「破」に生きた日本画家・中村正義の生涯とその流動の美にみる新日本文化創造への熱き想い。
    
    
    新しき日本文化への道標=新解釈。
    
    
      
    
    
    不世出の日本画家・中村正義の生き方とその芸術についての“新解釈”を通して
    
    
    「日本人とは?日本文化とは?」と情熱的に問いかける慧眼の書。
    
    
    オールカラー作品図版109点 未発表作品60点を収録、論考テキスト、エピソードなどをはじめ、
    
    
    作品データ、年譜、参考文献など情報満載・内容充実の中村正義を知る上で大変貴重な資料本。
    
    
      
    
    
    図版目録には、全作品の製作年、寸法、軸装、紙本彩色・紙本墨彩など素材、膠彩・混合技法など技法、中村あやシール・共シールなどシールの有無、個人蔵ほか所蔵元、出品展覧会、収録・掲載文献名ほか作品データをあわせて収載。
    
    
      
    
    
      
    
    
    【目次より】
    
    
    ●日本人論から見た正義像
    
    
    米の自由化の問題 内向性についての疑問
    
    
    見えない鎖 日本人の血の嗜好性について
    
    
    中村正義との事 普遍性に対する希求
    
    
    人間万事塞翁が馬大正13年~昭和32年頃 青少年期におけるその精神形成の経過
    
    
    日展時代昭和33年頃~昭和37年 日本人の血、物の考え方に対する疑問の発生
    
    
    「和」の精神について 魯山人の傲慢さの秘密
    
    
    世界性へのアプローチ昭和38年~昭和42年頃 正義の批判・反骨精神の表出
    
    
    正義の舞妓を見て 批判精神の底に秘められた東洋哲学の流れ
    
    
    「顔」について 自己凝視から生まれる無意識内における自己の固定
    
    
    日本的伝統への回帰昭和43年頃~昭和48年頃 正義の体に流れる日本人の血としての伝統の表出
    
    
    仏と正義の力競べ 日本画の中の主体制のあり方について
    
    
    仏画を描く正義について 伝統的日本画の求める精神性との方向のちがい
    
    
    从会結成を通しての社会に対する批判意識の組織化 昭和49年頃~昭和52年
    
    
    東京展の美術社会運動としての展開
    
    
    正義の戦いの基本的理念
    
    
    正義の生涯を見つめて 現代に生きる菩薩について
    
    
    中村岳陵先生への手紙 親孝行について
    
    
    ●中村正義の芸術について
    
    
    画業の変遷と定義づけへの試み
    
    
    前衛日本画について 伝統文化を起点として
    
    
    日本人論の観点からみた問題点
    
    
    正義の画業の多才性について
    
    
    画技を通しての一貫性 日本画のリアリティーについて
    
    
    エネルギーの容量について
    
    
      
    
    
    正義論をふりかえって
    
    
    中村正義・日本文化考
    
    
    Masayoshi Nakamura-The Japanese Blood and Mentality
    
    
    新解釈日本伝統文化研究室・呉羽note
    
    
    新解釈日本伝統文化声明
    
    
    新解釈日本伝統美術宣言
    
    
    新解釈声明(ガリレオ・ガリレイの話)
    
    
    呉羽文庫
    
    
      
    
    
    資料篇
    
    
    画風変遷表と個展歴
    
    
    画題別制作年早見表
    
    
    中村正義・年譜
    
    
    図版目録
    
    
    参考文献
    
    
    中村正義先生へ
    
    
      
    
    
       生前、「異端の天才」と呼ばれた、不世出の日本画家・中村正義が去ってはや12年の年月が流れる。その生涯と芸術をふり返ってみれば、いつでも「異端」という言葉の中で語られている。正に中村正義の秘密は、ここにあるように感じる。というのは、日常我々が理解しがたい物や人を指して「変っている」とか「異端だ」という時に、しらずしらずの内に不可思議な魔法にかかってしまうのである。
    
    
     つまり、一旦、「異端」と言われたものに対しては、「異端である」という事で我々の思考が止まってしまい、それ以上深<追求して考えようとはしないからである。私は、日本文化を研究する者として、自分自身を客観視するために学んできた「日本人論」の立ち場から「なぜ、中村正義が異端であるのか」という事について考えてみた。「日本人論」の立ち場、つまり日本人としての通念や常識をとり除き、ただの人間としての平明な心で正義の事を考えるように心がけたのである。そうすると、人間として「異端の中村正義」というより、人間らしい、ただの人間としての中村正義像が浮び上がって来た。この展覧会は、そういう中村正義についての本、「新解釈・中村正義論」の出版記念展であり、異端と呼ばれた中村正義の生涯とその芸術についてふり返る事で、日本人である我々自身について立ち止まり、見つめなおしてみようという問いかけの展覧会でもある。
    
    
     又、この中村正義・仏画展は、画業においてその力量を認められながらも、気が多すぎてまとまりがないと言われて来た中村正義の作品群の中から特に仏画にスポットをあて、20才代から描き続けられた仏画を最晩年作までその変遷が理解し易いように整理し、並べる事で正義の芸術についてあらためで考えてみようというこころみでもある。その画業において事実、正義は多才であり、テーマの種類も多く、(風景・花・顔・舞子・人物・仏画・墨彩など)多様ではあるが、注意深く分類し整理してみると、その1つ1つの流れが相互に連動し、その時、その時の正義自身となって1つにまとまり、大きなうねりを持つ潮流となるのを我々は知る事ができる。
    
    
     この第1回新解釈VISIONは、新解釈日本伝統文化研究室・呉羽noteが言う所の「新解釈」、つまり、日本人の血を意識の中で認識しつつ物を考えるという事で、物事の新しい見方ができるのではないだろうかという問いかけである。今日ほど日本の国際社会における責任の重さが強く感じられ、我々日本人にとって「日本人としての物の考え方」を強く問われる時代は無いように感じるからである。
    
    
     この展覧会を期に、中村正義の芸術と私共が言う「新解釈」という考え方に対して、皆様の御理解が深まる事を心から願うものであります。
    
    
      
    
    
    新解釈日本伝統文化研究室・呉羽note
    
    
    主筆 徳田泰清
    
    
      
    
    
      
    
    
    【収録作品一部紹介】
    
    
    仏画 44点
    
    
    微笑 相 菩薩 観世音菩薩 降魔成道 日月 説法 色即是空 無明 赤不動 青不動 菩薩 心経 仏 阿修羅 赤不動 青不動 五忿怒 菩薩 無明 仏 開士 斗士
    
    
    書
    
    
    不義不在 天在名 無一物 龍雲来 無 心 嘘
    
    
    風景
    
    
    三河風景 河 野 冬の樹 樹 木 家 花見 街 海戦 不二 月 雪晴れ 雪山 風景 ほか
    
    
    花
    
    
    紫陽花 松梅菊 薔薇
    
    
    顔
    
    
    顔 9点
    
    
    舞妓
    
    
    舞子 舞妓 舞妓之図 舞子図 地蔵 ほか
    
    
    人物画
    
    
    五味康祐像 今東光像 裸婦
    
    
    墨彩
    
    
    三河風景 蓬莱仙境 寿老人之図 寿老の図 漁樵問答 群像 老子道教 仙人双相 人
    
    
      
    
    
    
    
    ★状態★
    
    
    1988年のとても古い本です。画像のものが全てです。