3CD
廃盤
リスト:
『巡礼の年』 全曲
ラザール・ベルマン(ピアノ)
『超絶技巧練習曲集』の強烈演奏で知られるラザール・ベルマンのもうひとつの代表盤がこの『巡礼の年』全曲盤。
1977年にミュンヘンでセッション・レコーディングされており、アナログ完成期の収録だけに音質も上々の仕上がりとなっています。
アルプスにまつわる文学作品にインスパイアされた第1年、イタリア・ルネッサンス芸術への感動を表した第2年、ヴェネツィアとナポリゆかりの旋律をとりあげた第2年補遺、晩年のエステ荘での静かな生活を反映した第3年と、それぞれ明確な個性を持った曲集に、リスト弾きベルマンが、持てる表現力のすべてを投じてアプローチした名演。
詩情豊かな「オーベルマンの谷」や「ル・マル・デュ・ペイ」、「ペトラルカのソネット」、豪快な技が冴える「ダンテを読んで」、華麗な「タランテラ」、清らかな「エステ荘の噴水」等々、どれも見事な仕上がり具合。有名な『超絶技巧練習曲』とは大きく異なる、リストの味わい深い魅力が満開です。
『巡礼の年』は、リストが20代から60代にかけて書いたピアノ作品集で、スイスやイタリアにまつわる印象や人生での経験などを詩情豊かに描いており、そのイメージの鮮やかさは絵画的とも称えられるほど。
小説に登場する「ル・マル・デュ・ペイ」は、中でも人気の高い若き日の傑作、第1年「スイス」の中の第8曲にあたるものです。
第1年「スイス」は、バイロン、セナンクール、シラーという文豪の作品にインスパイアされて書かれたもので、『巡礼の年』として発表されるより以前に『旅人のアルバム』として発表されたという経緯もあります。そのため、旅と文学との関わりの深い作品集とみることもできます。
村上春樹の作品『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に何度も繰り返し登場して話題のベルマンによるリストの『巡礼の年』は、リストの名技的な有名曲とはだいぶ雰囲気の異なる作風が持ち味となっているピアノ音楽。
中でも特に登場回数が多く、キーになるモティーフとして重要な役割を果たしているのが第1年「スイス」の中に含まれる第8曲「ル・マル・デュ・ペイ」です。
通常は「郷愁」や「望郷」というタイトルで知られていますが、村上春樹は敢えて原語をカタカナ表記し、さらに「田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ」という訳を付すことでイメージを先鋭化しています。
また、小説の終盤、シベリウスの生地を舞台とした場面ではアルフレート・ブレンデルによるCDも登場させてベルマンの演奏との比較もおこなうなど、クラシックに造詣の深い村上春樹ならではのこだわりもみせています。
Disc1 [48:29]
『巡礼の年』第1年「スイス」
・ウィリアム・テルの礼拝堂
・ワレンシュタット湖畔で
・パストラール
・泉のほとりで
・夕立
・オーベルマンの谷
・牧歌
・ル・マル・デュ・ペイ(郷愁)
・ジュネーヴの鐘
Disc2 [71:03]
『巡礼の年』第2年「イタリア」
・婚礼
・物思いに沈む人
・サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ
・ペトラルカのソネット第47番
・ペトラルカのソネット第104番
・ペトラルカのソネット第123番
・ダンテを読んで-ソナタ風幻想曲
『巡礼の年』第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」
・ゴンドラの漕ぎ手
・カンツォーネ
・タランテッラ
Disc3 [56:37]
『巡礼の年』第3年
・夕べの鐘、守護天使への祈り
・エステ荘の糸杉に寄せて-葬送曲(第1)
・エステ荘の糸杉に寄せて-葬送曲(第2)
・エステ荘の噴水
・哀れならずや-ハンガリー風に
・葬送行進曲
・心を高めよ
ラザール・ベルマン(ピアノ)
録音時期:1977年5月
コンディション良好。
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