自宅保管の品です。中身は大変美品ですが古いものですので、表紙など若干の経年変化はございます。画像にもありますように、保管時の悪さから裏表紙上部に少しヨレがございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。


原節子　あるがままに生きて


経済的な事情から女学校を中退した原節子は、十四歳で女優の道を歩きはじめた。野心満々とは正反対だったが、やがて映画の魅力に憑かれ、『東京物語』など名匠の作品に出演する大女優になる。膨大な資料から本人の残した数少ない言葉を発見し、「伝説の女優」の素顔を浮かび上がらせたエッセイ。


原節子が新聞・雑誌に残した言葉から、引退までの半生をたどる。デビューのいきさつ、黒澤明に怒鳴られ、大根女優と叩かれ落ち込む繊細さ、その反面の終戦直後にモンペ姿で一人で買出しに出かけるたくましさ、煙草やお酒、麻雀が好きという意外な一面など、「永遠の処女」の知られざる素顔に迫る書きおろし。

目次
家族
出生地
洋風の美少女
得意科目
少女時代の夢
女学校中退
義兄熊谷久虎
映画界へ
女優・原節子の誕生
踊らないダンサー〔ほか〕

登場する方々
山田五十鈴　高峰秀子　黒澤明　成瀬巳喜男
イングリッドバーグマン　グレタ・ガルボ
溝口健二　伊丹万作　山口百恵　残間里江子
吉村公三郎　小津安二郎　伊丹十三　上原謙
山中貞雄　内田吐夢　入江たか子
大河内伝次郎　池部良　佐野周二　三船敏郎
山口淑子　扇千景
山東昭子　佐田啓二　田中絹代　久我美子
東山千栄子　鰐淵晴子　佐分利信　岸田國士
杉村春子　木下恵介　片岡千恵蔵　阪東妻三郎
今井正　長谷川一夫　丹波文雄　石坂洋次郎
林芙美子　淡島千景　藤田嗣治　香川京子
岡田茉莉子　浪花千栄子　細川ガラシャ
ショパン　チャイコフスキー　シューベルト
川喜多かしこ　谷崎潤一郎ほか多数

レビューより
本編５０章、各章平均５頁。わが青春に悔なしが３０章。戦前・戦中の彼女の足跡も丹念に追っている。

美貌（写真で十分窺える）でスターになったが、演技は拙く女優であることに自信がなかった戦前、食糧難の時代のなりふりかまわぬ買い出し、黒澤明を始め名監督との出会いを通じて、芸幅は狭いかもしれないが演技力を高め、女優としての矜持を持ち、読書以外にビールや麻雀も楽しむようになった戦後。しかし、水着拒否が示すように自分のスタイルを貫き通し、適役が少なくなると映画界から身を引いた。美貌だけが注目され、女優人生の末路は哀れだった入江たか子との対比が興味深い。わが青春に悔なしでのピアノ演奏場面に着目した評も面白い。女優・原節子の資質を見抜く関係者の慧眼も凄い。