A WONDER BOOK
by Nathaniel Hauthorne
illustrated by Arthur Rackham
First published 1922 by Hodder & Stoughton Ltd Copyrightc 1982 by Hodder & Stoughton Ltd
1983 Japanese Edition by Rippu Publishing Co, Ltd
「もつれ木」館と呼ばれる別荘に集まった子どもたちを前にして、才気に満ちた学生詩人が語る名高いギリシャ神話―あの 古い古い物語が年若い詩人の感性の洗礼を受けて今よみがえります。息をこらして話に聞き入る子どもたちは、その小さな胸でいったい何を受けとめたのでしょうか? 別荘を包んで流れ る季節の美しい描写と、不思議な神話の世界と、いたずら盛りの子どもたちと、それにひとりの若い詩人とが織りなすこの素晴らしいファンタジーは、きっとあなたの胸の中の想い出を呼 びさますに違いありません!
目次
第一話 ゴルゴーンの首
ゴルゴーンの首 への序章 タングル・ウッドのポーチにて
ゴルゴーンの首
物語のあとで タングル・ウッドのポーチにて
第二話 黄金の魔法の手
黄金の魔法の手 への序章 シャドー・ブルックにて
黄金の魔法の手
物語のあとで シャドー・ブルックにて
第三話 パンドラの箱
パンドラの箱 への序章タングル・ウッドの遊び部屋にて
パンドラの箱
物語のあとで タングル・ウッドの遊び部屋にて
《訳者あとがき》
《解説》吉田新一
〈幻の絵本をたずねて〉浜松克樹
《解説》ギリシア神話とアメリカ人気質 吉田新一(児童文学者)
「ワンダー・ブック』(一八五二)はひじょうにユニークなギリシャ神話・伝説の再話です。古代ギリシャ人が残した元の神話は、簡潔なうちにも叙事詩的な荘厳さと気品に貫か れているものでしたが、ここでほとんど創作に近い再話を試みたナサニエル・ホーソーン (一八〇四~六四)は、これを書く前に出版社にあてた手紙で「大理石のように人をはじきかえす古典的な冷たさは避けて」再話したいと語り、また、できあがった本の短い序文 の中でも「二、三千年間がっちり固まっていた元の形を、空想のおもむくままに、新しい形にしてみた」と書いています。
《幻の絵本をたずねて》 ロンドンに妖精をよみがえらせた画家ラッカム 浜松克樹 (ミラージュ・ライブラリー主幹)
THE SHIP THAT SAILED TO MARS
told and pictured by William M Timlin First published 1923 by Geoge G Harrap & Co, Ltd Copyrightc1982 by Harrap Limited
1982 Japanese Edition by Rippu Publishing Co, Ltd
世間のほとんどの人たちは、彼の存在などとうに忘れておりました。ですから、彼の造船所のことはもとより、 それがひと晩のうちに出現したことな ども、知るよしはありません。もちろん、彼の仕事場の裏口に―――まるで泡でも吹いたかのように―――あらわれた透明な丸屋根のことも、人びとは気づ かないまま日々の生活にいそしんでいたわけです。が、造船所の内部では、 妖精たちが(『夢の造船所』より)
もくじ
主人公の登 場
夢の造船所
完成図
も一度、用心深く
贈り物
船の完成
妖精のメニュー
出帆
さらに高く
宇宙へ
星のあるじ
身仕度
憂鬱の惑星
スバルの七姉妹
流星
エデンの蛇
空気の精
神話の星
アルゴー船
ポーコス
オルフェウス
海賊の星
火星
下船
王宮にて
祝典
航海日誌
火星観光
動物園
王宮の庭
王女の部屋
悲愁
旅立ち
怪獣
森の妖精
鉄の丘
王子
塔
悲しみの終焉
帰還
婚礼
結び
あとがき
解説
《星の帆船をめぐって》
「銀河鉄道の夜」のように
吉田新一 (児童文学者)
本書の読者は、この『星の帆船』(原題は“THE SHIP THAT SAILED TO MARS") (1923) という作品をどんなふうに読まれたでしょうか。この種の空想物語になじみのうすい方は、さいしょは物語の荒唐無稽さに多少とまどいを感じられたかもしれません。
しかし、改めて読みなおされたらきっと、物語が必ずしも荒唐無稽に構成されたものではない、ということに気づかれるでしょう。「僕はいつか、火星まで行ってのけるつもりさ」と言って、途方もない夢を抱きつづけた主人公の<彼>は、周囲の科学的で合理的なひとびとにその夢想をさんざん嘲笑されたすえに、ついに周囲との交渉を一切絶って、自分ひとりの世界に閉じこもり、そこからもっぱらつきぬ空 想を燃料に、彼ひとりの火星旅行の夢を、着々実現しはじめるのです。
《幻の絵本をたずねて》
まぼろしの中の幻の絵本たち
