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図鑑日本貨幣史

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昭和４０年（１９６５）に、フレンドール社から限定発行された監修・郡司勇夫（日本貨幣協会理事）の協会内部向けの『図鑑日本貨幣史』（第二版３千部）である。内容は、貨幣に関する余計なウンチクは、省略してあるが歴史眼の正鵠を得た解説がなされている。貨幣関連の本を一冊まる暗記するのは大変だが、本書一冊の要点を押さえると、かなりの〝古書通〟になれる要約・虎の巻的な図録である。本書に所収してある写真は、田中桂治氏の見事なコレクションによるものだ。今日では珍本の部類ではなかろうか・・・・。

図鑑と銘打っているだけに、本書の目玉は写真で、全４６７点に及ぶ、古銭や藩札、御維新から昭和戦前の紙幣が掲載されている。惜しむらくは、当時はカラーのグラビア印刷が今日ほど普及されていなかった時代なので、カラー印刷は巻頭口絵の小判８点のみである。本文解説は短文だが、内容的には、本邦の貨幣および制度の歴史、貨幣のルーツと機能と意義、日本が輸入した中国貨幣の変遷、さらに奈良朝から昭和戦前までの各時代背景とかかわった人物、近代の流通経済の発達とともに重要性を増した貨幣の役割などが取り上げられている。巻末の「日本貨略年表」もわかりやすい。表２や奥付にも定価は記載されていない。おそらく、日本貨幣協会の会員、もしくは希望者に配布されたものと思われる。その証拠に、本書の奥付の最終頁には、首都圏のある有名な市の「●●貨幣クラブ・・・」の印がある。

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