**鳥文斎栄之（ちょうぶんさい えいし）**は、江戸時代中期から後期に活躍した浮世絵師で、美人画を中心に制作したことで知られています。
狩野派の絵師から浮世絵師に転身し、洗練された上品な美人画を描きました。

基本情報
生年：宝暦10年（1760年）頃
没年：文化10年（1813年）
活動時期：江戸時代後期（18世紀後半～19世紀初頭）
作風：美人画を中心に、優美で上品な作風 経歴 狩野派の画家として出発 若い頃は狩野派の絵師として活動していましたが、のちに浮世絵に転向。
美人画の名手として活躍 天明年間（1781年～1789年）頃から、美人画を中心とした作品を多く制作。
上品で洗練された美人画は、従来の喜多川歌麿の華やかな美人画とは異なる趣を持ち、「貴婦人風」とも評される。
細判から大判錦絵へ 彼の初期の作品は細判（小型の版画）でしたが、後に大判の錦絵美人画を制作するようになり、その作風が確立される。

肉筆画にも優れる
版画だけでなく、肉筆画でも優れた作品を残しており、書画の才能にも秀でていた。
文化10年（1813年）頃に没 晩年の活動については詳しい記録が少なく、文化10年（1813年）頃に亡くなったとされる。

作風と特徴
優雅で品格のある美人画 喜多川歌麿のような奔放な表現とは異なり、落ち着いた上品な美人画が特徴。
洗練された細身の女性像 彼の描く女性は、細長い体型で優美な姿勢をしており、着物の模様や髪型にも細やかな配慮が見られる。

美人画の黄金期を支えた
18世紀後半～19世紀初頭の浮世絵美人画の発展に大きく貢献した。
代表作 「青楼美人六花撰」（遊女を描いた美人画シリーズ） 「風流六芸之内」（風雅な女性の日常を描いた作品） 「婦女人相十品」（女性の異なる表情や個性を表現した作品）

評価と影響
鳥文斎栄之の作品は、江戸時代後期の美人画に新たな洗練された表現をもたらした。
その端正で格調高い画風は、後の美人画の流れに影響を与えた。
喜多川歌麿や鈴木春信と並び、美人画の名手として評価されている。
鳥文斎栄之は、豪華絢爛な美人画が流行した時代にありながら、気品と優雅さを重視した画風を確立したことで、浮世絵史に名を残しています。



表具寸法（軸先含む）★約46×163
本紙寸法★約31×83


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