浜松克樹 (ミラージュ・ライブラリー主幹)
本書「星の帆船」(原題“THE SHIP THAT SAILED TO MARS")は、このシリーズの中 でも、まさに“幻の絵本”と呼ぶにふさわしい一冊でしょう。この本の日本語版出版権を版権代理店が申請した時、出版元であるイギリスのハラップ社からは、こんな返事がきたそうです。
いわく、「原本が残っておらず、古書市場にもめったに出ない上に、出ても500ポンド以上するので、図版が提供できない。それでもよければ版権だけは売りましょう」――そんな珍本が日本側に渡っているとは、想像もしなかったのでしょう。
●イソップ童話集
THE BIG BOOK OF FABLES
first published 1918 with illustrations by Charles Robinson Copyright 1982 by Blackie & Son Limited Japanese translation rights arranged with Blackie & Son Limited through Japan UNI Agency,Inc
今もたいていの子どもが、イソップやフォンテーヌの寓話を知っています。もちろん、前には子どもだった大人たちも知っています。子どもより少しかしこい大人たちは、寓話を利用することも覚えました。物語にふくまれている教えを使って、子どもをしつけてしまおうとするのです。「うそをついてはいけない」「よくばってはいけない」「人のまねばかりすると自分を失ってしまう」等々、教えはいつも正しいことを言います。
素直な子どもでなくなってしまうと、不意に思うものです。
「よくばらなければこれ以上のものになれない」「すてきな人のまねなら、どんどんしてみたほうがいいのではないかしら」「うそも方便」と、それぞれに理由をつけて、イソップやフォンテーヌがつけ加えたのとは違う、自分に都合の良い教えを考えつきます。もともとの教訓も真実だし、自分(「はじめに」より)なりに理由をつけたものも真実なのです。
目次
はじめに
中金の卵を産むメンドリ
羽根をつけたカケス
オオカミとキツネとサル
サギ
ネズミの会議
男と鏡
牛乳のつぼ
ライオンの戦術
キツネとぶどう
町のネズミと田舎のネズミ
マーキュリーと木こり
王を欲しがったカエル
ネコとイタチとウサギ
カニの子どもとお母さん
中老いたライオンとキツネ
塩を背負ったロバと海綿を背負ったロバ
解説 吉田新一
幻の絵本を訪ねて 浜松克樹
《解説》イソップ童話集
真理を素朴に語りかける寓話のおもしろさ 吉田新一
本書のイラストレーターであるチャールズ・ロビンソンは、五歳年長のウォルター・ジェラルドと独身時代から親交があり、両者それぞれ結婚してからも、たがいに家庭ぐるみで交わりを深めていった間柄でしたが、ふたりはクリスマスのギフト・ブックとして、〈ビッグ・ブック〉と称する本を三点、共同制作しています。すなわち、『わらべ唄のビッグ・ブック』(一九〇三)、『妖精物語のビッグ・ブック』(一九一一)、『寓話のビッグ・ブック』(一九一二)で、いずれも、テキストをウォルター・ジェラルドが、イラストレーションをチャールズ・ロビンソンが分担しました。本書は、そのうちの『寓話のビッグ・ブック』にもとづいたものです。
《幻の絵本をたずねて》
細やかな宝石を生んださし絵画家 C・ロビンソン 浜松克樹
チャールズ・ロビンソンは、兄のトマス・ヒース、弟のウィリアム・ヒースと並びロビンソン三兄弟として知られた、絵本の黄金 時代の代表的な描き手のひとりでした。この『ビッグブック・オブ・フェイブ ルス』という寓話集は、彼の児童絵本としてはピークにあたるころの作品です。
●不思議の国のアリス
ALICE'S ADVENTURES IN WONDERLAND by Lewis Carroll
Illustrations by Charles Robinson Copyright c1982 by CASSELL LIMITED for illustrations by Charles Robinson Japanese translation rights arranged with Cassell Limited through Japan UNI Agency, Inc
これほど心をこめて絵のつけられたアリス絵本が、今までにあったでしょうか。少なくとも、150点以上もの絵を見ながら楽しめるアリスは、このチャールズ・ロビンソンの絵本以外にはありません。ジョン・テニエルの絵によるアリスはもうあまりにも有名ですが、親しみやすさ、ていねいさの点では、ロビンソンはテニエルを超えているといってもよいでしょう。とても読みやすい名訳を得て今よみがえる幻のアリス絵本―――どうぞゆっくりとお楽しみください!
