■『滑稽發句屋奈幾樽/川柳猫鯰』時雨庵蛙水編纂。舊邦堂陳人校正。編輯兼發行/伊澤駒吉。明治22年大阪南區長堀橋筋・前野茂久次印刷(初刷)。
■「運で乗り不運で下りる玉の輿」「小便をされた古着店でほ志」「轉ぶ猫まねき猫より賣がよし」「經濟論者言葉にむだは無し」「鬼の留主とんだ處を洗濯し」「馬鹿野郎戸を閉てから目を覺」「地球儀で知った世の中廻り持」「又廓などと格子の前で洒落」等々、現代人からすれば高尚で、頓智を利かせなければ解せない様な発句が56頁837句に亘り掲載されて居ます。
■WikipediaやYouTube 等を検索すると、猫と鯰に関する諸々が出て来ます。就中、
　　　河鍋暁斎の『群猫釣鯰圖』の説明
を読むと、樹木の上に群れる猫がうっかり鯰(餌)を落としたとも見て取れる構図に、皆の衆
　　「何か大事な事忘れてやしませんか？」
との警句に為ってます。掲載の川柳の数々も正に其れで、物事を何でも斜に構えて観ると、新たな側面が有る事に気付かされますね。
■個人的には表紙畫がHumorousでGood！ですね。如何でしょうか？。中々Witに富んだ川柳なので、落札無ければ私が永久保存します。

●今から136年前の本です。
●紙質経年劣化で焼け・汚れ・滲み・擦れ・撓み・黴臭が有ります。
●縦8.5㎝。横12.2㎝。厚み1.3㎝の【小型本】です。
●46頁と51頁の間が欠けてる様に見えますが、明治期の出版物に特有な単なる頁数の誤植です。写真⑥を参照下さい。明治期出版物には頁数出鱈目なのが結構有ります。
●本文ザラ紙の「袋綴じ」で個々頁の裏面には別本の印刷が有ります。当該川柳とは何等関係有りません。
●誤植を糺すと正味56頁。書き込み有りません。●古書に不慣れな方、殊更神経過敏な方には不向きです。回避為さるのが賢明かと思われます。爾後のClaim御容赦下さい。
●取引に際しては私の自己紹介欄をお読み下さい。
●表紙畫装幀が良いので高値付けます。悪しからず御諒解下さい。

（2022年 3月 4日 5時 22分 追加）
■そう言えば、当該表紙画の【芸者猫】の素焼き彩色を施した置物を以前出品し、落札されたのを思い出しました。昔は神田神保町の三省堂書店の店頭で、出品した物より然も化猫然とした、表紙画の様な【芸者猫】が売られて居りましたが、次に訪れた時にはもう販売終了で、買いそびれた事を非常に後悔した事が有ります。その後訪れた大阪新世界の碁会所の硝子張りに、私が買いそびれた【芸者猫】がMiniatureで置かれて居て、写真に撮ったものでした。(笑) 【芸者猫】は絵にしても置物にしてもPotentialが高いですね。