出版社 : 新潮社
武者小路 実篤 (著)
たとえ揺るぎない友情の前であっても、いかんともしがたいのが恋愛――。
脚本家野島と、新進作家の大宮は、厚い友情で結ばれている。野島は大宮のいとこの友人の杉子を熱愛し、大宮に助力を願うが、大宮に心惹かれる杉子は野島の愛を拒否し、パリに去った大宮に愛の手紙を送る。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で大宮と決闘しようと誓う――。
青春時代における友情と恋愛との相克をきめこまかく描き、時代を超えて読みつがれる武者小路文学の代表作。詳細な注解および作品解説、年譜を付す。
【目次】
自序
上篇
下篇
注解
武者小路実篤の文学…小田切進(文芸評論家)
解説…亀井勝一郎(評論家)
年譜
著者の言葉
しかし恋にもいろいろある。一概には云えない。この小説の主人公は杉子と結婚しなかった為に他の女と結婚したろう。そして子が生れたろう。その子が男で、大宮と杉子の間に出来た女の子を恋して結婚するということも考えられないことではない。そして両方がお互(たがい)に生れたことを感謝しあうと云うこともあり得ないことではない。
夫婦のことは何処か他の処で書こう。
自分はここではホイットマンの真似して、失恋するものも万歳、結婚する者も万歳と云っておこう。(本書「自序」より)
本文より
彼(野島)は何か話しかけたかった。しかし言葉は出なかった。
杉子は通りすぎた。彼は夢中で、二三十歩歩いてふりかえった時、もう杉子の姿は見えなかった。しかしこの僅かなことが、急に彼を別人のように快活にさせた。
物質論者に云わすと、ここに何か知らない物質が、恋する者から厚意(こうい)を見せられると、血管のなかに生ずるらしい。人はその時自(おの)ずと快活にならなければならない。野島は二十三にはなっていたが、女をまだ知らなかった。
野島はこの気持を自家(うち)に帰ってももっていた。……(本書16ページ)
武者小路実篤(1885-1976)
東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。
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