目次
兎の穴に落ちる
涙の水たまり
コーカス・レースと長いお話
兎はビルを送りこむ
イモムシの忠告
豚とこしょう
気ちがいお茶会
女王のクローケー・グラウンド
だれがパイを盗んだか
アリスの証言
解説 吉田新一
幻の絵本を訪ねて 浜松克樹
父とアリスと宇宙人と 加藤喬
《解説》吉田新一
世界的な、そしてもっともイギリス的な『不思議の国のアリス』
一八八〇年代、ヨーロッパの印刷術に写真製版が導入されてから、印刷技術、特に色彩印刷が、紙やインキの改良も加わって飛躍的な進歩をとげました。これを背景にして、二〇世紀にはいると毎年クリスマスの時期に、さし絵のふんだんにはいった、装下の美しいギフト・ブックスが競い合うように出版されて、その流行は第一次世界大戦のはじまる一九一四年頃をピークとして続きました。
《幻の絵本を訪ねて》絵本の国のアリス 浜松克樹(ミラージュ・ライブラリー主幹)
ついに、チャールズ・ロビンソン画の『不思議の国のアリス』が、日本でも日の目を見ることになりました。意外に思えるのですが、これまでわが国では、かつて初版のさし絵となったジョン・テニエルのアリスしか、単行本としてはなじみがなかったのです。この本の出版がどんなに喜ばしいことなのかわかっていただくために、少しアリスの歴史をふり返ってみましょう。
●ピーター・パンとウェンディ
Peter Pan and Wendy by J.M. Barrie
with illustrations
by Mabel Lucie Attwell
Copyright c1982 by Hodder & Stoughton Ltd Japanese translation rights arranged with Hodder & Stoughton Ltd through Japan UNI Agency, Inc
「おとなになんか絶対なりたくない!」と言いはる少年ピーター・パンが、世界じゅうの人びとに親しまれるようになってからもう六十年がたちました。その間、絵本や映画、舞台などでかぞえ切れないほどのピータ―像が登場しましたが、この本でご紹介するアトウェルの絵は、素朴なかわいらしさという点で群をぬいています。こんなにかわいい絵本を楽しめたイギリスの子どもたちは、なんて幸せだったことでしょうか。そう言えば、英国王室でも、チャールズ皇太子がまだ幼い頃、アトウェルの絵入りの食器を愛用されていたそうです――
目次
ウェンディの家
影法師
ピーター・パンのおいたち
お父さんのかんしゃく
指ぬきとどんぐり
飛んで行った子どもたち
夢の島へ
キノコの腰掛け
ティンクのいたずら
緑と赤の小さい家
大好きなケーキ
島流しの岩
フックとピーターの一騎討ち
鳥の巣に乗って
ウェンディのお話
さらわれた子どもたち
ティンカー・ベルの助け
コケッコー
ピーターか フックか
なつかしい家へ
解説 吉田新一
幻の絵本を訪ねて 浜松克樹
《解説》ピーター・パンとウェンディ 永遠のネバー・ネバー・ランドを生み出した魔法使い――バリ
吉田新一(児童文学者)
J・M・バリの〈ピーター・パン〉は、はじめ、五幕の幻想劇として誕生しました。初演の時と所は、一九〇四年十二月二十七日、ロンドン市のヨーク公劇場でした。それはすぐに、爆発的人気を獲得して、以来、今日に至るまで人気はゆるがず、毎年クリスマス・シーズンには、必ずロンドンで上演されてきました。(第二次大戦中、ロンドン市が空襲をうけた一九四○年の暮だけは、上演不能だったそうですが)この上演用台本が、戯曲作品として本の形で出版されたのは、ずっと後の一九二八年ですが、それとは別に、一九〇六年には、アーサー・ラッカムの挿し絵で有名な『ケンジントン公園のピーター・パン』という物語が出版されました。これは、一九〇二年に発表されていた『小さな白い鳥』という全二十四章からなる小説の中の、第十三章から第十八章までの六章を、独立させて一冊の本に仕立てたものでした。
ほか
●ホフマン物語
TALES OF HOFFMANN
By E.T.A. Hoffmann
