・光学系はカビ、くもり、バルサム切れなどの劣化部分が見られずきれいな状態です。
・後群内のレンズ面にごく細いものですが円弧状の拭き擦れがあります。
・外観は側面に小さな塗装のはげが見られますが当たりなど変形部分は見られず、経過年数を考えるときれいな方だと思います。
・文字やマークの色はくっきりしていて見やすい状態です。詳細は前述のリンク先にある高解像度画像でご確認ください。
【可動部の状態】
・フォーカスリングは全周にわたって一定の手応えでスムーズに回転します。ヘリコイドにラップ研磨処理を行ったため、回転時に指先にざらつきや擦れなどの違和感が伝わってくることはありません。
・絞り羽根に油の付着はなくきれいです。
・絞り羽根の動作はPENTAX SPボディに取り付けて確認しましたが,シャッターに連動して迅速に開閉しました。
・絞りリングはクリック感が良くスムーズに回転します。
・距離環と絞り環の操作感は多くの方に良好だと感じていただける状態に整備できていると思います。
【このレンズの特徴等】
・広角レンズの中でも焦点距離は少し短めで、標準レンズと比較すると面積比で4倍近くの範囲を画面内に収めることができます。そのため、構図を工夫すると標準レンズとはかなり雰囲気の違う写真を撮影することができます。
・最短撮影距離は0.4m、最小絞りはF16です。
・同社の28mm F3.5には大きく分けて前期型と後期型に2種類がありますがそれらの光学設計は異なり、前玉の大きさが異なるためフィルター径が後期型49mm対して前期型は58mmです。
【分解整備の内容】
・フォーカスリングのヘリコイドに使用されていた古く汚れたグリスを除去し、ヘリコイドの溝の中までラップ研磨と呼ばれる方法で磨き上げ,溝の奥にたまった細かな汚れを取り除くとともに表面をより平滑にしました。その後,粘度が適した新しいグリスを隙間なく充填しました。
・内部のレンズ面に付着していたチリなどを可能な限り清掃しきれいな状態にしました。前述の実写例等を置いたリンク先にある写真中のレンズ背後からライトで照らした画像をご確認ください。
・水洗可能な部品は分解時に洗剤による洗浄を行い汚れや不要な古い油分を取り除きました。その後、超音波洗浄機で洗浄しました。
・文字や線の色が色あせていたのでオリジナル色の近似色に調整した油性ペイントで補修しました。このペイントは水濡れには耐え、刻印の中に入れてありますので簡単に取れることはないと思います。
・最近はフィルムカメラの需要が増えていることがニュースでも取り上げられていました。私の無限遠調整はすべてそのレンズを使用する前提で製造されたフィルムカメラに装着して正確に行っています。出品中のレンズはPENTAX SPボディに取り付けて距離環を無限遠側いっぱいに回した位置で星や月面にピッタリとピントが合うように調整しています。マウントアダプターを介してミラーレス一眼で使用した場合は多くの場合わずかにオーバーインフ(無限遠マークのわずかに手前で無限遠にピントが合う状態)になり無限遠にはピントが合わせることができるようになっているはずです。
・無限遠調整時の被写体は(1)明るい恒星、(2)恒星と同じ結果になるように調整した無限遠コリメーター、(3)約200m先にある鉄塔のいずれかで調整時に利用可能なもので行っています。無限遠コリメーターは口径10.2cm焦点距離1200mmのアポクロマート天体望遠鏡(PENTAX 100ED)の接眼部にピンホールと光源を取り付けたものです。また、調整時にはカメラボディーに自作の高倍率マグニファイアを装着して確認しています。(1)~(3)のいずれで調整しても全く同じ結果になることを確認しています。
※ミラーレス一眼にマウントアダプターを介して取り付けた場合は、そのマウントアダプターの設計や工作精度によって無限遠位置が異なります。多くの場合はオーバーインフになることを確認しています。これは、マウントアダプターを使用した際に確実に無限遠が出せるように余裕を持たせてた設計にしているためだと思います。オーバーインフ気味になるマウントアダプターに取り付けて無限遠を精密に調整してしまうと、その時使用したものでしか正確な無限遠が出ないだけでなく、多くの場合そのレンズを本来のフィルムカメラに取り付けた時には無限遠にピントが合わないことになります。