・書籍名 :The Genus Haworthia: a taxonomic revision
・著者名 : Charles L. Scott
・出版社:Aloe Books
・発行年:1985年
・言語 : 英語
・形式:ハードカバー, 268×222mm, 150ページ
手元に余部があるので出品します。ブックカバーに多少の折れや汚れが見受けられますが、状態は良いかと思います(写真参照)。
<書籍説明>
本書は1985年に発刊された、初のHaworthia属全種の本格的なリビジョンとなります。この当時のHaworthiaといえば、後に本属分類のオーソリティとなるB. Bayerが活躍し始めた時期に重なり、'New Haworthia Handbook 1982'を出した数年後となります。本書は1999年の大著'Haworthia Revisited'の出版前まではデファクトスタンダードとなっていた重要文献となります。また、園芸的な要素は薄く、野生種としてのHaworthiaを扱ってる専門書となります。
著者は南アフリカ共和国出身のCharles Leslie Scott (チャールズ・レズリー・スコット 1913-2001)となり、経歴がなかなか珍しく警察関係者となりますので、アマチュア研究者となります。しかしながら、その調査方法はプロ顔負けのようで、1950年代から先駆的にHaworthiaの分類学的な研究を開始し、現地調査を地元南アフリカやナミビア等で40年以上繰り返し、文献・標本調査は英国キューガーデンをはじめヨーロッパ各地のハーバリウムや博物館を周り、タイプ標本や文献、写真、かなり古い書籍の原典や植物画の原画等を調査していたようです。その調査方法は、さすがの警察関係者といったところで、事件捜査さながらの緻密さとなっています。
本書に示された分類体系は、いわゆる古典分類学的なアプローチとなり、分布と形態から種や変種を分類しており、近年種数が膨大になった本属の解釈とは異なり、我々の感覚的に合う体系かと思います。具体的にはHaworthia属を17の節(Section)に分け、87種+12変種の合計99分類単位を認めています。
また、本書の優れているところは、それまで知られていたHaworthiaの情報や文献に関する総括が行われている部分かと思います。古くは学名が誕生するリンネ分類以前の1667年の記録から始まり、そこから約300年の間の研究や記録について年表形式で緻密に示されています。なお、現在は数百年前の古典がインターネット上で閲覧可能になっていますが、当時は一流の博物館や図書館等に所蔵された貴重な原典を、各施設の許諾を得て調査するしかありませんでした。その手間たるや半端なかったと思います。また、これ以外にも属概念、節の特徴と各節への検索表、全種・全変種への検索表と開花期一覧表、現地気象条件、地域別の特徴が総括されています。
個別種・変種の解説についても、かなり詳しく記述され、文字も小さく情報量が多くなります。分布地図はプロットで示されており、プレートはカラー写真主体ですが、面白い事に原記載論文の植物画やタイプ株写真がモノクロで多く掲載されており、根拠文献が多数示されていることから、おそらく当時から混乱し始めていた学名の根拠を重点的に押さえているようです。
この後はBruce BayerやIngo Bruerをはじめとした研究者や英国のHaworthia Society等が分類学的な整理をしていきますが、近年の文献はむしろ細かい種や変種をどう解釈するのかにウェイトが置かれています。本書のようにベーシックにHaworthiaのそもそも論を記述した文献はあまりなく、自然史分野におけるアマチュア博物学の最高峰の名著の一つかと思います。このため、改めて現在のHaworthia分類学の根っこの部分のベースともなった本文献を読み返すのも良いかと思います。