The Illustrations by Mario Laboccetta 1982 Japanese Illustrative reproduction rights arranged with George G Harrap & Co, London through Tuttle-Mori Agency Inc, Tokyo
「いつまでも永遠に君のものであったならエラスムスは言った。二人の前には美しい大きな鏡があった。鏡は小部屋の壁にしつらえてあって、両わきではローソクが明るく燃えていた。ジュリエッタは、ますますきつく激しくエラスムスをだきしめると、そっとささやいた。
「鏡に映るあなたの姿を、わたしに残して下さらない、いとしいあなた。そうすれば、いつまでもわたしのそばにおいて離さないわ」
「ジュリエッタ」エラスムスはたいそう驚いて言った。「何を考えているんだい?鏡の中の姿だって?」…『鏡の中の姿が盗まれた物語』より)
目次
ホフマンの幻想世界へ まえがきにかえて
「世襲権」
「砂男」
「荒びれた家」
「運命の糸」
ジルベスター大晦日の夜の出来事
解説 吉田新一
ブックス・ビューティフルの綺羅星たちの中で
§ 訳者より
「世襲権」
ホフマンの小篇『大晦日の夜の出来事』を、私はかなり自由な形で訳しました。美しいマリオ・ラボチェッタの挿絵とともに、北方ロマン派の世界を楽しんでいただければ幸いです。解説を書いて下さった吉田新一先生、時間の少ない私を助けて下さった谷林真理子さんに感謝したいと思います。なお、翻訳には、WINKLER DUNNDRUCKAUSGABEの E-T A Hoffmann 《Fantasie-und Nachtstucke》 を使用し、深田甫先生の業績(『ホフマン全集』創土 社刊)を参考にさせていただきました。心から敬意を表し、お礼にかえさせていただきます。
●娘たちのマザーグース
The April Baby's Book of Tunes
by Mary Annette Russell
with illustrations
by Kate Greenaway
Copyright c1982 by Rippu Shobo Co, Ltd
Japanese translation rights
arranged with Miss Ann E Hardham, California through Tuttle-Mori Agency Inc, ToKyo
私が特に感心するのは、母親と子どもたちがひと味違った〈マザーグース遊び〉をするまでの物語のはこび具合です。わが国でも、寒のもどりとか春の大雪とかいったように、春を目前にして、春を待ちこがれている人の心をじらすように、寒暖の気象が一進一退する時期があります。そういう季節の変わり目の自然現象を巧みに生かして物語の背景とし、子どもたちが雪に閉じこめられて家の中にくすぶっているうちに、人形で妙な遊びにふけりだすので、母親が子どもたちと自然に、といっても母親自身も予期しないヘマザーグース遊び〉をはじめていく。物語の進行にわざとらしさがなく、自然に流露していく。そこのところがひじょうにうまいと思います。(『訳者あとがき』より)
目次
どうして、娘たちの名前がエープリル、メイ、ジュンになったかということ
娘たちのいたずらがすぎると、少し風変わりなおしおきをされること
歌の内容をめぐって、娘たちとお母さんが対立すること
母さんが、娘たちにお茶の招待状を出すこと
あまり目茶苦茶にさわぎすぎると、あとはこうなるということ
太陽が輝きだせば、楽しみもふえること
こわい話というものは、いつでも娘たちについてまわるということ
イギリスのねことドイツのねこがこんなにもちがうということ
どうして、男の子は女の子より劣っているのかということ
こうして、娘たちの一日が終わります おやすみなさい
《解説》娘たちのマザーグース マザーグースの唄とマザーグース遊びと 吉田新一(児童文学者)
