再出品の経緯:
長文ですが、以下良くお読み頂き入札判断をお願い申し上げます。
本機は本年9月に出品しましたが、落札者様の要求性能を満たさなかった為にお引取りさせて頂いた物です。
その際のお手間、ご負担誠に申し訳ありませんでした。
ラジオ受信は受信機の性能と、アンテナの適否、設置場所(地域、電波環境、住居構造)がマッチして成り立つものです。
ちなみに私の住居名古屋市内のコンクリートマンションは、電波環境、住居構造が問題で、標準型スーパーでは
NHK1局しか入感しません。そのため兵庫県の木造工房にて作品の最終調整、性能評価をしている次第です。
そこでは7つのローカル局と西は沖縄、九州、四国、東は横浜、東京のDX受信を指標にしています。
思いますと前回出品では、問題点が2点ございました。
・3-BX-671に本来備わっていたAMフェライトバーアンテナが欠品であった事
本機には本来3系統のAMアンテナがあり、通常はキャビネット内蔵ループアンテナ、足りなければフェライトバー、
それでも入感微弱なら20mのロングワイヤーをメーカー指定しています。
フェライトバー不装備でも、兵庫では内蔵ループアンテナが有効につき、出品可とした訳ですが、
それは不十分な対応であったと反省しました。やはりフェライトバーアンテナが必要です。
そこでライバル機のゼニスT/Oの外付けアンテナである、ウェーブマグネットを本機に接続して、感度増強を確認のうえ
ウェーブマグネットと同じインダクタンスのフェライトバーアンテナを製作装備しました。
・発振混合管1L6の劣化疑い
長時間ランニング聴取の結果、周期的な感度低下を認め、局発の不安定化が疑われました。対策として手持ちの
1L6 2本のうち、程度の良い個体を選んで交換したところ、安定化を得たので出品可としました。
この1L6は稀少かつ高価につき入手が極めて困難です。
その他、落札者様からは金属パネルに触れた時ピリピリ電気を感じたとご指摘がありましたが、この機はトランスレスでも
フローティングアース方式を採っていて、B- BUSはシャシーから絶縁されております。
絶縁コンデンサも交換済みで漏電はありません。裸シャシーを触りまくって調整を行った私自身、感電は皆無でした。
故に現象は静電気の帯電があったのではないかと考える次第です。
短波の感度不足もご指摘ありましたが、短波は付属のロッドアンテナ専用であり、それで十分な感度を確認しています。
今回発振混合管1L6の交換もしましたが、他の真空管の劣化も当然ある訳です。これ以上の性能向上としては、
高周波増幅管、中間周波増幅管1U4の二本交換も手だろうと考えます。この真空管は入手が容易です。
尚、電池管は劣化が早いのでしょう、このタイプの受信機の裏蓋には交換球を装備するクリップをどのメーカーも装備しています。
以下、前回の商品説明を引用し、一部を改訂して掲載します。
RCA VICTOR 3-BX-671 The Strato-World 1953
ゼニス・トランスオセアニックH500の商業的成功を目の当たりにした競合メーカーは、いわゆるT/Oクローンズと
呼ばれるライバル製品を市場に投入します。先ずはハリクラフターズからTW-1000スカイライダー。
そしてRCA VICTORが一年遅れて上市したのが本機、ストラトワールドです。
このストラトワールドは、T/Oを徹底的にベンチマークした製品に違いありません。
本家を上回る工夫が随所に見えるのです。
・横行式ダイヤルスケールの採用
エアプレーンダイヤルのT/O H500との違いが最も顕著な点です。これを受けてゼニスは
次モデルのY600で横行式に移行しました。
・精度の高い金属製ケース
T/Oが木製ケースで、バラツキ、狂いが大きかったのに対して、ボディシェルを金属で造ったストラトワールドは、
工作精度に勝り、建付けの良いキャビネットになっています。
・レザー張り込み外装
革張り仕様は、スムーズレザー(タン色)、アリゲーター(黒)の2種類。対するT/Oは、大多数がキャンバス張りで
特別仕様でレザー対応をしています。
・フラットに降ろせる裏蓋
意外なことにT/Oの構造的欠点は、置いた状態では裏蓋が完全には降りないことです。
降ろすためには、キャビネットを前傾する必要があり、操作としてはなかなか面倒でストレスフルです。
こういう欠点を知って、当然ストラトワールドは、置いたままで裏蓋全開できます。
・アルミダイキャスト製ノブ
デザイン要素としても重要なノブ。その材質感は見た目だけでなく、操作時に手に直接伝わる点でも重要です。
・回転式バンド切替スイッチ
ロータリー接点でコイル組み合わせの切り替えを行います。ゼニスはプッシュボタン式、ちなみにハリクラフターズは
コイル自体が回転するターレットチューナーです。あくまでもデザイン面でのインパクトであり、性能に大差ありません。
この機器の概要を記します。
・電池管式ポータブル オールバンド受信機
1U4(高周波増幅)、1L6(発振混合)、1U4(中間周波増幅)、1U5(第二検波、AF)、3V4(低周波増幅)、セレン整流器
キャビネット内蔵ループアンテナ: 中波
ロッドアンテナ: 短波
・Tuning Ranges 7Band
A: 540-1600khz
B: 2.0-4.0Mhz
C: 4.0-8.0Mhz
31M Spread Band: 9.45-9.85Mhz
25M Spread Band: 11.55-12.05Mhz
19M Spread Band: 14.90-15.55Mhz
16M Spread Band: 17.50-18.20Mhz
・フロントエンド脱着式
6連バリコンとRF管、コンバータ管はユニットで取り外しが可能
・中間周波数 455KHz
・電源 AC100-117V バッテリー 9V/90V
経年の劣化により、セレン整流器の直流出力は低下していました。ダイオード整流に変更しました。
そもそも117Vの米国仕様ですが、低電圧地域用の補償回路があり、そちらに切り替えて正常電圧が出ています。
電源フィルターのケミコン、バイパス等のペーパーチュブラーコンデンサは等価の品に交換。
欠品のフェライトバーアンテナ代替品を製作。
性能低下が認められたコンバーター管の1L6を良品に交換。
フェライトバーアンテナの効果は顕著でした。内蔵ループアンテナに比べて感度、ゲインともに優れています。
指向性を利用して、局ごとに受信状態を最適化出来るのも大きなメリットになります。
製作は兵庫工房にて、効果確認は名古屋市のマンション居宅にて行いました。
中波は、トラッキングが取りきれずに、100KHz程スケールとズレる部分もありますが、慣れれば問題ないでしょう。
Bバンドでは日中、3.5MHzのハム局、Cバンドは7MHzのハム局をはじめ、夜更けとともに賑わう国際放送に
時が経つのを忘れます。(SSBは復調できません)
短波はロッドアンテナを伸ばしてください。
当方での受信確認を経てはいますが、受信はご住居の地域、環境、構造に大きく左右される部分です。
コンクリート住宅の室内にはAM電波は届きません。5球スーパーならアンテナ線をベランダに出す。
本機の場合は、窓際にキャビネットを置いてフェライトバーアンテナをアルミサッシに添わせるなどの工夫が必要です。
このような住宅で真空管ラジオが簡単に鳴るとは思わないことです。
また整備品とは言え本機の構成部品は70年の経年につき、コンディションの変化もあり得ます。
ご理解の上の入札をお願い申し上げます。