御存知! ”Double Trio”期最後のライヴ King Crimson Collectors' Club 公式盤「Live in Philadelphia, PA August 26, 1996」二枚組 輸入盤 中古でございます。
言わずと知れた”King Crimson Collectors' Club”シリーズの”Official Bootleg”盤でございます。
この時期はサウンドボードを通てし”DATによる録音”という公式録音。また、サウンドエンジニアを兼ねるDavid Singleton等が制作を担当しており音質は抜群でございます。
非常に音質は良いものの、あくまで海賊盤対策用”Official Bootleg”という事。作品としてのライヴ盤制作の音質ではないという事がミソでございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは驚愕の”Double Trio”期で名手揃い、
Robert Fripp(G、Soundscape)、Bill Bruford(Ds、Per 当時Bill Bruford's Earthworks、ex-Yes、Bruford、U.K.、Moraz/Bruford、渡辺香津美他)、
Tony Levin(B、Vo、Chapman Stick、ex-Mike Mainieri's White Elephant、Steps Ahead、渡辺香津美他)、
Adrian Belew(Vo、G ex-Frank Zappa、David Bowie他)、Trey Gunn(Warr Guitar、ex-Sylvian/Fripp)、Pat Mastelotte(Per、Ds ex- Mr.Mister、Sylvian/Fripp)となります。
1996年8月26日米国ペンシルベニア州”Mann Centre”での実況録音となります。
かの”Sylvian/Fripp”にて「必ず平等は保証する」とかのDavid SylvianにKing Crimson加入を要請したものの、「King CrimsonはRobert Frippのバンドというイメージがあるから無理」と断られたRobert Fripp。
「愛憎の仲」「犬猿の仲」とも揶揄されたジャズ系名手Bill Brufordを再び迎え、摺った揉んだの末に完成した驚愕の”Double Trio”。
好評を以て迎えられるものの、日本公演半ばからBill BrufordとRobert Frippの深刻な対立(名古屋公演開場約2時間前の楽屋で大口論.......)が始まり、微妙な雰囲気が流れ始めたKing Crimson。
されど、いつもの事、と演奏・アンサンブルには影響なくツアーを進行していく事となります。
(但し、Adrian BelewがBruford/Frippの板挟みとなってしまい、気苦労が絶えなかったとか.................................)
Bill Bruford/Robert Frippのみならず”Thrak”等即興以外に日々スポンタニアスな演奏を求めるバンドの体質もあり、”Discipline”King Crimson時代の楽曲が入れ替え状態になり、選曲が変化。
爆弾を抱えながらも意欲的にツアーを進行し、最終日を迎えた.........................という経緯がございます................................
さて今作。
ツアーがこれで終了!という事があり、これで自由になれる!という開放感が感じられるもので勢いが感じられるものでもございます。
されど、”Thela Hun Ginjieet”冒頭でRobert Frippが珍しくミスを犯し、演奏が見事にズレてアンサンブルが崩壊しかけるという場面も..................................
(Adrian Belewが若干笑いながら歌うという場面も.....................)
何とか立て直し、「油断禁物」と何も無かった様に演奏を粛々と進める場面がございます...................................何かねぇ...................................
”Thrak”収録楽曲や定番過去曲は手慣れた感じではございますが、飽きが来ている感があり、若干の演奏・アンサンブルのズレや粗さを感じる面もございます。
但し、即興楽曲や差し替えてそれ程経っていない”Discipline”King Crimson時代の楽曲”Waiting Man”等は新鮮味があった模様で、演奏・アンサンブルにもそれが感じられるものでございます。
聴きものは”The Sheltering Sky”。
Robert Frippのシステムが既に”Frippertronics”から”Soundscape”へと変化した事、”Synclavier Guitar”を録音当時に用いていた事もあり、
今ならばどう変化するのだろう?と一部ファンの興味を惹いていた楽曲でございます。
”Synclavier Guitar”的な音色を生かしてはおりますが、やはり”Soundscape”でございます。
Robert Frippの即興パートを加えており、また”Double Trio”編成という事もあり、アレンジが結構異なるもの。
Adrian Belewパートのアレンジも変化しており非常に興味深い出来となっております...............................
(されど、Sylvian/Fripp”The First Day”制作時の”最終形Frippertronics”で聴いてみたかった感がございます......................)
この”Double Trio”は様々な可能性を秘めた興味深い編成であったものの、Bruford/Frippの対立があり相当しんどいものであった感がございます。
(各パートの棲み分けや音楽的範囲の有り方、その兼ね合いに苦心していた感も.....................)
その後、新作へ向けてセッションを重ねるものの、Bruford/Frippの音楽面含めて対立は解消される事はなく、苦肉の策として”Projekt シリーズ”を企画。
最終的に”Double Trio”新作へ繋げようとするものの、対立は深刻化。
Bruford/Frippは袂を分かつ事となり、企画途中で方針転換。
若手二名を生かす編成へと舵を切る事となります...................................................そして”Nuovo Metal”King Crimson期へ...............................
ロック音楽としてみると「なぜこうなるのか?」と首を傾げたくなるものが作品・周辺作・活動含め非常に多い”King Crimson”。
そもそも”Robert Fripp”自身が”ポピュラー音楽分野で興味深い活動をする現代音楽家”でございます。
「ミュージシャン相互の秩序と信頼の音楽で特定の形を持たず、その音楽の根底に横たわるエネルギーをRobert Fripp自身が”King Crimsonである”と認識した時に、それが”King Crimson”となる」
とも言われます。
今作は”Official Bootleg”ではございますが、「現代音楽家Robert FrippとKing Crimsonという実験的存在」の貴重な記録の一つの感がございます...........................
(Fripp/King Crimsonの面倒な関係とも申しますか................)
この機会に是非。
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