ここにあらためて言うまでもなく、いわゆる〈マザーグースの唄〉とは、英語文化圏における伝承童謡のことですが、その数と内容の豊富なこと、また、それが人々の日常生活に浸透している度合いは、われわれ日本人の想像をはるかに越えています。〈マザーグースの唄〉は、人々の感覚やことばにそれと気づかれずに日々生きていて、特にこの物語にでてくる10篇の唄などは、どれもすべての人が物心のつく前から親しんでいるものばかりで、口調がよく、ほとんどその口調のよさだけで自然に暗んじてしまっていて、ふだんはめったにその意味を考えることすらしないものです。そういうふうに、まるで空気のようにのみこんでしまっている唄を、改めて頭で内容を考えて、意味を問い、想像力を大いに働かせて味わっているところに、実はこの物語のおもしろさがあるわけです。
《幻の絵本をたずねて》
ケイト・グリーナウェイの"最初で最後の本" 浜松克樹(ミラージュライブラリー主幹)
この「エープリル・ベイビーズ」は、しばらく絵本作りから遠ざかっていたケイト・グリーナウェイの、生涯最後の作品です。発表されたのは彼女の逝く前年の一九〇〇年。おりしも、彼女の画風に表われているような優雅なビクトリア時代が終わりをつげ、華やかなエドワード朝期に入ろうとする時のことでした。また、二〇世紀という新しい世紀に向かって、いろいろなものが大きな変わり目を迎える時期でもありました。
●ケイト・グリーナウェイの 遊びの絵本
KATE GREENAWAY'S BOOK OF GAMES
別冊 原文(抄)
この「遊びの絵本」の中には、子供部屋や、裏庭や、空き地や、道ばたで、子供たち自身がつくり出した遊びが、数かぎりなく入っています。その世界を、グリーナウェイが描き出してくれたことで、私たちはその時代の子供たちに再会できたような楽しさをおぼえます。
(岸田衿子)
目次
はじめに
たたされ猫
コマまわし
おはなし作り
“A”のつく人大好き/クリスマスの紙袋/土と空気と火と水
シーソー
ビー玉遊び
ティー・ポット/20の質問
かわりオニ/何に似てる/色遊び
木にさわれ
スリッパをさがせ
ごろ合わせ/羽遊び
絵を当てよう/木皿まわし/どんなふうに、いつ、どこで
羽根つき
クワの木
手をあげて
羊飼いと狼/かごを持ってるよ/音楽椅子とり
トム・ティドラーの地所
石けり
輪さがし
お城の王様/きつねとめんどり/ことわざ遊び
まんなかのカエル
オレンジとレモン
だんまり言葉さがし
うしろのハンカチ/名詞遊び/漁師と魚
ブランコ
輪まわし
魔法の音楽/形容詞遊び
ロシア風ウワサ遊び/悔いあらための椅子/ハンカチ投げ
めくらオニ
タコあげ
ことばの当てっこ/先生
ことばかくし/老兵遊び/裁判官と陪審員
かくれオニ
ボール遊び
帽子遊び/本遊び
おかしな絵/フランス軍とイギリス軍/声色ごっこ
シャボン玉
人形
見るおしゃべり/椅子とり
ローソクを消せ/影遊び/それはなんですか
あの子につづけ
メアリが乳しぼりにいく時
笛の騎士/ことわざ当て/バズー
なわとび
アン女王と侍女
ゼネラル・ポスト
ゆびぬきかくし/ファミリー・コーチ/言葉づくり
ルースとジェイコブ/魔法のこたえ/チリンチリン
《解説》なつかしい時代のかおりに包まれて(浜松克樹)
●美女と野獣
OLD TIME STORIES
translated from the French by A E Johnson with illustrations by W Heath Robinson Copyright c1982 by Estate of Mrs J C Heath Robinson Japanese translation rights
arranged with Laurence Pollinger Limited through Japan UNI Agency, Inc
小さいころ読んだままの昔話には、意外に知らなかった秘密が隠されているものです。ここにご紹介する有名な三編のフランス昔話にも、実は、思わず目をそむけたくなるほどの恐ろしい事件や人物が登場します。ヒース・ロビンソンの素朴なタッチの絵は、この恐ろしい物語の世界の、むしろ救いになっているといってもいいほどですなお「オールド・タイム・ストーリーズ」と題する原本には、ボーモン夫人編の昔話集とC・ペロー編の童話集から選んで全部で十一編の物語が収録されています。ここでは三つの物語と、カラーさし絵(全六点)を再現して、より多く原本のふんい気を味わっていただけるよう心が
けました。
目次
《訳者まえがき》 美しさと残酷と
