴォロパエフ(テノール:アルトゥーロ)
ジャンナ・ドンブロフスカヤ(メゾ・ソプラノ:アリーザ)
セルゲイ・スコロホドフ(テノール:ノルマンノ)、他
マリンスキー歌劇場管弦楽団&合唱団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
録音:2010年9月12-16日 サンクト・ペテルブルク
Mariinskyレーベルから注目のオペラ全曲録音が登場です。
ドニゼッティの傑作『ルチア』を、日本でも大人気の名ソプラノ、ナタリー・デセイが歌っています。
デセイはコロラトゥーラ・ソプラノ役を得意とし、『ルチア』も度々歌っているものの、録音、映像ともフランス語版『リュシー』で、ファンの間からはオリジナルの『ルチア』も聴いてみたいという声が上がっていました。
当盤は、2010年9月に、ロシア、サンクト・ペテルブルクのマリインスキー・コンサート・ホールにて演奏会形式で上演された際の録音。
デセイですか ら、声の美しさ、高いレベルの歌唱技術はもちろん、役の掘り込みもたいへんに深く、傑出したルチアをになっています。
エドガルドには、ポーランド出身で今 や欧米で大人気のテノール、ピョートル・ベチャワ。2007年9月のチューリヒ歌劇場日本公演でも話題になり、さらにこの6月のメトロポリタン歌劇場来日 公演では、このエドガルドと、プッチーニ『ボエーム』ではネトレプコ相手にロドルフォを歌う予定です。エンリーコのヴラジスラフ・スリムスキーは、 2009年6月のボリショイ劇場日本公演で絶賛されたチャイコフスキー『エフゲニ・オネーギン』のタイトルロールを務めていました。
そしてもちろんゲルギ エフの指揮はいつだって驚異的な集中力と熱い感情に溢れ、『ルチア』本来の生々しい表現を掘り出した演奏になっています。
この『ルチア』のもう一つの特徴として、狂乱の場でグラスハーモニカを用いていことがあげられます。この場面でドニゼッティは、機械式のグラスハーモニ カを用いようとしたのですが、様々な事情で断念、フルートで代用しています。
近年、扱いの難しい機械式ではなく、音楽専用の楽器としてのグラスに水を張っ て音程調整するタイプのグラスハーモニカに優れた名手が輩出、この上演ではドイツ人グラスハーモニカ奏者のサシャ・レッケルトがこの世のものとは思えぬ響 きを漂わせ、狂乱の場をいっそう趣き深いものにしています。