
ターキッシュ・ロックを作り上げたレジェンドが70年代に残した多彩なサウンドをコンパイル!
ターキッシュ・ロック・シーンを語る上で欠かすことのできないレジェンドのひとりが、ギタリスト/SSWのエルキン・コライです。ガイェ・ス・アキョルやアルトゥン・ギュンといった若い世代の音楽家たちにも多大な影響を与えてきた彼の偉大な功績を知れる作品のひとつが、2011年にSublime Frequenciesからリリースされた本作でした。その後しばらく絶版となっておりましたが、この度CDとLPの両フォーマットでリイシューされることになり、ライス・レコードとして国内配給することにいたしました。
エルキン・コライは1941年にイスタンブルのカドゥキョイという街で生まれました。1957年にエルヴィスやファッツ・ドミノなどのカヴァーを中心としたトルコ初のロックンロール・グループを結成し、トルコにおけるロックンロールの第一世代として活動を開始。そして60年代に入ると、今度はビートルズやストーンズをトルコの伝統楽器を用いてカヴァーするなど、トルコ人としてのアイデンティティを感じさせるロック・サウンドを追求するように。さらには自身のシングルやLPをセルフプロデュースするようになった彼は、西洋のサウンドを独自の嗅覚を持って貪欲に追求。電子楽器を一早く導入したり、ソフトロック、サイケデリック、ニューウェイヴと、常に世界の音楽シーンの先端を意識した音楽性を聴かせてきました。加えてアナトリアの民謡や、エジプトやレバノンから受信したラジオ放送からインスピレーションを得たエキゾチックなハイブリッド・サウンドをさらに追求するようになった彼は、その後に大きく発展したトルコ独自の大衆音楽アラベスクへの道筋を築いたことでも知られます。なお2007年に公開された映画『クロッシング・ザ・ブリッジ サウンド・オブ・イスタンブール』ではトルコの伝説的音楽家として紹介され、その名が日本の音楽ファンにも知られるようになりました。
そんな偉大な音楽家エルキン・コライが1970年から1977年までの間に残した録音の内、欧米で発売されてきたような非正規コンピレーションやLPリイシュー作品には収録されていなかった楽曲ばかりを集めたのが本作です。クラシカルなロックンロールからサイケデリック・ロック、サーフ・ロック、トルコ民謡で使われる弦楽器バーラマを取り入れたロック(=アナドル・ロック)、まるでアラベスクを思わせるストリングスをバックに従えたトルコ歌謡まで、エルキン・コライが繰り広げてきた幅広いレパートリを一望することができる内容となっております。
そんな多彩な音楽性の中にほとばしるロック・スピリットこそが、エルキン・コライというアーティストの本質。それが如実に現れたのが本作と言えるでしょう。辺境音楽ファンならずとも一聴の価値のある1枚です。