美女と野獣
Beauty and the Beast
眠れる森の美女
The Sleeping Beauty in the Wood
青ひげ
Blue Beard
解説
幻の絵本をたずねて
《幻の絵本をたずねて》
絵本の黄金時代の三銃士――ロビンソン兄弟 浜松克樹(ミラージュライブラリー主幹)
さし絵本の古書カタログをめくっている時必ず目をひくページに、『R』の項があります。そこにはまず、二〇世紀初頭イギリスの絵本の黄金時代を代表する巨匠、アーサー・ラッカムの名があります。そしてそれに続いて、作品数や売価を競っているのが、ロビンソンという名で始まる一群の画家たちでしょう。
この『オールド・タイム・ストーリーズ』の画家、ウィリアム・ヒース・ロビンソンは、そのロビンソン一族の一人なのです。
●ルビンおじさんの冒険
The Adventures of Uncle Lubin
told and illustrated by W Heath Robinson First Published 1902 Copyrightc 1972 by The Minerva Press Limited and The Estate of JCHeath Robinson 1982 Japanese Edition by Rippu Publishing Co, Ltd
勇敢で慈悲深いルビンおじさんの十二の冒険談は、イギリス児童文学の古典の中でも、際立った名作の一つです。
ピーター坊やを追い求めて、アイデアいっぱいのルビンおじさんは、いたずら鳥を敵にまわし、飛行船を作り、小人の老人に会い、“しもやけの地”まで遠征し、藩求艦を発明し、海ヘビと、恐竜と、インドの王様と、ココナッツの大木に出会います。それにこの本では、W・ヒース・ロビンソンのさし絵がとてもすばらしいですね。
おかげで、ルビンおじさんは絵の中から飛び出して、今では世界の子どもたちにもおなじみのアイドルとなっているのです。(英語版カバー・メッセージより)
目次
ことのおこり
飛行船
ヴァマドッパー
ひょうざん ローソクと氷山
海ヘビ
人魚の子ども
おじさんが子どもだったころ
夕立ち
きょうりゅう 恐竜にビックリ
夢
インドの王さま
ピーター坊や発見
訳者あとがき
《幻の絵本を訪ねて》
《解説》ルビンおじさんの冒険 愛読されつづけるノンセンス・ファンタジー 吉田新一(児童文学者)
『ルビンおじさんの冒険』(1902)がわが国に紹介されるのは、たぶんこれがはじめてだと思いますが、本国イギリスでは出版以来80年、ずっと子どもたちに愛読されつづけて、現在ではペーパーバックの〈パフィン文庫〉にも入っているほど、ひろく普及しています。そういう児童文学の生きた古典が、今まで、わが国で未紹介だったのは、むしろ不思議なくらいです。
これは、テキストばかりでなく、絵もストーリーの細部をひじょうによく物語っている作品ですから、イラストレーションもそっくり原著のまま翻訳されるべきで、その点、原作に忠実で、訳者にも人を得た本書は、理想にかなったうれしい出版です。
《幻の絵本をたずねて》創作絵本に意欲的だったヒース・ロビンソン 浜松克樹(ミラージュ・ライブラリー主幹)
今世紀初頭、イギリスで花開いた絵本の黄金時代は、宝石のように美しい豪華本を生んだだけでなく、絵本のさまざまな可能性をも示してくれました。この『ルビンおじさんの冒険』は、その中でも異色の一冊といえるでしょう。ページごとにちりばめられたイラストでイメージをかきたて、そのイラストを描いた画家自身が物語もつづったファンタジーは、他にあまり例がありません。
当時の絵本はギフトブック用に造られたものが中心で、そのため物語としては古典や名作が好まれました。『ルビンおじさん―』のように、絵も文もひとりが受け持った創作絵本は、幼年ものでも少なかったのです。
古書カタログでも、創作絵本は、豪華本の類いでウイリアム・ティムリンの「火星に旅した船」という作品ぐらいしかお目にかかれません。ましてや、このヒース・ロビンソンのようにメジャーな画家たちが手がけたもので、この種の絵本はめったにないのです。自分で作品集を編集したり、改稿したり程度がせいぜいでした。
ほか