【 特級の魅力が凝縮 】
ブルゴーニュ『最古メゾン』として名を馳せる、超名門生産者の「シャンピー」。その創立は、1720年にまで遡ります。長い歴史を誇るシャンピーだけに逸話には事欠かないメゾンですが、かの微生物学の神様「ルイ・パストゥール」が酵母の研究を行ったのが、このシャンピーのワイナリーです。
またシャンピーの醸造所は、パリのエッフェル塔で有名な「ギュスターヴ・エッフェル」の設計によるもので、2010年にブルゴーニュの歴史的建造物に認定されています。
1990年からメゾンの運営は、当主ピエール・ムルジェイと名門ムルジェイ家が担っています。特筆すべきは、ムルジェイ家がメゾンを引き継いだ1990年以降、シャンピーの品質が目覚ましく向上したこと。その理由の一つが、「ビオディナミ」による自然農法への転換。 現在進行形で畑の質はみるみる向上しています。
また、新しい技術の導入、畑の特性にあわせたブドウの植え替え、ヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)を生かした栽培、一部ワインのスクリューキャップ導入、エチケットをモダンにチェンジ、など様々な改革を進めています。
『古いメゾンにダイナミックな新しい力が宿り』更なる高みを目指しています。
メゾン・シャンピーがワインに表現するのは『純粋さ・ミネラル・新鮮さ』。ピュアでバランスのいいワインを目指し、できるだけ畑で作業。ワイナリーで過度な手を加えません。ブドウは手摘み、除梗は一部のみ、破砕せず低温マセレーション、野生酵母での発酵、ノンフィルターで瓶詰めなど。シャンピーの真髄であるまっすぐに伸びるミネラル感と、純粋さが存分に味わえます。
「シャブリ」とは、生き生きとした酸と心地よく引き締まったミネラル感が特徴のブルゴーニュで最も人気の白ワイン。特有の「キンメリジャン」と呼ばれる貝殻石灰土壌が、「火打ち石」に例えられるスモーキーなフレーバーを生み出す良質シャルドネを育てます。1億5千万年前に棲息した小さな貝の石灰層から、長命で偉大なこの白は生まれます。
『幅広く和食に合うワイン』として、日本でもワインブームのはるか以前から現在に至るまで長く愛飲され続けています。中でも非常に限られた7つの優良区画に広がるのが「グラン・クリュ」です。
パワフルで最も偉大で長命な「レ・クロ」、豊かな果実味で知られる「グルヌイユ」、クリーミーでしなやかな口当たりの「ヴォーデジール」、ミネラル豊かな「ヴァルミュール」、最も丸みを帯びた女性的スタイルと表現される「レ・プリュ―ズ」などなど。7区画の総面積を足してもシャブリ全体の僅かに2%のみ。シャブリで最も日当たりがよく、最もブドウの熟度が上がりやすい畑から、繊細ながらも力強い複雑味溢れる優美なワインが生まれるのです。
シャンピーの数あるグラン・クリュの中でも特に定評の高いこの「シャブリ・グラン・クリュ」は、7つの優良区画のどの「畑名」かを明らかにしていませんが、「畑名」が無いからこそ、かえってそれぞれの特級畑の良さが1本にギュッと凝縮された魅力的な1本なのです。
また、「シャブリ・グラン・クリュ」は、シャープな酸が最大の特徴でしたが、近年の温暖化がシャルドネの成熟に良い影響を与えており、酸は活かされつつも、「バタール・モンラッシェ」同様の芳醇で厚みのある味わいを併せ持っています。
この1994年の熟成はちょうど30年。バランスが素晴らしく飲み頃を迎えていますが、この先の熟成ポテンシャルも併せ持っています。華やかなアロマに、洗練されたエレガントなスタイルがたいへん印象的ですが、抜栓後時間が経てば経つほど香りや味わいが広がってきます。
褐色がかった濃いめのイエロー、レモンやグレープフルーツなどの柑橘のアロマに、ローストアーモンド、ナッツ、火打石などのニュアンスが加わり、芳しい印象を与えます。口当たりは滑らかで、口いっぱいに広がる円熟した果実味が魅力。豊かなミネラル感ときめ細やかな酸味が口内を満たし、ボリューム感と共にエレガンスも感じさせます。ほのかに感じられる塩味、豊かでコクのある余韻も魅力です。
最大限に料理を引き立てるシャンピーのシャブリ・グラン・クリュは、欧州のトップクラスのレストランからも信頼を得ており、価格高騰の昨今では、日本市場で見かける機会も少なく、入手もさらに困難になって来ています。
重くなく、しかもしっかりとした構成と綺麗な酸を好まれる方には、最良のシャルドネです。大振りのブルゴーニュグラスでお食事と共にお楽しみ頂けますと、『ブルゴーニュ最古メゾン』の真髄を存分に体感できるでしょう。